青い鳥通信局

2つの世界の旅人

本ー7つのステップでスマホを手放す(退屈すれば脳はひらめく)

2018年03月20日 | 
本ー7つのステップでスマホを手放す(退屈すれば脳はひらめく)
4年前に初めてスマホを手にしました。あっという間にスマホの魔力に陥りました。
次から次へとアプリをインストールして試す日々が始まりました。
毎日ユーチューブにはまり、寝る時間まで惜しんで動画を見たり聞いたりしました。
フェィスブックの”いいね”を確認し、写真をアップロードするために
きれいな風景や外食の度、習慣のようにスマホで写真を取りました。

そんな毎日が続き、酷使されたせいか寿命になったせいかとうとうスマホの調子が悪くなりました。
買い替えを真剣に考えましたが膨らんできたバッテリーを交換して、まだかろうじて
動くスマホを今は電話機能だけに留めて大事に使っています。
調子が悪くなり仕方なくスマホから離れるようになっていますが
いっときスマホの虜になっていた私が心から頷きながら読んだ本があります。
”7つのステップでスマホを手放す(退屈すれば脳はひらめく)”です。

「本の中からの引用」
2015年2月、ニューヨークのラジオ局が配信するポッドキャスト番組が
1週間に続く7つのプロジェクトを企画し、2万人以上のリスナーが参加しました。
毎日ひとつずつレッスンをこなしてスマホを手放し、創造性を取り戻そうという取り組みは
大きな反響を呼び、大勢の参加者がありました。
インターネット、 ゲーム、スマホやソーシャルメディアへの依存や中毒に薄々気づきながらも
自分を制御できない人々がそんな状況から脱出するために参加し、自分を顧みる経験をしました。

ニューヨークのラジオ局のディレクターでホストを務める著者マヌーシュ・ゾロモディ
が出産後子育てに入り気ままにスマホやネット端末装置にアクセスできない
退屈な日々の中で前よりもっと創造力豊かに動く自分の脳を発見しました。
そして、スマホから離れてもっと創造的な時間を過ごすために
企画したラジオ局のポッドキャスト番組からこの本が生まれました。

まず、退屈な時間がマインドワンダリングへの入り口であると言います。
マインドワンダリングは私達が退屈するときや何もしてないときに脳が行う活動で
そのおかげでシナプスとシナプスがつながりだし、夕食の献立や地球温暖化への革新的な対策や
その他あらゆる難問を解決できるようになるようです。

私達はインターネットによって様々な人や場所、考え方にかつてないほど
自由にアクセスできるようになりました。
距離や文化、言葉の障壁を取りはらうインターネットの威力は大いに賞賛されてきました。
インターネットは視野を広げたいと願う人々の要望に答えます。
しかし、一方で大多数の人々の視野を狭める原因にもなっています。

テクノロジーのおかげでいつでもどこでも仕事ができるようになったけれど
同時にそのせいで集中力が絶えず途切れる羽目になりました。
インスタントメッセージやメールの着信通知でしょっちゅう仕事が中断されるのです。
情報は国際規模で飛び交っていますが、実のところ我々の関心は
極めて局所的で仲間内に限られたものになっています。

また、注意力の低下、記憶力の低下等が挙げられています。
スマホで写真ばかり撮っていると脳は記憶することを怠けてしまうと言います。
そして、文章の読み方そのものが変わっています。
リンクやスクロールに慣れると長い文章や難しい文章をじっくり考えながら読み通す力が衰えます。
それは、結局テクノロジー産業の食い物にされることにつながると警告しています。

著者が指摘するテクノロジーの問題点は人と人のつながりが希薄になり、
スマホが見えるところにあるだけで、目の前にいる相手に共感しにくくなるので
そんな人々が作り上げている社会は真剣な交流のない人間関係を作ってしまうのです。

2014年に発表された”iphonenの影響、そしてスマホが存在する状況での対面による社会的交流”
という研究の中でヴァージニア工科大学の研究者たちはスマホがあるだけで
二人の間に共感が生まれにくくなると報告しています。
フィールド実験で100組のペアが10分間会話をしているのを離れたところで観察しました。
年齢、性別、人種、民族、その場の雰囲気にかかわらず、スマホがない時の会話は、
あるときに比べて遥かに上質だったと発表しています。
スマホがあるだけで会話の質が下がるし、誰かといるのにスマホに気を取られてしまう
今の現状を伝えています。

実際に著者は自分の弟との会話の様子を書いています。
弟がスタップとメールしながらでもちゃんと会話をしていると言われると
頭にくると著者は言います。
“ああそうだね、もちろん”といい加減に相槌をうつ弟がやっとスマホを置き、
“待って、なんだって、聞きそびれちゃった”聞くとき著者は
“何度も言わせないでよ、私も忙しいんだから”とつぶやくのです。

大人同士でもスマホをいじりながらの会話は人々を傷つけますが
子供にはもっと大きな影響を残します。

1970年代、エドワード・トロニックという発達心理学者が幼児と母親を向き合わせて
観察した”無表情実験”はとても気になります。
実験は普段通りの接し型をしていた幼児と母親が無表情の時間帯になると
母親は3分間淡々とした表情で赤ちゃんに反応せずその後
またいつもどおりの母と子の関係に戻ります。

