そして3月31日、約35年勤めた会社を定年退職しました。同僚たちが3月中に計画していた送別会の一つは、大震災のためやむなく中止されました。
4月4日には、退職前から考えていた「まち案内」活動を開始しました。
それから7カ月目の10月18日の夜、鹿児島市・名山堀の居酒屋「のり子」が全焼しました。35年前の入社時から通い続けた店。まち案内の後の「ダレヤメ」にもよく立ち寄っていた店です。
その夜も出火1時間前くらいまで「のり子」で飲んでいました。移動した天文館で飲み直していたら、まだ「のり子」に残っていた友人から電話が入りました。「のり子から火が出た」と。
早速現場へ駆けつけると、煙が立ちこめて消防隊員が消火中でした。店の状況を確かめようと、張られたテープをくぐって2度進もうとしましたが、そのたび消防隊員から阻まれました。
店に居合わせた友人によると、「のり子さんにけがはなかったが、ショックが大きくて救急車で搬送された」とのことでした。幸いにのり子さんは翌朝には退院。ほかにもケガ人はいなかったと聞いて一安心しました。
名山堀は鹿児島市では珍しく、戦後間もないころの町並みと雰囲気を残す場所です。根強いファンに支えられています。最近では、マスコミやネットによく取り上げられるせいか、遠方からわざわざ訪ねてくる人も少なくありません。昔ながらの木造3階建て。「のり子」はその象徴的な店でした。
まち案内活動で、天文館で夕方声をかけて、名山堀まで案内した県外客が3組います。「どこか食べる所は?」と尋ねられて、「地元の自分たちが行く店でよければ。きれいな店ではありませんが、雰囲気が温かく、安くておいしいですよ」と返答。「いいですよ。お願いします」と言われたのです。
うち2組は「のり子」にも誘いました。カウンターだけ8席しかない店。居合わせた常連客も加わって楽しい時を過ごしました。2組は兵庫県宝塚市と大阪府高槻市の50代と70代の夫婦でした。いずれもとても喜んでいただきました。宝塚の夫婦へ店で全員で撮った写真を送ったら、丁重な礼状と贈り物が後日届きました。
こんなことを励みに「まち案内」を続ける毎日。2011年はきっと思い出深い年になるでしょう。
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