「結局首相……コールマンは何者なんでしょうね?」
部下の調査官が主任調査官にコーヒーを渡しながら尋ねる。
「俺たちの仕事は捜す事であって正体を調べるわけじゃないぞ」
「……検死官のところまでいった人の言葉とは思えませんね」
ふんっと鼻を鳴らしてコーヒーを飲む。
あまりの不味さに顔をしかめる。
「目が覚めました?」
「脳細胞が壊れた分な」
紙コップを握りつぶすと今までの報告を確認する。 . . . 本文を読む
検死室から検死官が出てくる。
廊下にあるソファーに座り、マスクを外し息を吐く。
「お疲れ様です」
検死官の口元に煙草が差し出される。
手を追って見るとその先に調査官がいた。
「……公安の人間か」
検死官はパッケージから一本出てている煙草を口に咥える。
調査官がピンポイントのレーザーライターで火を点ける。
天井の染みを眺めるように見上げながら紫煙を吐き出す。
二人の間に煙がまとわりつく。
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夕飯時
「タイトルが思い出せないアニメがあるんですよ」
「どんなのです」
「20年ぐらい前のロボットアニメで」
「ふむふむ」
「少年少女が超能力使って」
「うん?……」
「敵の要塞に突っ込んで二体ロボットが壊れて」
「へぇ……」
「でも壊れたロボット超能力で作り直せて、さらにパワーアップ」
「……」
「なんてタイトルでしたっけ?」
「見たこと無いよ、そんなのw」
「ええ~ . . . 本文を読む
首相誘拐調査本部では様々な人間が慌しく働いている。
集められたデータを確認している部下に調査官が近づく。
「DNAの結果が出たって?」
調査官が部下に尋ねる。
「ええ、ですが……ありえないですよ」
送られてきたデータを端末で確認しながら部下が顔をしかめる。
「見せてみろ」
部下の端末から自分の端末へデータを転送させる。
「なんだ首相のデータと一致してるじゃないか」
回収された髪の毛 . . . 本文を読む
「エルミニア文書のデータがコピーされたそうだな」
独立研究機関の第七機構の所長室
第七機構の所長に問い詰める男が居る。
「はい。どうやらHHの襲撃に紛れて行われたようです」
「失態だな」
「申し訳ありません」
所長の額に汗が浮かぶ
「……まあ良い。単体では使用する事は出来ないからな」
「しかし、アレの価値を知る者が他に居る可能性が……」
「無駄だ。だが今後の警備は強化しろ」
「了 . . . 本文を読む
「ご無事ですか首相」
秘書が拘束された首相に問い掛ける。
「何とかね……」
座席の下に転がされた状態でコールマンが答える。
「もう暫くそのままで我慢してくださいよ」
Termiteがトレーラーの運転をしながら言う。
「まだ中央政府の検問の範囲から抜け出てないんで」
「久しぶりに交わす言葉がこんなだとはね……」
Termiteが苦笑する。
「貴方からすればね……私はいつも会ってます . . . 本文を読む
「くそ、まだ追ってくるぞ!!」
背後からサイクロプスが路面の舗装を踏み壊しながら歩いてくる。
「次ぎの角を右!」
マイカ=Anophelesが前でナビゲートする。
「聞いてないぞ!こんなのが出てくるなんで!?」
角を曲がる寸前に数個手榴弾を後ろに転がす。
曲がってから数秒後に爆音と爆風が背中を襲う。
マイカ=Anophelesの盾になりながら後ろを確認する。
無傷のサイクロプスがゆっくり . . . 本文を読む
「まったく、なんたる事だ」
「首相の誘拐など前代未聞だぞ」
「一体警備は何をしていたのだ」
「ともかく犯人の足取りを……」
公安調査庁の会議室は騒然としていた。
「病院無いに残された薬莢から銃器が判明しました」
公安調査員の一人が報告する。
「軍部で使われているMP40CP。対テロ部隊が使用する銃です」
「彼等はなんと?」
「現在兵士が3名所在不明だそうです」
「そいつ等を指名 . . . 本文を読む
「首相、採血させてくださいね」
「ああ、構わんよ」
コールマンが腕を差し出す。
「ちょっと待ってください」
部屋の隅のボディーガードが近づく。
ざっと看護婦の道具をチェックする。
「…どうぞ」
看護婦がコールマンの手に針を刺す。
注射器の容器に血がたまる。
「はい、お疲れ様でした」
そう言って看護婦は手早く片付けると部屋の外にでる。
出口近くのボディーガード二名に軽く頭を下げて出て . . . 本文を読む
「首相、彼女から連絡がありました」
端末を仕舞うと秘書らしき金髪で妙齢の美女が首相に伝える。
書類にサインしていたコールマンが顔を上げる。
その顔には苦笑いが浮かんでいる。
「やっとか……彼女は何と?」
背伸びをすると椅子から立ち上がる。
「『準備して』それだけです」
「そうか……」
懐かしむように遠くを見るコールマン首相。
「ロブソンに連絡してくれ、私は入院するってね」
「了解し . . . 本文を読む