第803号 2019・04・26
控訴状提出
産廃処分場建設差止請求訴訟は、平成31年3月8日、福岡高等裁判所宮崎支部に控訴状が提出された。
原告団は21人で、平成25(2013)8月29日の鹿児島地方裁判所提訴の時に比べ、少なくなった。
産廃処分場の地元、川永野町大原野自治会自治会からは、山之口義和控訴人だけで、それも自治会長を辞めての参加である。
真っ先に火の手をあげた産廃処分場の関係地区、川永野大原野自治会は裁判から手を引くということだ。
控訴理由書 ~怒りの表現~
平成31年4月26日、控訴理由書が提出された。
生命,身体及び財産が侵害される危険性並びに原告鎮國寺及び原告cの信教の自由及び宗教的人格権が侵害される危険性があり、服告らはを求めることができる。控訴理由書は全部で30頁ある。
控訴理由書は、産廃処分場の生命線、遮水工への不安材料として、まず、「遮水シート」のそのものの危険性を取り上げて、その原因につながる、不等沈下の脆弱性などを指摘している。
際だっているのは、「判断は不合理」とか「あり得ない判断」、さらに「非常識な結論」など、激しい表現の鹿児島地方裁判所批判が目を引く。
それより、例え、法令に違反していなくても、産廃処分場の下流域の孫子の代にいたる、長い歳月の安全が守られるか」という、不安感が大きくなる原審判決であることを浮き彫りにする内容となっている。
原審原告団の心情を浮き彫りにした、「怒りを代弁」となっている。
転圧の順番が不自然 ~判決は不合理~
「同じ場所ならば、下層より上層の工事日時が後になるはずである。しかし実際には、同じ場所であると思われながら、下層の工事日が上層より後になっている場所があり、不自然である」ということである。
これに反論をするのであれば「下層の工事日が上層より後になっているように見えるが、実は,下層の工事場所はここで、他方、上層の工事場所はそことは違うここで、だからおかしくない」等の主張がなければならない。
原審被告はそのような反論をしていないのである。
いったいどこの工区で具体的にどのような工事をした結果、上層部分が下層部分よりも先に工事するようになってしまったのかを明らかにする必要がある。しかしこの点について原審で被告は具体的に明らかにしておらず、原判決も同様である。とすれば、まさしく、「直ちに不自然であり、それを自然と思わせる証拠を原審被告は示していない」と認定するのが合埋的である。この点でも原判決は不合理である
業者側発言そのまま ~あり得ない判断~
原告らは、本件浸出水集排水管敷設工事を行った箇所に関して、①一度転圧した部分を掘り返しており、これにより周辺の底面砕石層にも緩みが生じ得るところ、これを防ぐために必要な措置(土留めをするため
の鋼矢板を打つなど)が講じられていないこと、②砕石埋め戻しの時の転圧の写真があるのは基本的に奇数層だけであること、③埋め戻し後の現場密度試験が行われていないことからすれば、適切な転圧が行われていないことは明らかである旨主張する。しかしながら、上記①については、本件JVの構成員である大成建設株式会社の担当者が掘り返しにより周辺が緩打などの締固めへの影響はない旨の説明をしているところ、これを誤りと断ずるに足りる証拠はない。」
ここを問題視して、判決を激しく非難している。
「請負業者の一社員の一発言をそのまま信用したものにすぎない。これは,刑事事件で被告人が『私はやっていません』と言ったことを根拠に,無罪判決を出すのと同レベルであり,このような判断はあり得ない」
「底面砕石層」工事 ~非常識な結論~
「浸出水集排水管敷設工事」における被控訴人(及びJV)の対応から,被控訴人が、少なくとも「転圧工事」の重要性を認識していなかったことは明らかである。
もし重要性を認識していたならば,このような工事をしたりすること自体がありえないし,仮にするとしても、もっと厳正にしたはずだからである。
このことから、原審原告ら最終準備書面でも述べたように、「底面砕石層」工事においても、適正に転圧工事をしたとは考えらない。
加えて、この「浸出水集排水管敷設工事」部分で遮水工が破綻することは確実である。
そして,この論点に関する原判決の判示は、証拠に基づき、論理的かつ説得的に事実認定、法的判断をするのではなくて、予断と偏見に基づき、直感的、不合理的、感覚的判断をし、その結果,非常識な結論となっていることも露わにしている。
「浮島」と不等沈下 ~非常識、反社会通念~
原審原告らは、砕石層が適切に転圧されることなく敷設された結果、原審原告らが「浮島」と呼んでいる場所、及び砕石層をいったん取り除き、「浸出水集排水管敷設工事」をしてもう一度埋め戻した部分で、必ず不当沈下が生じて、遮水工は破綻する旨主張した。
これに対して、原判決は、「底面砕石層の転圧が不十分であるとは認められない」ことを理由に原審原告らの主張を排斥した。この判断自体には、これまで見てきたように「非常識さ」、「不合理性」、「非論理性」は確かにない。ただし、その前提となる「底面砕石層の転圧が不十分であるとは認められない」という判断が、これまで述べてきたように、非常識で,社会通念に反し、不合理かつ非論理的な判断である。
計画発表の時の伊藤祐一郎前知事発言。
「いわゆるアカウンタビリティー(説明責任)と言いますか、情報公開をしてきちっとをしていくということ」 これは一体何だったのか!