風の中に立ちなさい。
大人って何だ?
自分と、自分以外の人にちゃんと目をむけ、
いつでも他人に手を差しのべられる力と愛情を持つ人だ。
簡単に言ったが、そういう人間になるのは大変だぞ。
君が大人になるためにひとつ助言をしておこう。
ホモサピエンスは世界を一人で歩くこと、見ることで
すべてを学んできた。
これは千年先もかわらぬ大人への授業だ。
まずはケータイを置きなさい。
インターネットを閉じなさい。
テレビを消しなさい。
パスポートを取得して、一番安い乗り物ですぐ日本を発ちなさい。
目的地は?どこだっていい。
この国以外の、風の中に立ちなさい。
世界を自分の目で見ることからはじめなさい。
そこには君がインターネットやテレビで見たものと
まったく違う世界がある。
目で見たすべてをどんどん身体の中に入れなさい。
そこに生きる人々が何を食べ、何を見つめ、何を喜び、
何のために汗をかき、なぜ泣いているのかを見なさい。
ともに食べ、ともに笑い泣きなさい。
それだけで十分だ。
でもラクな日々ではないぞ。
苦しい中にこそ本物はあるんだ。
やがて帰る日が来た時、君は半分、大人になっている。
その時こそ、本当の大人への祝杯を上げよう。
二十歳の出発に乾杯。
伊集院 静
二十歳のときは、この言葉を聞いても心はそんなに動かなかったかも。
けど、32歳の私に響いています。
こんなこと言ってくれる人、素敵だね。
こんな教育や子育てだったらおもしろいね。