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印象に残る諸々の事々

シンクロエナジャイザー

2006-08-25 00:49:49 | Weblog

もう一昔前の装置であるが、シンクロエナジャイザーと呼ばれる機器があった。
点滅するライトの付いたゴーグルと、その点滅にシンクロして電子音の出るゴーグルを装着し、人間の意識状態のコントロールを目指した装置だった。
眼をつむってプログラムを起動すると、まぶたを透して赤や白の光が明滅する。
視覚的には眼をつむり、広げた手の平を目の前でゆらゆらさせると同様な効果が得られる。
1997年に、ポケットモンスターを見ていた子供たちが、明滅する画面を見て気絶した事件があったが、あれを意識的にコントロールして行うようなものである。
装置のプログラムには、睡眠や瞑想、リラックスや精神的な痛みを和らげるもの等、十数種類のプログラムがあり、脳波をα波やθ波さらに自分でカスタマイズしてプログラムを組み立てることも出来るようになっていた。
そもそもこの装置は、ベトナム戦争でいわゆるトラウマ、精神的外傷を受けた元兵士のためにアメリカで開発されたものだと聞いていた。また電子ドラッグとも呼ばれ、高僧が20年の修行の末に到達できる瞑想状態へたった15分で入ることができるといった雑誌記事などに、手にするずっと前から装置への過大な効果の期待と欲求が高まっていた。

大学に入りたての私は、世間との、人との関わり方、距離感をつかめずにいた。
劣等感に苛まれながらも、目立ちたい、認められたいと思っていた。
思っていること、伝えたいことが上手く伝えられない。
思ってもみないことを言ってしまう。
目立ちたくてついバカな発言やつまらないギャグを言ってしまう。
嫌われてしまったかもしれない。
自分の発言が人を傷つけてしまったかもしれない。

毎日、その日の行動と発言を反省してばかりいた。
他人からすれば本当に些細なことをいつまでも、いつまでも後悔し悩む。
何ヶ月も何年も前の出来事を思い出しては悩む。

家に帰ると布団の中で丸まって頭を抱えた。
頭が割れそうだ、イライラする、吐き気がする、叫ばずにいられない。
世界が、身体を取り巻く空気が自分を押しつぶす重力のように感じた。
強迫神経症なのかもしれない。でも医者には行きたくなかった。精神安定剤も試したが効果はなかった。
生きていたくない、外に出たくない、人に会いたくない、何にもしたくない、苦しい、死にたい・・・。

どうにもならない状態を少しは打開してくれるのではないかと期待し、すがる思いで日本に入ってきたばかりのシンクロエナギャイザー「リラックスマン」を手に入れた。

初めて装置を装着し、プログラムを起動する。
見たことのない視覚感覚が飛び込んできた。
おびただしい光のシャワー、光の炭酸ソーダ、思わず声を上げた。
その光と、シンクロされた音は脳をかき回し、頭の中のもやもや、強い感情を網でこし取ってくれるかのようだ。やがて、いつの間にか眠ってしまっていた。そしてプログラム終了間際の点滅パターンが脳を覚醒に導く。唐突に終わった明滅の直後、暗闇の中に残るおびただしい数の星々の残像。
脱力感、リラックス、脳の弛緩。凄いものを手に入れてしまった・・・。

それからは毎日、強い感情、気が狂いそうな感情がやって来る度にシンクロエナギャイザーを装着し、プログラムを走らせた。
1日に20分から60分のプログラムを2回から3回、長いときには3時間連続で装着する。
そんな試みを何ヶ月か続けるうちに、激しい感情の振幅が確かに小さくなってきた。

シンクロエナジャイザーの電子ドラッグ的な側面も見えてきた。
明滅する光の合間にイメージが見えることがあった。一秒間に数回の点滅の合間ごとに、様々なイメージが洪水のように押し寄せた。時には点滅が見えなくなり、意識は覚醒しているのに夢のような映像が見えた。
当時のアーティストの中にはシンクロエナジャイザーを取り入れる人達が出てきた。
松任谷由実はアルバムのジャケットで装着している。
ある大学の芸術学部では研究対象にする研究室もあった。

やがてシンクロエナジャイザーを日本製の新型機に買い換え、その後数年間は無くてはならないものとなったが、時が経つにつれて装置の使用回数は減っていった。
装置は対症療法的なものであって、心の根本的な部分が変わったわけではない。
若さ故の悩みだったと思う。
自分を理解して欲しいばかりで、人を理解しようと思っていなかった。
なんでも白黒つけないと気が済まなかった。
上手くいかないことを人のせい、社会のせいにばかりしていた。
余りにも非現実的な夢ばかり追っていた。
理想の自己イメージが余りにも今の自分とかけ離れていた。

