人生の最後は人間らしく過ごし、天命を全うしたい。
でもその願いは、現代の日本社会では簡単には叶いません。
大多数の方は病院のベッドで最後を迎え、終末期には自分で意思表示できなくなっていることが多いからです。
思考能力が低下しているとか、判断力が低下してるとか、痴呆がある等で本人の意思を確認できませんから、家族が判断せざるを得ないからです。
そして、その家族は素人ですから自然と医師の判断に任せることになりがちです。
母は生前から「無用な延命処置をしないでほしい」と言っておりましたが、そのたった一言の意思表示だけでは、だめなのです。
表現が漠然としていて、家族には終末期の知識がない。
病態は急性型のものから慢性型のものまで多様であり、時間の経過、病状の変化に伴い対応も変化するので、一律には判断できません。
もちろん家族は担当医と相談して決めるのですが、選択した結果の先に何があるかを予測するのは、非常にむづかしいのです。
私たちは素人で、予備知識も無い上、介護に疲れている状態の時に、未経験なことが次から次と起こり、対応を迫られるわけです。
そこで、私は自分自身のため、家族のために延命拒否の意思表示を書面にして、自己決定権を行使できるようにしました。
本人の意思確認を必要とされる場面で尊重され、希望通りの終末期を迎えるために。
誰もが理解し、実行できる確かな証拠を書き記しておきます。
すでに「尊厳死宣言」、「リビング ウィル」、「心肺蘇生拒否書(DNR)」、などと呼ばれるものがあり、××協会に入会し書面を作成してもらう方法とか、遺言のように公証証書を作成する方法もありますが、残念ながら、どれも、数項目の基本方針だけを記したものなので、本人の希望を果たすには不十分だと思われます。
具体的に、明瞭に、誰が読んでも理解できるように書き示すことが不可欠だと思うのです。
家族を迷わすことなく、悩ませることもなく、決断させる、そして死後も後悔させなくて済む書面を作りました。