私の学生のひとりが女性学の修士課程の大学院生なんですが、今日修士論文についての発表をするというので聞きに行ってきました。
モガ、わたしも知らなかったのですが、モガというのはMoga=Modern Girlなんだそうです。
絵に見られる近代日本人女性、いわゆる「モガ」の
アイデンティティーが彼女の研究テーマ。
文明開化の頃描かれた絵なんですが、彼女はここに、江戸時代の
女性像からはあまりにも飛躍した、モダンすぎる日本人女性を見ます。
どうしてこんな絵が当時・・・?そこから彼女の研究はスタートしました。
確かに西洋の文化が入って来たとはいえ、つい昨日まで日本髪を結って
着物を着ていた女性からは想像もできないような変化。洋服に、指輪、
ブレスレットにネックレス、そして挙げ句はマティーニとタバコです!
中にはこんな大胆なヌード画も。もちろんというか、この手の絵画は
すべて明治政府の検閲が入り、展示は禁止されていました。
現代でも普通に銭湯に行けばこういう風にお風呂に入る女性は
多いと思うのですが、やはりフルヌードということで当時は
かなりセンセーショナルだったということは想像に難くありません。
プレゼン後ディスカッションする機会があり、わたしたちは
1)「良妻賢母」を押し付けられていた当時の女性が、突如押し寄せた西洋化に衣食住といった物質的な側面だけではなく、自分たちの生き方、価値観という内面、精神への影響をも期待した。しかし社会的に強制される「良妻賢母」の強烈な価値基準に合わせなければならぬというプレッシャーの中、現実世界での新しい自己像の実現を諦め、そこへの希求、憧れを芸術として表現した。
2)男性を誘惑する挑発的な女性を画像にすることで、良妻賢母とは正反対の女性を擬似的に出現させ、そういう女性が台頭してきた場合に生まれる社会的な緊迫感、脅威のようなものを大衆に提示した。
という結論に至ったのですが、皆さんはどう思われます?
ちなみにその話し合いの中で性に関連する際どい表現がはずかしげもなく語られ、アメリカ人のオープンさを改めて痛感したと同時に、わたしは日本人としての恥じらいがまだまだある!そんな言葉はやはり口に出せない!ということも実感できました(笑)。
大学という学術機関にいると、こういう知的好奇心をくすぐられるイベントへの敷居が低く、とても刺激を受けます。
この学生は来週の最後の授業のスピーチの時間に簡単な日本語でこのモガについてもう一度発表してくれるそうです。
他の学生も興味を持ってくれるものと思います。
その後話し合いをさせてみようと思っているのですが、ものすごく面白そうです。
男女問わずアメリカ人の学生が、このテーマにどういう意見を持っているのかを聞くのが私自身楽しみなのです。
さて月曜日はメモリアルデーということで、アメリカは明日からめでたく3連休!
みなさん、楽しいお休みを☆