作家になって初めての全ボツだったので、かなりショックでしたが「いつか小説というかたちで書き直したらいい」と半年くらいかけて気持ちを整え直したあたりで、次の問題が発生します。私が脚本をクビになったあとも、映画は進行していたわけですが、その出来上がった予告編を見て我が目を疑いました。
— 万城目学 (@maqime) 2016年12月30日 - 18:43
なぜなら、私の脚本の要素が残っていたからです。私が脚本に書いた非常に重要なフレーズが、映画で小ネタとして使われ、これが公開されてしまうと、私が小説を書いても、「ああ、あの映画のあれね」とオリジナリティ・ゼロのものと扱われてしまう、つまり小説を書けなくなる。
— 万城目学 (@maqime) 2016年12月30日 - 18:44
即座に抗議しました。私はすでに自分の代わりに映画で本採用された脚本を読んでいました。その際、全ボツ後のやり取りに消耗し、もう相手と関わりたくないと心底思っていたので、新脚本に残された主人公の名前はじめ、中途半端に踏襲された私の要素は全て削除するようプロデューサーに頼んでいました。
— 万城目学 (@maqime) 2016年12月30日 - 18:46
前述の重要なフレーズについても同様です。しかし、こちらの抗議に対し、プロデューサーの回答は「聞いていません」でした。二年もともに準備し、そのアイディアをどれだけ私が大事にしていたか知っているはずなのに、小ネタで消化して、私の手から奪うことに何の疑問も持たない彼ら。呆然としました。
— 万城目学 (@maqime) 2016年12月30日 - 18:48
相手の会社でそれなりの騒ぎになり、偉い人たちから謝罪したいとコンタクトがありましたが全部お断りしました。なぜなら、撮り直しはしない、公開は強行する、という部分は変わず、結局私は小説が書けないままだからです。自分が提出したアイディアに邪魔され、小説を諦めなくてはならない間抜けさ。
— 万城目学 (@maqime) 2016年12月30日 - 18:49
私が二年かけて本気で書き上げた作品は、監督とプロデューサー含め、二、三人が読んでお蔵入りです。本当なら、たくさんの読者を楽しませられる内容だったのに。それが何よりもくやしい。いちばん仕事をしてはいけない相手と関わってしまったうかつさ。大失敗だった。今も毎日後悔を繰り返しています。
— 万城目学 (@maqime) 2016年12月30日 - 18:52
結論は泣き寝入りです。争うより次の作品に集中するのが大事だと考えました。なら、ツイートもするなよ、という意見もありましょうが、ここは私のアカウント。少しだけわがままをお許しいただきたい。いつまでも引きずりたくないので、この怨念・諦念・無念はこれきり今年といっしょに流し去ります。
— 万城目学 (@maqime) 2016年12月30日 - 18:53