機械屋の七転び

自宅から仕事場の間の「うーむ」や「えー?」そして突然思いついた閃きで作り上げた物などを紹介したりしています。

せんべいの作り方(知的障害者向け)・・・①

2009-12-03 | せんべいについて
昔から親しまれている味、お茶を飲みながら・・・醤油味のせんべい・・うま!!
お茶がより美味しくなる。

そんな「せんべい」の作り方
結構難しい・・・簡単そうなんだけど、せんべいの職人がいるくらいなんです。

どんな業界にも職人技を持つ人たちがいる。当然せんべいの業界にも・・・

よく家庭でパンやクッキーを焼いたり、いろいろな食べ物を手作りする人たちがいる。
しかし 「せんべい」を手作りした・・という話はあまり聞いたことが無い!!

以前 その製造装置メーカーに在籍した経験を踏まえて言えば、「しろうと・素人」には半端ではなく難しい製法だと言える。
いや・・・難しい工程が多い・・と表現した方が正しいかもしれない。

自宅で適当に作ろうと思えば、さほど難しくはないとは思うけど・・
まあ・・一応はせんべいに近いものは、ある程度作れる。どこまでを「せんべい」と見なすかを除外すれば・・
自分でこれが「せんべいだ!!」と思えばすべてせんべいなのだから・・
ただ・・商品としては無理だろうネッ。

「せんべい」と一概にいうが、小麦粉を利用したもの、例えば「カワラせんべい」や東北 岩手地方の「南部せんべい」などもせんべいの部類。
しかし ここで言う「せんべい」は米を加工した「せんべい」についてである。

よく「せんべい」の発祥は、昔 茶店でダンゴが余ったのを平にして焼いた・・・と言われている。埼玉の草加地方辺り・・・おせんばあさん・・・とか
せんべいの論文ではないので省略・・・というか さほどそんなことは興味が無い

一身上の都合・・・便利な言葉・・で機械メーカーを辞めた。
長い間 開発課を率いていた、やーーーめた!!だった。

今は 超零細弱小企業で細々と機械を作っている。
その中で 知的障害者の施設長と知り合い、「せんべいを入所者で作りたい」と相談された。

同系列の施設ではパンやクッキーを作っている。
一般家庭でも多少調理が好きな人なら作る人も多い「手作りの王道」

しかし・・ことせんべいに関しては決して簡単に作れるような代物ではないと思う。
それを ここの施設で作る。
手焼せんべい・・・完全な職人の技が必要になる。
「うーーーーーーーーん」
「うーーーーーーーーーーーーーん」
その業界を知りすぎている。
三度目の「うーーーーーーーーーーーーーーーん」段々長くなった?

一般的に「せんべい」とは
米・・うるち米を主に加工したものを「せんべい」と呼び
もち米・・糯米を主に加工したものを「あられ」と呼んでいる。

とりあえず簡単なせんべいのレシピ*メンドクサイ人はトバシテ読んで下さい。

精白した米(水分はおよそ13%)を桶に入れ、水に浸しおよそ6~15時間(使用する原料米により変動)、充分に水を含ませる。
余分の水を切り(水分値約32%)、ロール式の粉砕装置で粉砕、製粉する。

それを水で良く捏ねて蒸し上げる。
(業界では蒸気を利用し、攪拌しながら捏ね上げる装置を利用する、以前のセイロを使い蒸しあげることの機械化)
このとき米の粉以外の副原料も混ぜる場合が有る・・・「せんべい」の種類にもよるが、どんな「せんべい」を作るか?で必要な手段でもある。*水分約42%前後

出来た団子状の物が「しんこ」と呼ばれる塊。
これを水のタンク(桶)に入れ冷却する、この冷却とともに米独自の匂いも洗い流す効果がある。

適度に冷却した「しんこ」をラセン羽根を利用した練り作用を持つ装置で練り上げる。
これを小さく丸めて4個ほどを串に差すとダンゴ・・になる。「うま!!」
話が反れた、反省

「しんこ」をロールで圧延し、シート状に薄く延ばし、型を抜いていく。
型抜きされた「しんこ」は、ここから「生地」と呼ばれる。
その「生地」を干し網などに載せ、乾燥装置で乾燥する。*大体生地水分は20%前後位
これを一次乾燥とも呼ぶ。
「生地」の表面が最初に乾いてはいけないような乾燥方法の装置を利用する。
最初に「生地」表面が乾いてしまうと内部の水分が抜けず、焼き上げると「ぶく」と呼ばれるデコボコに膨らんだ「せんべい」になってしまう。
*二級品又は久助と業界では呼ばれる。最近はなんて言うのだろうハネモノ?
でも・・こんなせんべいが案外美味しい

