民家お助け隊

民家は「結い」によって残されてきました。その精神を今に伝え、伝統建築の保存と再生の為にボランティア活動を行っています。

「木に学ぶ」4回連続講座 初回「原木を知る」

2015年09月07日 | Weblog
この度、お助け隊は「木に学ぶ」とテーマした4回連続講座を企画しました。9月5日はこの初回イベントになる「原木を知る」を、江戸時代より「西川材木」として知られたヒノキ、サワラ、杉といった銘木の産地である埼玉県飯能市の西川材を扱う岡部材木店の全面的なご協力で開催しました。周囲を真っ直ぐに伸びた杉、ヒノキ、サワラと京都の北山を彷彿させる美しい森に囲まれ、JMRA非会員も含む参加者20名のイベントになりました。



まずは東吾野駅裏にある吾野原木センターで、原木の説明を岡部社長から受け、それに続き原木の競りを見学しました。市場の需給で価格が決まるところは、株式市場と酷似。広葉樹で水に強い栗材が競りにかけられていました。樹齢80年を越す真っ直ぐなヒノキの原木が何と2万5千円程度。以前はこの10倍だったとのこと。林業者は幼樹の頃より枝打ち、下草刈り、そして山から切り出しをして市場に出したヒノキが、この値段ではコストに遥かに届かないとのこと。




日本は古民家解体のみならず、こうした銘木までも安っぽい集成材などにとって代わられてしまったとの事でした。ハウジングメーカーは施主からのクレームの少ない、外見が綺麗で狂わない集成材を好むとのことでした。一昔前までは贅沢の代名詞だった「総ヒノキ造りの家」って死語になってしまいました。木の文化が死にそうです。おおい日本人よ、ハウジングパークに行って家を決めるのはやめてくれ。国産材を使った素晴らしい家を建ててください。



競りの見学の後、岡部材木店が建てた兜屋根様式のお宅を拝見。大黒柱の幅1メートル以上ある欅の通し柱に驚愕。築後17年程で部材が色焼けし、木の家の迫力満点でした。




ここを見学した後、ヒノキやサワラの育つ岡部材木店の裏山で「木」の説明を受け、チェーンソーで杉を間伐。その後材木店事務所で、奥様より岡部材木店が積極的に行ってきた「木」の価値を高めるための各種努力のお話しをお聞きしました。こういった木に関わる伝統で、日本の家という建築文化は木を扱うこういう人達で支えられてきたのだと改めて感じた初回イベントでした。



松前、お助け隊