歳をとり、自分を表現する方法をみつけ、価値観の多様性を認め、世界の曖昧さ不可思議さを思い、社会とも精神的に一定の距離を保つようになっていた。
自分だけが劣っているわけでも、誰が優れているわけでもなく、絶対的な基準もない。
理想の自分像をもっと現実に近づけた。今の自分を少しは認めた。許した。感謝した。
いずれ装置は必要無くなっていた。

人間の心をコントロールしようとした斬新な装置。
高僧の到達した瞑想状態が単に脳波の周波数だけの問題であるはずもなく、シンクロエナジャイザーは、それをシュミレートするなんて雲を掴むような話しを現実にする装置ではなかった。
幻覚も、気まぐれで現れるコントロール不能な夢だった。
この装置は人を桃源郷に連れて行くわけでもなく、超能力を目覚めさせるわけでもなかった。

しかし、それはきっと今でも、必要な人には多大な貢献をする装置になると思う。
あの頃の自分にとっては、無かったら死んでいたかもしれないくらい必要な装置だった。

初代のシンクロエナジャイザーは誰かに貸したまま忘れてしまった。
2台目はゴーグルの右目側のランプが全て点かなくなり、もう直すこともできない。
希ではあるが、強い否定的で陰鬱な感情が湧き上がることもあり、
あの光の明滅とリラックス感をまた体験したいと懐かしく思うこともある。


私にとって2台目
初の日本製シンクロエナジャイザー「メガブレイン]

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トップ画像:松任谷由実 1991年 アルバム「DAWN PURPLE」
シンクロエナジャイザーを装着

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5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
あ゛ーーーーーー!!! (前田あんこ)
2006-09-04 02:09:55
最初の写真、微妙に なにか共感のようなものを掻き立てると思ったら、



>トップ画像:松任谷由実 1991年 アルバム「DAWN PURPLE」



ああそうか、無敵の「女王」だった当事のアレか!

どうりでなんか見覚えがあると思った。



それにしても興味深い体験談の数々、特に

日本製シンクロエナジャイザーなんかは 出来る事なら

実際に試してみたいという気持ちに駆られます。







さて、永らく凍結中のBBSですが、デザインがどうこうとかよりも

マルチポスト書き込みの嵐が問題なのかなと思ったのですが

どうなんでしょう?

そうだったらパスワード式CGIを使ってみるのも手だと思います。



これとか

http://www.kent-web.com/bbs/gwbbs.html



IDとパスワードはTOPページとかの すぐ分かる場所に置いて

誰でも見れるようにすれば問題なし。







軍艦島が世界遺産&観光地になるんじゃないかとか

カメラがすっかりデジタルになってしまった事とか、

話題は尽きぬところながら 今夜も酔っ払って眠たいので

これにて失礼。
返信する
お久しぶりです (つくね)
2006-09-05 22:42:38
どうもぉ!あんこさん

シンクロエナジャイザーぜひ体験して欲しいです。

こんなのありました

http://gosin.e-city.tv/mind.html

ちょっと触手が伸びています・・・



BBS そうですねぇ 参考にさせてもらいます。

あんこさんはミクシィはやっていないのかな?

