セグメントゲームズ

元ゲームプランナーという、しがない肩書きだけが取り柄のゲームブログ。生ラジオの告知が中心で、たまにテキスト対談を更新中!

議論~年末年始で大いに力を振るったWii 今後の展開は?

2008年01月13日 11時38分57秒 | 【旧】コンテンツ集
【週間売上ランキング】 『Wii Fit』が早くもミリオン突破、新年最初のランキングです(12-31-1/6)
【週間ハード売上ランキング】 DSが26万台強でトップ(12/31-1/6)
(iNSIDE様より)


任天堂タイムス」さんがけっこう年始からいろいろ熱く語っていらっしゃったので、こちらもひとつ、涼やかにいってみましょうか(ぜんぜん涼やかじゃない)


Wii Fit』がすでに100万本を突破し、出だしの売上で非常に心配されていた『スーパーマリオギャラクシー』も80万本を突破しました。Wiiの失速が特に大きく垣間見えた11月の心配はもはやどこへやら、という感じです。私は、ですけど。

あと10日ほどでいよいよ『大乱闘!スマッシュブラザーズX』も世に姿を現します。
個人的予想としましては、おそらくマリオギャラクシーと同じような感じで出だしは期待したほど売れず、しかしじわじわと数字を重ねていって、いつの間にやら…という売上になっていくと予想しています。
マリオギャラクシーもそうですが、いわゆる初動型(発売の週のみドーンと売れるタイプ)というよりはじわじわ売れるタイプになっていくのではないかと思います。大方「いつのまにかミリオン」みたいな話になっているかもしれません(笑)



もう思うんですが、これがWiiでのゲームの売れ方と割り切って考えるべきかもしれません。
最近思っているのが…『マリオギャラクシーの出だしがゲームキューブのマリオサンシャインより少なかった』というデータは、もはや意味をなさないと考えています。ゲームキューブはそれこそWiiと違って、ほとんどがゲームをそれなりにプレイしている層だったと考えると、マリオギャラクシーの初週売上が前作にあれだけ近づけたことは、むしろそこそこの功績ではあったと思ったほうがいいかもしれません。

それにまあ年末年始は基本、任天堂ハードは強いですしね。
年末年始、あるいは3月や8月といった時期がなぜよく売れるかは、大体分かりますよね?春休みだとか夏休みだとか、あるいはクリスマスやお年玉といった『媒体』が、ゲームの購入に手を伸ばさせているからです。

そう考えると、どうでしょう?マリオギャラクシーが発売したのは昨年の11月初頭です。きっかけとなる「媒体」が非常に少ない時期だったと考えられます。そしてWiiの購入層は、『Wii sports』や『Wii Fit』の売上を見ても分かるとおり、あまりゲームに触れたことのない層が多いでしょう。そういった層の人というのは…大体ゲームと自分の間に、ゲームを買わせるきっかけ、つまり「媒体」が存在しないと、わりと手が伸びないものです。

という風に考えてみると、11月に発売したマリオギャラクシーが売れなかったのも、今考えれば「当然」だったのかもしれません。「年末年始にしか売れない」ということは、別に何も悪いことではありません。発売日に売れる売れないに注目しすぎるというのも、やはりそれはゲーマー的な考えだと思っています。



そうやって色々考えていくうちに…なんかこう…難しいんですよね。確かに今のWiiは安泰とはいかない存在ですが…かといって、そんなに心配されるほどのものなんでしょうか?

こう言うのも何ですが、まず少なくとも他のメディアが絡んでくる限りはいきなり陥落するようなことはないと思っています。WiiはNTTと連携してネット接続に力を入れ、CMも流しています。
さらに、3月から開始される『Wiiウェア』には、あまり聞いた事のないようなメーカーが次々と参戦の意思を表明しています。Wii自体のこれからはどうあれ、少なくともあらゆるメディアを引き寄せられる磁力は、半端なものではありません。

それに、他ハードとの最も大きな違いとしては、他メディアの広告にもよく利用されるということです。まあ他メディアというのはとりあえず人気あるものを扱っていくという感じですが、言うなれば今のWiiはそういう場で取り扱われる、ある種「カリスマ性」みたいなものを持ち合わせています。


