「こんな話を知っているかね？」

今から64年前の1945年（昭和20年）8月15日
太平洋戦争が終わりました

「終戦の日」

知っていますか


学校で少しは習ったかも知れません
教科書の知識として知っているかもしれません


でも、わたしには決して人事ではないお話

わたしだけでなく、みんなに聞いて
そして知って欲しいお話です





64年前の今日、玉音放送により日本国民は降伏を
ラジオで知らされ終戦を迎えました

この日に至るまであまりにもたくさんの
国民が亡くなり
広島、長崎の原爆投下により
たくさんの命が一瞬で消えました

それより半年ほど前に東京も空襲に襲われました
言葉くらいは聞いたことあると思います
それが「東京大空襲」です

最も大規模な空襲は1945年（昭和20年）3月10日と
歴史的な資料、教科書にも記されています


空襲の際、火の粉を受け
視力を失った状態で逃げた当時23歳の
女性がいました

これはウチのばーちゃんが戦火の
東京大空襲を逃げ切って生き延びた実話です



その日、ばーちゃんは空襲警報が発令され
焼け野原となった東京の町を
布団と裁縫道具を背負ってひとりで逃げていました

布団なんか置いていけよ！！！
と言えば
「若かったから」という返答

結局布団に火の粉が燃えうつりそうで
捨てたそうです

たくさんの焼死体の中、そして
身体半身が焼けて動けない人が
「たすけてくれ～」とうめく中を必死で逃げたそうです

自分も負傷して助けられない
助けていたら自分が死んでしまう

今の東京では考えられない
想像もつかない光景がリアルにあった


聞いただけで背中が凍りつきました


疎開しそびれて東京大空襲に巻き込まれたという
ちょっとあまりにも酷い話に
「何で疎開しなかったの？」と聞くと
「若かったから大丈夫だと思った」
……なんとも強気な発言でした

その理由とは別に戦前既に結婚していた
ばーちゃんの旦那さん
わたしのじーちゃんの仕事が
東京で早くに動けなかったそうです


東京一面を焼け野原にした
「B-29爆撃機は見たの？」と聞くと
「見たも何も頭のうえ（機体の）腹が飛んでた」




よく、よくご無事で……





飛行機の腹なんて見たこともないのに
ばーちゃんは知っている

それだけ低空で飛んでいた米軍機

それもB-29の機体の腹


何年にも及ぶ戦争の最中
さすがに死ぬかもと思ったのは
この3月10日だったそうです


警報で東京の御茶ノ水にある
ニコライ堂に逃げ池の中でまる１日
爆撃を凌ぎ、となりに赤ん坊を背負っていた
女性に降る火の粉を必死に払っていたそうです


「自分に赤ん坊がいたら捨てていた」


それにおかーちゃんショック
「生まれてなくてよかった…」と


なんて酷い話…と思いますが
それが戦争を生きることだったんですよね

今では考えられない世界があったんですね
それが64年前に



その空襲の後、上野の湯島天神界隈に
非難していたじーちゃんと合流して
その頃には何も見えなくなった目で
手を引かれて逃げたそうです


それこそケータイもない時代にちゃんと会えたのは
ここ付近の人はここに逃げると決まっていたそうで
ばーちゃんを守ってくれたのはニコライ堂

今も御茶ノ水にある大聖堂




これが現在のニコライ堂です
わたしはニコライ堂に入ったことはないけど
大好きな建造物です


ばーちゃんが生きていなければ
おかーちゃんもいない

もちろんわたしはここでこうして
みんなに歌を聴いてもらうことも
話を聞いてもらうこともなく

誰もNoriaは知らない、存在しなかった

だからこそ、いかに生きていることは
大切で生まれる命
生きることを終えた命が大切かを
今日という日に伝えなくちゃいけない
と思って書きました

本当はばーちゃんの戦争中の話はもっと
あって聞くほどに生きていたのは奇跡だと思うくらい
地獄があるならば戦争だと思ったくらいでした

日本での戦争なんて全く無縁で
関係のない時代に生まれ育ったわたしたちには
いくら「戦争はいけない」と言われても
「そーだよねー」と実際には
人事にしか感じてないのだと思います


戦争の経験者が年々減っていく中
これからを担う世代は確実に戦争を
知らない世代

わたしももちろん知らない世代

でも、身近に生き地獄から生還した人がいる

わたしはえらそうなことを言える立場でも
なんでもないにしても
この話でみんなにも身近に戦争を感じて欲しい



決して人事ではないんだと



平成になってからは天災や事件
悲惨な出来事が多い

でも戦争だけは防止できる

防止という言い方は適切ではないけど
逆らえない天災とは違うということ

「戦争の放棄」
日本国憲法 第9条は永久にこれから生まれる
世代にも伝えて護っていかなきゃいけないと思いました



最後に終戦の玉音放送を聞いたときどう思ったか
聞きました

まさか日本が負けるなんて…と
思った国民は多数の中
ばーちゃんは正直「よかった」と思ったそうです

これで戦争が終わったんだと安心したそうです

負けてよかったと言ってました

今の平和があるのは負けたからだと


そして驚きのひとこと
「マッカーサーがいい人だったからよかったんだよ」

マッカーサーとはアメリカ軍の元帥でありGHQ最高司令官
わたしたちからしたら「教科書の人物」です



ばーちゃんは教科書以上のことを教えてくれる
生きた教科書です

みんなのおじいちゃんおばあちゃんは若い方も
多いと思うし、戦争経験者もいると思います

お話ちゃんと聞いてみてください

関係ないと思っていた人も
興味でいいので持ってください

あの時代、たくさんの犠牲の中
生きて今の時代をつくってくれた人たちがいます

わたしたちの生きる時代は戦争とはちがう
いろいろな問題もある時代です

でも生きていることに感謝して毎日元気に過ごしたいです

どんなにつらくても生きていれば明日は来るのだから


真面目で大変なお話でしたが
読んでくれてありがとうございました