ある母親が無表情を保った3分間に赤ちゃんはどんな様子を見せたでしょうか?
赤ちゃんはたちまち真顔になりそれから用心するような表情になりました。
そして、いつもの双方向のやり取りをしようと母親に何度も働きかけました。
それでもどうにもならないと、今度は諦め、絶望的な表情になって内にこもり、
母親から体ごと顔を背けたのです。

赤ちゃんのこの反応は類似する実験で80回以上も再現され
幼児期に接する大人が無表情だとその子の将来の行動や愛情の深さなどに
影響があると警告しています。

MIT教授の社会学者で臨床心理学者のシェーリー・タークルは本”つながっていても孤独”、”
一緒にいてもスマホ”で直接あって話すより、バーチャルな心理カウンセリングやメールが
好まれるのは人間的な感受性や会話をあまり大切にしない社会の流れのせいだと言っています。
会話というのは前の会話を覚えている相手とするもの、過去の流れと共感があるからこそ
会話が成り立つと言います。

そして、タークルはこのように警告しています。
”他人と顔を突き合わせながら無視されるのが子どもたちにとって有害なのは
大人にとっても同じです。関わろうとしている相手がほとんど共感を示さず、、
まるで関わりたくないとでもいうように文字通り顔を背け、何か他のことに
気を取られているとしたら耐えられないでしょう。
実際、私達は、今互いにずっとそうしているんです。
それが社会の新たな風潮になっています。
私達はこうした人間関係についてよく考え、デバイスではなく、
絆を結びたいと願う相手へと再び心を向けるべきです。”

テクノロジーは注意散漫をひき起こす史上最大の原因になりました。
それをどう使うか意識を高め、ふさわしい選択をする能力を養わなければならない、
優先順位をつけて、自分にとって何が大切かを探す時間とゆとりを自分に与えること
それぞれの目標に向かって着実に前進しているかどうか、きちんとチェックすることを
著者は助言します。

よほど気をつけていないとユーザーの時間をできる限り奪おうとする
優秀な頭脳集団の思う壺になり、そして、一日のスキマ時間をすべて奪われ、
退屈する時間がなくなり、独創性もなくなると言います。
ネットにダラダラと時間を費やすことはジャンクフード並の情報を貪り続けることで
大切なのは意志を持ってテクノロジーを利用すること、
テクノロジーを優秀な召し使いにしなければならないと著者は主張します。

さらに、一番大きな代償は忍耐を失ったことだと著者は書いています。
相手の話を最後まで聞く忍耐、難しい文章の複雑な論点を理解するために
一、二度ではなく三度読む忍耐を失いつつあります。

24時間繋がっていてどこでも人々が夢中になっているインターネットは
結局薬物とギャンブル、ショッピング、ポルノを一つにしたようなものと厳しく表現した人がいます。
しかし、人々はそのネットに繋がっているスマホを手放すことができません。

そして、この本の中には実際に生活で支障をきたしている人々を面白く掲げています。
ゲームにハマりすぎてちょっと情けない著者,せっかく娘の遠足に参加したのに
フェイスブックをアップするのに夢中で1時間も口を利かなかったお父さん、
何年も夜な夜なゲームをし続けてゾンビのようになってしまったハーバード大出身のお父さん、
そして、ネットの世界に繋がれているスマホから離れられない自分にもどかしさを感じて
ラジオ局の企画に参加した2万人もの人々や中毒予備軍の私達がいるのです。

人々の人生をますます占領してくるスマホを制御するために著者は幾つかの助言をしています。
頭痛の種、使いすぎてるアプリ、逃避のために使っている,
大切な何かを犠牲にしているなにか、後ろめたさを感じている何か
例のアプリやアカウントを削除せよと言います。
ゲームだけではなくソーシャルメディア、天気予報、ウィキペディアなどなど
それぞれが問題だと思っている何かを思いっきり削除するように著者は言います。

これからの世代は黙読と流し読みの両方の能力を身につけるべきであり
情報の記録には手書きのメモが勧めでビデオゲームをするときはタイマーをセットするように
時間をきっちり区切ってプレイすればゲームのしすぎや現実逃避を防げるし、
脳に良い影響を与えると著者は助言します。

ゲームは20分がベストでゲームをするにも適度な時間を知らなければならないので
タイマーかなにかを使ってゲームの時間を自分でコントロールできないと、
やがて依存症になり解決しようとしていていた問題をむしろ悪化させてしまうと言います。
そして、望ましくない行動を取ってしまうものへのアクセスを少しだけ面倒にするなど
スマホから離れるように環境を変えバランスの取れたテクノロジーの使い方をして
本当に大切なものとデジタル機器が折り合うようにできるだけ工夫することを言っています。

グレッグ・マキューンという人が顧客に教える時間の使い方はとても参考になります。
自分にとって何が一番大切かを見極め、それを中心に人生を設計することを目指す。
第一段階本当に重要なことが何かを見極める時間を作る
第二段階大事ではないことをすべて削除する
第三段階自由になった資源を再分配し、もっと重要と判断したことを追求することにそれを用いる。

墓石に”メールをチェックしていた男”として書かれる人生、
”リンクをクリックして、あとで読もうとたくさんの記事を保存した女”
だが実際に読むことはなかった人生にならないために
今、私達はスマホとの付き合い方を本当に真剣に振り返る必要があるのかもしれません。

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