雑録集

雑多な文編集です

放射能の話し7 被ばくの危険性について

2011-03-22 22:41:24 | 原発
 人が生きていくということは、自らリスクを取っていくことだと思います。人よりも激しい生き方をしようと思ったら、それだけ飛行機に乗ったり、車に乗ったり、リスクのある人生を自ら選択することになります。または、健康な生き方よりも、その場の快楽を選ぶのもその人の自由です。

 今回の福島原発では放射能汚染の被害が人体に与えるリスクが問題になっています。そもそも放射能というものは、私たちの身の回りに満ち溢れているものです。宇宙からの放射線は降り注いでいますし、生物の中には多少なりとも濃縮されていますから、体の中にも入ってきています。それらを合わせた年間の自然放射線被ばく量はだいたい2,400μsvと言われています。

 先の章で、確率的危険性の話をしました。ICRPの指数に基づけば、1,000μsvに達すれば、10,000人に1人の割合で、将来ガンを発症することになりました。つまり、普通に生活をしていても、この自然被ばく量が当てはまるとすれば、毎年、10,000当たり2.4人はガンの発症を起こしていることになります。

 私たちは汚染と共に生きなければならないというこのなのでしょうか。さて、ここで今回の原発の問題ですが、放射性物質の放出に伴い、私たちの環境は以前よりも汚染されてしまいました。このため、本日も東京では1時間当たり0.1μsvを超える放射線が観測されています。ざっと計算しても年間900μsvとなります。また、海水や水道水、食品も汚染されていますので、内部被ばくの量も増えることでしょう。

 普通に生活をしていても一年間で2,400μsvと言われていますので、一体どれくらい増えるのか、残念ながら私にはそのデータはありません。しかし、少なくとも平常値の10倍、100倍という線量が観測されていることを考えると、2倍ぐらい増えてもおかしくはないと思います

 つまり、私たちがこの汚染された土地で生活をすることで、すでに生きていく上でのリスクが上乗せされているということです。通常よりもガンを発症する確率はすでに上乗せされているのです。私が考える自由には、自らのリスクを管理する自由も含まれています。煙草を吸う吸わないは人の自由です。だけども、煙草の箱にはしっかりと、その危険性が明記されていると思います。

 専門家であれば理論上の計算はできると思います。例えば、現在の被ばく量であれば、1年間浴び続けた場合に、通常よりもガンの発症率は何倍と想定されますだとか、このほうれんそうを何グラム食べれば、内部被ばくにより、ガンの発症率は何パーセント上がると想定されるだとか、そのような情報を見た上で、私たちは、そのほうれんそうを食べるか食べないか、それぐらいの危険性であれば、良いだろうだとか、判断ができる訳です。

 今日も相変わらず、1年間毎日食べ続けることが無い限り、身体に直ちに影響は無いと断言をしていましたが、国の基準で決められているのはベクレルの数値です。ベクレルは放射性物質の量を表す指標であり、放射性物質の種類を特定している訳ではありません。もし仮に、ほうれんそうに混入する物質がセシウム137であれば体内に100日以上は残留して、放射能を出し続けていきます。

 つまり、毎日食べ続けるということは、毎日内部被ばくを上乗せすることになることを意味しているという危険性が全く伝わってこないのです。また、国の基準では10万μsvにならないと、体にすぐさま影響を及ぼすことはないと断言していました。10万μsvとはつまり100msvです。

 第4章で、100msv~250msv以下であってもガンを発症する可能性があると説明しました。逆にいえば100msv~250msv以上の被ばくを受けた場合に、ガンを発症する確率はもちろん上がりますし、急性症状の危険性もたかまります。この境目を低線量と言います。おそらく国の基準と言うのはこの急性症状を発症する危険性がでてくる100msv~250msvのことを指して言っているのだと思います。
 
 であるならば、この専門家は100msvを浴びる可能性が出てくるまで、「直ちに影響を及ぼす危険線がない」と言い続けるのでしょうか。晩発症状の危険性については、どう考えているのでしょうか。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