love letter

室井佑月さん企画ラブレターへの応募です。

ラブレター

2005-08-31 18:10:21 | Weblog
1、タイトル ... ひまわりのようなあなたへ
2、名前 ... omelas
3、年齢 ... 25歳
4、誰に対する手紙なのか ... 友人
 
 あなたを花にたとえるとしたら、一体、真夏のひまわり以外になにがあるというのでしょう。

 3年半、この長い時間の大半をあなたと過ごしました。いっしょに暮らし始めたころは、女同士のくせに、毎日がまるでハネムーンのように楽しかったね。朝から晩まで私は、あなたの発言に笑いっぱなしでした。「いつも女ふたりでいるから男できねーんだよ」、なんて口の悪い仲間に言われても平気で、私はあなたが大好きで、いつでもどこでも、あなたといれば楽しかったのです。
 私を好きだと言ってくれる男性が現れたとき。彼にとっての最大のライバルは、まちがいなくあなたでした。私は、彼をあなたと比べてばかりいました。彼はあなたに比べて後ろ向きでうじうじしていたし、愚痴もよく聞かされたし、理屈っぽくて口先ばかり。笑いのツボが合わないから、会話していてもすぐに疲れてしまう。それがどんなに不当な評価だったか、今なら分かります。でもあの頃は、長いあいだ私に近いところにいたあなた以上に、新参者の彼が私に近づいてくることに、私は反発を覚えていたのでした。

 そんな私が、恋人さえあなたより近づけようとしなかった私が、あなたを一度だけ、ころしたいほど憎んだことがあるのを、あなたは知らないでしょう。あれはつい数ヶ月前、あなたは仲間たちの誰よりも早く就職活動を始め、その努力に見合う結果を手にしていました。難関とされる企業にあっさりと合格して、自分の大好きな分野で働けることを心から喜んで毎日楽しそうでした。そして、自分がなにをしたいのかも分からなくて毎日暗く暗く悩む私に、いつものようにあっけらかんと、天真爛漫に自慢話を続けるのです。そんな毎日の中で、夜もよく眠れない私がふと、早朝に目覚めてしまったことがありました。眠れずにいる数時間、本当に苦しくて、気が狂いそうで、ガラス戸ひとつ隔てた隣の部屋で安らかに眠るあなたをころしてしまいたいと思った。あれは本当に、憎悪と呼べる感情でした。
 あなたとの生活は、来年の春に終わりを告げます。思えば、あなたという安全なバリアを通してのみ世界と関わっていればよい生活は、ひととの交わりがとことん苦手で億劫な私にとって、特別の夏休みを4年間ももらったのと同じことでした。真夏に咲く、底抜けに明るくだからこそひときわ濃い影をもつひまわりの花とともに、長い長い夏休みを過ごすことができて楽しかった。

 もうすぐ、夏休みもおしまいです。朝晩は少し涼しくなってきました。でも、あんなにまぶしかったひまわりの花が少し色あせたように見えるのは、きっと私の気のせいだろうと思います。
 いつまでも、自分の落とす濃い影に気付かない、明るいひまわりのようなあなたのままで。