paddle-my-canoe

自分へ漕ぎ出す。

流れ星が人間だったら。

2009-05-24 00:23:21 | 感想箱
これから話題がない時は、私的に「禁じ手」だった、好きなものの感想を語ろうかと思います。



映画「スターダスト」


映画の予告編から気になってて、でも映画館で見る機会はなくて、
DVDを借りてみたんですが…即気に入って買いに店をハシゴしました。

しかしなんだかB級映画のようでなかなか置いてない…
何軒めかでようやく購入。

あまり売れなかったようですが、この映画、本当はかなりいいキャストなんです。
まず、ロバート・デニーロ。
向こうの俳優さんにうとい私でも知ってます。
で、クレア・デインズ。(ロミオとジュリエットの人らしいです)


あらすじとしては、一人の冴えない青年が、町一番の美女に恋をしているんですが、
彼女は高嶺の花で、しかも誕生日に別の男にプロポーズされてしまうらしい。

青年は酔いにまぎれて、「君のために流れ星をとって来る」と彼女に約束します。
しかしいざ流れ星を探しに行けば、そこにいたのは一人の女性。
地上に落ちた流れ星は、人間になるのです。

青年は恋心の証明のために、元・流れ星の女性を連れて故郷に帰る途につくのですが、
落ちた流れ星を狙う魔女や、皇位継承を狙う王子らによって、狙われる羽目になるのです。

旅をする過程で、自分が本当に好きなのは故郷にいる彼女なのか、
文句言いつつも自分のために故郷にまで付き合ってくれている元・流れ星の女性なのか、
青年は考え始めるのですが、追っ手はすぐそこまで迫っていて…。


…ってな感じでしょうか。

設定、すごくいいと思うんです。
「流れ星が人間だったら」っていう設定。
キャストもいいと思います。
主人公の青年の、最初のダサさと後半の変身っぷりを、うまく演じています。

映像も結構いいんですよ。風景とか、それだけを見ると、ロードオブザリングを彷彿とさせるような映像美。
魔女とかなんかはナルニア国物語を思い起こさせてくれます。

しかし、なぜ売れなかったのか…。
若干、その理由がわかる気がします。

…作品全体がこじんまりしている感は拭えないのです。
せっかく綺麗な映像で、CGも使っていて、素敵なキャストで、設定や世界観いいのに、
見せ場が後半だけといってもいい気が。

ストーリー自体もシンプル。前半20分ほどは青年の生い立ちや立場の説明で、
あと作品の大部分は「流れ星を連れて故郷に帰る」という言葉で集約できてしまいます。

まあ、そのこじんまり感がいいんですけどね。
しかも、私的にツボだったシーンが多いんですよ!(私は、「これ!」というシーンがひとつでもあったら、もうその映画は「大好き」です)

まず、青年が流れ星を置いて、一人で故郷に帰り、「高嶺の花」の彼女に会いに行ったシーン。
彼女は旅を終えた青年が一人前の男性になっているのを見て、
「もう流れ星はいらない。他にほしいもの見つけたから」と言って青年に迫ります。
青年はそれに応えるかのように見せて…、
支える手をさっと引っ込め、好きだった彼女をどしゃっと地面に落とすのです。

このシーンで私はDVDを買おうと決めました(笑)
それから怒涛のクライマックスへと行くわけですが、話は少し戻って。

魔女によりネズミに変えられてしまった青年に対し、流れ星が愛を告白するシーン。
ネズミに向かって真面目に話をする図はすごい面白いんだけど、
切なくて、可愛いシーンです。

その後、ネズミから人間に戻してもらった青年が、ネズミだった間にされた告白を実はちゃんと理解していて、
流れ星に告白の返事をするシーン。

ここ、流れ星が心底嬉しそうで可愛いの。
星だから(?)、嬉しいと金髪が時々輝くんだけど、この女優さんこのシーンが一番キレイなんです。
よく心情を理解して演ってるんだなって、一観賞者として、すごい魅かれました。

それと、最初の方は大体ケンカしてる青年と流れ星が、だんだんお互いに惹かれはじめて、
ケンカがじゃれあいに変わるのが微笑ましかったです。

あと、やはり「お茶目な海賊」役のロバート・デニーロ。
青年が「真実の愛を考え直す」きっかけを作るなど、結構重要な役どころなのですが、
それをまったく感じさせないお茶目っぷり。

小ネタも多いんです。
皇位継承を狙って兄弟同士で骨肉の争いをした挙句、死んでいった王子たちが、
ゴーストになって生き残った兄弟を見守っているんですが、これが作品のいいスパイスになってます。

頭に斧刺さってたり、片目つぶれてたり、悲惨な最期を遂げたゴーストたちが、
皇位継承者が決まるまで成仏できず、仕方なく一緒にいる様が、残酷すぎず描かれていて作品に笑いを与えてます。

以上いろいろこの映画の好きなとこつらつら挙げてきましたが、
実のところ、一番最初に見たときの、最後に全部わかって伏線がぴたぴたはまっていく感覚にやられてしまったのです。

なんだかB級映画くさくても、好きな映画です。