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人工授精の妊娠率が低下する要因とは!?

皆さまこんにちは
今回は、人工授精に関するデータをご紹介します。

人工授精の治療を受けられていて、「もう少しこのまま人工授精を続けた方が良いのか」、「そろそろ体外受精にステップアップした方が良いのか」という悩みに行き当たることはないでしょうか

妊娠には、ご夫婦の年齢や精子の所見等、様々な要因が関係します。当院では、人工授精を続けるか、体外受精や顕微授精にステップアップするかを考える参考にしていただくために、妊娠率に関するデータをご紹介しています。

今回は特殊検査の一つである≪精子正常形態率≫に注目して、人工授精の妊娠率との関係を検討しましたのでご紹介いたします(2016年日本生殖医学会にて発表)。

≪精子正常形態率≫とは、正常な形をした精子が何%存在しているかを示した数値です。
 精子の形が悪いと、子宮や卵管を通って卵子まで辿り着くことができなかったり、受精しにくくなったりする場合があります。当院ではクルーガー検査(Kruger’s strict criteria)という検査方法によって調べています。基準値はWHOマニュアルに則して、4.0%以上を正常範囲としています。

2010年1月~2016年9月の期間に人工授精実施時にクルーガー検査を受けた、360周期のデータです。妊娠率は子宮内に赤ちゃんが入っている袋(胎のう)が確認できた確率を算出しています。化学的妊娠は含んでいません。


精子正常形態率が高いグループほど、妊娠率が高くなる傾向がみられました。

精子正常形態率が基準値を満たしていなくても2.5%~3.5%のグループでは、妊娠率は平均値とほぼ同等でした。

2.0%以下のグループでは、他のグループに比べて有意に低い数値でした。

このことから、精子正常形態率が2.0%以下の場合は、それ以上の場合よりも人工授精の妊娠率が低下することがわかりました。

当院では、精子正常形態率が2.0%以下の場合は、再検査や男性不妊症外来の受診、体外受精・顕微授精への早めのステップアップをお勧めしています。

逆に言えば、精子の形が良くなればタイミングや人工授精でも妊娠する可能性が上がるということではないでしょうか。

以上が、精子正常形態率と人工授精の妊娠率の関係についてでした
体外受精へのステップアップ等のご提案は、年齢や卵巣機能、検査の結果等を踏まえてさせていただきますので、ご質問や気になることは医師やスタッフまでお尋ねください




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