これは拙の和歌ではない。
過日、古本屋さんで「日本の野鳥事典」を特売で半額で売っていたのを
買った、その中に昔、軍隊が使っていたと思われる赤茶けたB5の連絡
用紙に書いてあった「シベリアの次弟を憶ふ八首」を発見した。その中
の冒頭の一首である。以下、七首:
明け暮れを うからと語り 待ち待ちし 赤十字通信 今朝届きたり
「俘虜氏名」の 活字に続く 仮名書の 汝が名前 しみじみと見つ
桜咲く 祖国を季(とき)を 恋ひてあらむ 今着きし葉書は 去年(こぞ)書きしもの
右下腿 裁ちし傷痍の 兄我と ゆめ思はざらむ 八年会はぬかも
あはれあはれ 現身ひたに 愛(いと)しみて 還り来よ文夫 一日も早く
ウラジホより とどきし次第 通信を 朝夕べに とりいだし見つ
まのあたり 見ねばうれひは 止まぬなり 母は蔭膳を 欠かすことなし
かの人とそれに諂う自公の奴輩はこんな切ない気持考えたたこともなかろう。