今のWiiの姿というのは、望んでいた形か?望んでいない形か?それは人それぞれ違うことと思います。むしろ、おそらく大半のゲーマーは、あまり望んでいなかった形かもしれません。
しかし、望む望まないということがそのハードそのものの良い悪いを決めるわけではありません。そして我々クリエーターは、常に変化を求めているというのが胸の内にあったりします。

早い話が、ほとんど同じものを提供し続けていいものなのか?という疑問が、今のクリエーターの中では常に考えられていることです。
内容が同じでちょっとストーリーやキャラクターが違うとか、そんなものをわざわざお金を出してもらって買ってもらう意味はあるのか?それだったら、好きなタイプのゲームをズーっと遊んでいればいいじゃないか、ということになっちゃいます。だから特にここ数年は、特に大手メーカーは大きな変化を求め続けています。

色濃く現れているとしたら、やはり『ドラゴンクエストIX』でしょうか?あれこそ、劇的な変化だと思いますが、結局これも今のドラクエのあり方がこれでいいのか?というのを考えた末のものだったんだろうと思うわけです。そしてそういった劇的な変化は、「一時的には」ユーザーの望まれない存在になるでしょう。だから批判が飛び交うのです。ドラクエIXがまさにそうだったように。

よく「何でこのゲームにドラクエという名前を使うの?」的な発言も多く見受けられますが、逆に言えば、ドラクエという名前で出なかったら、買ってますか?ということです。ドラクエという名前でないだけで見向きもしてくれないユーザーは非常に多いです。情報集めている皆さんだったら買おうと思うかもしれませんが、一般ユーザーはそうではありません。
いわば、今のFFだとかドラクエだとかいうタイトルは、そのゲームらしさを表しているというよりは「ネームバリュー」としての役目のほうが大きいでしょう。これもユーザーが望む望まないに関わらず、現実のことなのです。



以上のことを踏まえまして、本題。
「Wiiでゲームらしいゲームが売れない」ということに関して、どこまで深く突っ込むべきなのか?という点を考えてみると…これもまたなかなか難しいんですよね。

以前、任天堂タイムスの管理人フォックスさんを含め何名かと対談をさせていただいた時に、やはりWiiの現状についていろいろと語りました。私自身も「いちゲーマー」として、マリオギャラクシーを筆頭としたWiiの失速を強く懸念していました。しかし、今考えるとそれは、所詮「いちゲーマー」としての考えでしかないのかなと思っていたりします。
ではWiiを「いちゲーマー」ではなく「いちユーザー」として見たときにどうなるか?というと…ここで恐らく意見が真っ二つに分かれるんだと思います。


「今のゲームらしいゲームが売れないWiiに疑問を抱いている」という考え。

「新しい極地を確実に開いているWiiに好感を抱いている」という考え。



どちらも間違っている意見ではありません。叶うならば、Wiiがどちらの考えも満たしてくれるハードになってくれればいいんですが、容易なことではないですし、そもそもそれは危険な行為なのかもしれません。

PS3でカジュアルゲームを発売したら、売れると思いますか?『Wii sports』のような感じのゲームを出したら、売れると思いますか?結局Wiiは、それが真逆になっているだけのことだと思います。

「ゲーム機はゲーム機なんだから、ゲームが売れないと話にならない」という考えもあります。PSPの昔と今を比べればそれがよく分かるわけですが…しかし、今のWiiにその考えが通用するのでしょうか?
「ゲームが売れないと話にならない」という考えは、「ゲームとはちょっとかけ離れたサービスやコンテンツを展開してみているが、それが上手くいってない」というところからそういう話になるわけであって、WiiはWiiチャンネルとか人気ですし、『Wii Fit』も売れているじゃないですか。Wiiは「ゲームとはちょっとかけ離れたサービスやコンテンツを展開してみて、それが成功している」わけです。
であれば…「ゲームが売れないと話にならない」という考えは、必要ないとまではいきませんが、そこまで懸念することではないのかもしれません。むしろ、その意識が強すぎるあまり、Wiiを何とかして「ゲームらしいゲームが売れるゲーム機」にしようとすることこそ、もしかしたら危険なことなのかもしれませんし、任天堂もそれは強く望んでいないのかもしれません。



