我が家のおせち料理

私のおせち料理体験談を赤裸々にお伝えします^^;

母がおせち料理にこめて伝えたかった家族への愛

2016-11-13 22:32:02 | グルメ
子供のころ、お正月に食べるおせち料理が大嫌いでした。

ハンバーグやカレーライスが好きなふつうの子どもなら当然のことですが、
それでも母は大晦日からせっせと忙しい中で買い物に行き、
大掃除もほとんど1人でこなし、すべて終わった時には、
コタツにひっくり返って爆睡していました。


子供ながらに、わざわざたいして喜ばれないおせち料理をつくり、
お正月の行事にしていることに、反発心までわいてきて、
20代になるとお正月を家で家族と過ごすことはほとんどなくなりました。

あの頃母は、おせち料理をつくっていたんだろうか。
後になってふと考えることもありました。


それから月日がたって、
結婚して子供にも恵まれ、お正月を迎えたときのことです。

子供がまだ小さいうちは、お正月の用意は何もしないで
両方の実家を行き来することにしていたので、さっそく子供を連れて訪ねました。

初孫だったので、孫の好きそうなものを
これぞとばかりに買いまくっている母と父でしたが、
ふと台所をみると、煮物料理を大量につくっているのが目にとまりました。

「これは?」とたずねると、「ああ、作るつもりなかったんだけど、
何だかなにもつくらないのもお正月らしくないしね」と悪そうにつぶやきました。


悪そうにつぶやいたのは、
きっと私がおせち料理を好きではないことを知っているので、
そういったんだと思いました。

まだあたたかい煮物を、ひょいとつまんで口に入れた私。
え?おいしい?こんなにおいしいはずがない。
レシピを変えたの?とたずねながら、
今さら孫が生まれたからって変えるわけないとおもいながらも、
おいしいという言葉の照れくささを隠すために、
ごまかすための矛盾した言葉がでていました。

つまみ食いは本格的になり、台所に座りこんで食べはじめた私に、
「そういうもんなのよね」と笑っている母がいました。


主婦になって半年、特別に料理を習ったこともないのに、
レシピをみてなんとなくこなせていた日々の家事でしたが、
母のおせち料理を食べながら、これは作れないと直感で感じました。

そこには、いろいろなものがぎっしりつまっていて、
長年の積み上げた年季が感じられたからです。
少し濃いめの味付けも、懐かしい母の味でした。

何も言わなくても娘の様子ですべてを把握するのは、
世の中の母親が身につけている魔法のような能力です。
「また、つくるわね」という言葉に「お正月だけでいいよ」と、
まだ子供のままの素直になれない自分がいました。


あんなに嫌いだったおせち料理が、こんなに美味しく思える自分は、
家庭をもって母親になってやっと、この味がわかることができたんだなと思いました。

コメントを投稿