わたしはフィルムの魔力を最近また感じています。
返信する
初めまして。 (秋白子)
2006-10-03 20:01:19
私は三重県四日市市在住の高校生です。読書が趣味です。小学生の頃から読書が好きで、「キュリー夫人」や「ナイチンゲール」、「ヘレン・ケラー」など、過去の偉人の伝記を読むのが好きでした。最近は、ドストエフスキーの作品を好んで読んでいます。今までに、「罪と罰」、「カラマーゾフの兄弟」、「悪霊」(いずれも新潮文庫)を読みました。また、カフカの「変身」、カミュの「異邦人」、ヘミングウェイの「老人と海」(いずれも新潮文庫)も読みました。ダン・ブラウンの「ダ・ビンチ・コード」は原書のペーパーバック(The Da Vinci Code, Bantam Press)も取り寄せ、日本語訳(角川文庫)と読み比べました。日本文学はあまり好きではありません。森鴎外の「舞姫」、夏目漱石の「こころ」を読みましたが、あまりおもしろいと思いませんでした。以前は京極夏彦さんの作品をよく読みました。京極さんの作品は娯楽小説としてはおもしろいと思います。綿矢りささんの「蹴りたい背中」には共感できませんでした。小説以外も読みます。アドルフ・ヒトラー著「わが闘争」(角川文庫)や、岩田靖夫著「ヨーロッパ思想入門」(岩波ジュニア新書)を読んでとても刺激を受けました。また、新書のベストセラーも読みます。養老猛司著「死の壁」(新潮新書)や、関岡英之著「拒否できない日本 アメリカの日本改造が進んでいる」及び「奪われる日本」(文春新書)からは、大いに示唆を受けました。黄文雄著「朝鮮半島を救った日韓併合-いつまで彼らは“被害者”を続けるのか」(徳間文庫)、竹内睦泰著「これだけは知っておきたい 日本・中国・韓国の歴史と問題点80」(ブックマン社)、森田実・副島隆彦著「アメリカに食い尽くされる日本」(日本文芸社)、渡部昇一著「東条英機 歴史の証言-東京裁判宣誓供述書を読みとく」(祥伝社)のような新刊本も読みます。また、科学系の本も読みます。以前、生田哲著「脳と心をあやつる物質-微量物質のはたらきをさぐる」(講談社ブルーバックス)を読みました。今後は受験勉強がますます忙しくなり、ゆっくりと読書する時間もなくなるので少し残念です。

テレビはニュース以外あまり見ませんが、NHKの大河ドラマは小学生の時から見ています。特に、戦国時代をテーマとする作品が好きです。以前見た中では、「利家とまつ」が良かったです。勿論、今放映している「功名が辻」は毎週見ています。また、韓国ドラマの「チャングムの誓い」も欠かさず見ています。

最近、休日はほとんど外出しません。昨年は、愛知万博によく出かけました。20回は行ったと思います。某左翼政党は、今時、万博をやる時代ではない、愛知万博は失敗する、ツケは住民が払わされると言っていましたが、結果は逆になりました。

 勉強の方は、英語と歴史が得意です。特に世界史は、この前、河合塾の模試で全国トップクラスの成績でした。そんなに時間をかけて勉強したわけではないのですが。英語は昨年、英検2級に合格致しました。今の調子で成績が伸びれば早慶も狙えるそうです。でも、今は自宅から通える名古屋の某有名私立大学を志望しています。しかし、実際には英文科などに進んでも英語に関わる職業に就く人は少ないそうです。むしろ、理系を選択し大学院に進んだ方が英語を使う機会は多いらしいです。でも、数学があまり得意ではないので、理系を選択すると志望校を地方国立レベルまで下げなければならず、悩んでいます。法学系も関心がありますが、近県の大学では法学部の定員は少ないし、司法試験は法科大学院を出ても合格率は半分程度なので、自信が持てません。せめて、大学を出てもニートやフリーターになるのではなく、ちゃんとした就職ができればと思っています。



さて、シンクロエナジャイザーですが、友人が親戚の叔父さんから聞いて知っていると言っていました。このブログもその友人から聞いて知りました。今、この装置に大いなる期待を抱いています。受験勉強に役立つとすれば、人生を変えるかもしれない。とすれば、まさに、受験生の救世主以外の何者でもないのですが・・・。

友人の叔父さんは、学生時代にテレビ朝日系列の「トゥナイト」という番組で紹介されていたのを見たそうです。当時はまさかメディアの宣伝に騙されて、本当に効果があるかどうかもわからない高額商品を、自分で買う馬鹿はいないと思っていたそうです。買った人は、騙されたということに気付いても、すぐにはそのことを認めず、効果があるのだと自分に言い聞かせながら、ムキになって使用するそうです。そして、騙されたショックから立ち直るにつれて、だんだん使用しなくなるのだそうです。効果があれば使い続けるはずだというのです。そして、騙されたショックから立ち直った後も、自分にとって意味のある機械だったのだと自分に言い聞かせ続けるそうです。そして、他人を巻き込み、他人の賛同を得ることで、過去の自分を正当化しようとしているというのです。