問題はこのあと
通常パン等を作る場合、発酵まで寝かせる、せんべいも当然寝かせる・・ただ発酵が目的ではなく・・・一枚一枚毎の水分の均一化が重要な部分
一次乾燥で乾燥した「生地」の一枚・・この表面と内面の水分は均一ではない・・
それを均一にするため!!
一次乾燥で出来た「生地」を紙袋に入れ、さらにダンボール箱等に詰め、均一な温度(室温24度*商品により変動)の部屋に20時間(約一日)ほど置く(これを・寝かせ・と言う)
*紙袋やダンボール箱は通気作用があるので利用する業者(メーカー)も多い、しかし密封容器に入れる場合もある。
管理する温度や湿度も含め、この「寝かせ」に限らず、原料米の製粉、しんこ、生地作り、そしていずれの作業の焼き上げ、さらに味をつけるまで「せんべい作り」は、各米菓製造企業のノウハウの蓄積が大きく作用する。
早い話 これが味覚企業の生き残る道(術)・・なんでしょうネッ

この「寝かせ」の効果とは・・・
生地の乾燥とは表面と内部の乾燥度合いは、絶対に同様の乾燥が行われない・・と言うことにある。
表面が先に乾燥すると内部の水分は抜ける場所がなくなる。
そうすると内部の乾燥が進まず、焼き上げたとき均一な製品にはならなくなる。
ついでに・・・
「せんべい」の生地」は乾燥するとガラスのようになる。・・知らない方のために

そこで・・一枚毎の均一な水分を得るためと、その他全ての生地の水分を均一にするように、それぞれの生地から発散される水分(湿気)で、隣り合う生地同士お互いが水分の移行作用も期待しながら、同梱の生地を長い時間をかけて補い合い均一な水分値となるように必要な工程が「寝かせ」と呼ばれる。
この方法が均一な製品としての「せんべい作り」に欠かせない工程となる。
*企業として均一な製品作りに欠かせない部分、一枚だけ作るのではなく、企業は大量に作る、同じ商品は均一に が必要不可欠・・・

勘違いしないで下さいね。
これまでの説明は あくまでも基本的な事
「せんべい」と一概にいっても色々な種類があり、メーカー毎に種類毎に水分値も含め多種多様な作り方がある。
米の粉砕の粗さ(メッシュ)も違う、蒸気で蒸す時間も違う、「しんこ」を練る回数も違う、生地の厚さや型抜きの型の大きさも、もちろんメーカー、種類毎に全て違う・・・ということです。

バリっと堅いせんべい・フワッとしたせんべい・薄いせんべい・厚いせんべい・揚げてあるせんべい・・・それぞれ目的に合わせて「粉」「しんこ」「生地」その段階のそれぞれの水分値も含めて、全てメーカー独自のデーターレシピがあるのです。
ですから、この説明はあくまでも基本的な製法です。
「まあ・・へーーそうなんだ」位の気持ちで受け取ってください。

メンドクサイでしょ?
健常者でもそれなりの知識がなければ、おいそれと「せんべい」なんて出来ません。

こんな多少なりとも「せんべい」の工程を知るものにとって、とても知的障害者の更生施設向けの「手焼せんべい作り」をお手伝い出来るか?自信ありません。
でも・・・心配は無用なのです。
ここまでの「せんべいの生地」を専門に作る業者がいるのです。

「こんなせんべい作りたい」とお願いすれば!!
「はあーーーーーい」とね。

せんべいの生地を作る専門のプロ、通称「生地屋」
この施設の「手焼せんべい作り」はこの生地屋さんのおかげで、なんとか一歩を踏み出しました。

ここまでが「せんべい」を焼く前の「生地」と呼ばれる第一段階の製造のウンチク
この後は「せんべい」を焼き上げる工程の説明をします。

知的障害者が「手焼せんべい」を焼く・・・
健常者でもまさに職人の世界
それを可能にするために、作った装置の説明は・・・②・・に続きます。

*ごめんなさいね、本業の機械作りもあるので、暇見つけながら投稿しています。
次の工程の説明はチョッと時間を下さい。じっくり書き溜めてから公開します。
また簡単な紹介はホームページにも掲載サイトがありますので、そちらをご覧下さい。

繰り返します、これはあくまでも機械屋の知識です。
せんべいを作る側の知識ではありませんので、異なる部分が多くあると思います。
当然これ以外のデーターや製法はあるのですが、企業秘密?も含まれますので、標準的な部分のデーターを基にしています。










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