などと、いろいろ考えていくときりがないわけですが、これはあくまで私の考えです。
私は、現状ではWiiはそこまで心配されるほどのものではないと思い始めています。「思い始めている」というのは、少し前までは少し危ないと思っていたからです。

しかし、誰がなんと言おうと「Wiiはそれでも売れている」わけです。もちろん、買ってもらっても飽きられてホコリが被っている状態にされてしまうと意味がないので、そこはラインナップを強化していくしかないと思います。それは永遠の課題として挑んでいくにしろ、ひとまずWiiというハードをちゃんと買わせることができている時点で強い存在にはなれていると思います。持ってさえいれば何らかのきっかけで火がつくかもしれないわけですし。もちろんこれは、PS3などにも言えることです。

ハードを買わせているということは、ハードに繋がる媒体、つまりソフトやサービスの何かに魅力を感じたから買っているわけです。極たま~に「とりあえず買っとくか」という考えでハードを買う人もいますが、大抵はゲーマーなので例外とします(笑)
買わせるきっかけとなる媒体がなんであれ、それが強い力を持っていればひとまずそのハードは商売としては成功していると思いますし、ユーザーにも好感をもってもらえていると思います。ソフトだと「売れていればいい」と一概には言えませんが、ハードであればわりと「売れていればいい」というところはあるので。
あと、信頼性があるということもありますね。信頼のないところの商品を、ユーザーが買おうと思いますか?ましてやWiiはゲーマーでない層にもアピールしているだけに、余計そういう点には気を使っていかなくてはいけません。

何度も言ってるように今のWiiは安泰とまでは言えませんが、私はこれからに「期待」することにします。なんかこう…「不安」の姿勢で接すると悪いところしか見えなくなりそうで、そんなのユーザーとしてもクリエーターとしても面白くないじゃないですか(笑)


はぁ…超長くなりましたね。久々に熱く語りすぎました。文章が長すぎるというのもどうかと思うわけですが(笑)
ま、色が付いてるところだけでもザッと目を通していただけたら嬉しいですね。そして、皆さんは今のWiiに何を感じているか?考えてみても、いいんじゃないでしょうか?
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2 コメント

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Unknown (フォックス)
2008-01-15 03:37:26
昨年の対談の際の、私自身のコメントについては、
お恥ずかしいですが、正直なところ自分自身で反省しています。

ここ最近、様々な分野に触れることで
改めてWiiの現状やこれからについて考察してみたのですが、
今任天堂が行っている試みは、
当初私が予想していたものよりずっと先を見ているものであり、
そしてそれは、むしろ今年からさらに加速していく可能性がある
…という考えに変わりました。


その意味で従来の「大作」的な最後の任天堂タイトルは、
まさにまもなく発売されるスマブラXが最後になるのでは…と思っています。
こう言うと誤解を招きそうですが、
これについては私自身、一つのゲームに対する区切りとして
今回のスマブラXが様々な意味で「最後」となるだろうと思っています。
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Unknown (partygame(管理人))
2008-01-15 23:47:15
>フォックスさん
予想もしなかった「脳トレ」の大ヒットからそれが一番分かるのではないかと思いますが、ゲームで新しい世界を追求するにおいて、ゲームというのはもはや「縛り」でしかないというのが本音だったりします。

時と場合によりますが、大抵ゲームの内容を考える時はゲームだけでなく他のあらゆる知識を頭の中で回しながら思考します。そうして今までになさそうな新しく、面白そうなアイデアhが誕生します。

これはゲームクリエーターを目指している人ならたぶんよく言われることなんですが、ゲームしか知らない人はいいゲームクリエーターになれません。まあ、私もいい加減ゲームしか知らないような人間なので何とかしないといけないんですが(笑)
ゲーム以外にもあらゆる知識やきっかけがあり、それを活かしたり利用したりすることで、新しいゲームの世界って、切り開けて行くんじゃないかと思いますね。


>>従来の「大作」的な最後の任天堂タイトル
なるほど…これが最後でもあり、そして新たなる「最初」への布石というわけでもあるという感じでしょうか?
任天堂が本当にそういう意味をこめているとしたら…ゲームの世界は今以上に予想もつかない変化を遂げていくのかもしれません。
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