創価学会に所属している別の友人も、シンクロエナジャイザーには否定的です。そのような怪しげな心霊装置に惑わされるのではなく、勤行をしなさいと言うのです。その友人は、カルト教団や霊感商法にマインドコントロールされるのは、日本人が宗教に対する正しい知識を持っていないからだと言っていました。幽体離脱や念力にしても、通常ではそのような超常現象はあり得ない、あっても有害だ、ただ勤行によってのみ有益な奇跡が起こりうる、と言っていました。その友人に、「御書を学ぶ人のために」という本をしきりに薦められました。創価学会信者は、「御書」という書物を、キリスト教の聖書のようにして読んでいます。日蓮上人によって、鎌倉時代に書かれた文書を集めた、分厚い書物です。信者の家庭には一冊ぐらいずつあるそうです。その書物には、鎌倉時代より古い時代の仏教の他宗派を否定する理由は書かれています。しかし、そこからどうして現代の他の新興宗教を否定できるのか、今ひとつわかりません。(特に同じ法華経系の立正佼成会を目のかたきにしているようです。)そこのところと、公明党が自民党と連立内閣を作り、神道を否定していながら靖国神社に参拝する首相と協力するということや、郵政民営化を無理に進めるというのが、矛盾だらけに見えます。ですので、誘われてはいますが、私は創価学会に入るつもりはありません。勤行することによって、あんないいことがあった人がいる、こんないいことがあった人がいる、と言いますが、ごく一部のいいことがあった人の例だけを挙げて、その他大勢の、いいことも悪いこともなかった人々のことに触れないというのは、おかしいです。何も信心していなくても、いいことがある人は、いくらでもいます。それに、その友人の言う宗教に対する正しい知識というのが創価学会の教学のことで、それを学べば、マインドコントロールされないと言うのもおかしいと思います。外からは創価学会自体も信者をマインドコントロールしているように見えるからです。



だからというわけではありませんが、念力等の現象はあり得なくはないのではないかと思っています。有害かどうかはわかりませんが、ムキになって否定する理由もないと思います。このような現象があるかないかということは、神秘的なままにしておいては、新興宗教の布教活動に利用されるのでよくないと思います。どちらかというと、科学的に解明してほしいと思うのです。

シンクロエナジャイザーについては、光の明滅によって、脳波がα波やθ波になるというように、ある程度、人間の脳に与える作用が解明されているのであれば、その点をもっと進展させるべきです。どのような光の明滅を与えれば、どうなるのか、脳波だけでなくいろいろなデータを示すべきでしょう。現代では、MRIや光トポグラフィーのような脳内の活動を調べる機械も進歩していますし、セロトニンやドーパミン、ノルアドレナリンなど脳内化学物質の作用も解明されつつあります。光の明滅によって、脳がどのような作用を受け、脳のどの部分が活動し、どんな脳内物質を分泌するのか、実験的に調べることは可能だと思うし、メカニズムの理論的解明も可能だと思うのです。

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そうですか (つくね)
2006-10-05 23:47:50
コメントありがとうございます。

友人の親戚のおじさんや学会の友人の発言は、シンクロエナジャイザーを自ら使っての感想ではなく、他人やメディアの情報からイメージした空想ですね。経験に裏打ちされた知識ではない。

結局主観的な精神現象のたぐいは、自分で経験しないと分からない、経験した当事者でないと分からないのだと思います。だからこそ念力の実験もしました。

どんなに他人に否定されても、理論武装で攻撃されても、自分の世界観にその現象は存在し、有効でもある。

全ての人に分かってもらう必要はないと思っています。

世界への好奇心の一つでやったことです。

人それぞれの、宗教それぞれの世界観があり正解がある。

それを許容する構造が宇宙にはあると思います。

僕にも学会の友人はいますし、多くの部分で共感できる部分もあったのですが、他の宗教を否定するところだけは納得がいきませんでした。池田さんは他の宗教とも交流を持たれているようですし、他の宗教を真っ向から否定するような人にも思えないのですが?そこのところはよく分かりません。

そもそも神や仏は数千年前に語ることを止めたわけではないと思いませんか?いまでもあらゆる場所と機会からその声は聞こえてくるように思えます。



シンクロエナジャイザーの効力ですが、ご自身で解明されてはどうですか?念力も経験してみてはどうでしょう?

本で得た知識で大きくなった頭を支えられるだけの身体(経験)もぜひ鍛えてください。



シンクロエナジャイザーが受験勉強に役立って、人生を変えることになると僕は思いません。

息抜きやリラックスには良いと思います。

忘れたいのに頭にこびりついて離れないことを忘れるのにも有効だと思います。

それこそバラ色の宣伝文句は信じない方がいいと思います。

でも安くなったようですし、試してみて損はないと思いますよ。
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DonaldBleme (DonaldBleme)
2017-04-19 07:00:49
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