
「暴れん坊将軍」にちょっとした和みを醸すのが、火消し「め組」の3人娘、お葉(伊藤つかさ)、おちよ(田中綾子)、おはる(山本真由美)。今回の主役はおちよだった。おてんばでちょっと生意気な役回りだが、おはると茶屋の店先でお団子を食べているときに、数人の侍に追われてきた若者に助けを求められる。幕の敷かれた長椅子に隠れさせてその場をしのぐが、おちよはお守りを落としてしまう。それを拾った若者、実は田舎の結城藩の跡目候補・水野勝四郎(大橋吾郎)だった。どうやって知ったのか説明はなかったが、「め組」に届けに来たことで、おちよと急接近する。
勝四郎は家督を継ぐのがイヤで、家出してきたのだが、何しろ世間知らず。そんなこともあってか、「め組」の世話してくれた長屋でおちよの作る庶民の食事に感激したりする。二人はデートする仲に。
(おみくじを引く二人。おちよは「東からの人と良縁」と出るが、勝四郎は「願いかなわず」)
水野家では、勝四郎を推す国家老と妹の松姫に婿を迎え実権を握ろうとする江戸家老が争っていた。そのとばっちりを受けた形で政治に嫌気がさして、江戸に出て来た勝四郎は、「自由になりたい」とおちよに言う。おちよが「きっとなれるわよ」と励ますと勝四郎は「おちよさんとならなれそうだな」と返した。
そして、町人になろうと、長屋の隣に住む彫金師に教えを乞うなど懸命に新しい人生を模索していく。
しかし、水野家は吉宗にとっても大事な譜代大名だった。江戸家老は呉服問屋と組んで結城紬の横流しで私腹を肥やしていた。将来を案じ、勝四郎に「なぜ、現状を乗り越えようとしないのか」と、悪事に手を染める江戸家老の意のままにさせずに勝四郎に家督を継ぐように諭す。
そして、覚悟を決めた勝四郎は目が覚めたように江戸下屋敷に踏み込み、江戸家老に詰め寄る。吉宗も駆け付け、成敗。おちよとの恋はかなわなかったが、別れ際、老人にしごかれながら自分で作った金のかんざしを手渡す。
勝四郎は、藩政を立て直し、立派な大名になったという。
おちよにはかわいそうな結末になったが、淡い恋物語はおもしろかった。
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