にざかな酒店

夢の話がクレイジーなのは

ひさしぶりに、挿絵のある小話。
私はだいたい小話っぽい話はエチュードな感じで描くのですが、ふと気づくと割と彼らの夢アランジさんから影響受けてますね。この挿絵は話はちがって有名な「ねこらーーー!」です。
防衛軍の制服がいまいちわからなかったのですが、月影はそんな服をきてるはず。
えんけんさんはすごいのです。まる。
あ、後この話だけ読んだ人には解らない不親切なところが解説なしででてきてるので、ちょっと解説。
作中の猫には色んな名前があって、街の中の色々なところで出没しているのです。
なので空斗はボンボンと呼んで月影はゴン太と呼んでいます。ここに出てきていない後藤君と言うキャラはボン次郎とよんでいるので、そこんとこよろしくお願いします。

夢の話がクレイジーなのは今に始まった事ではない。(タイトル)

高校三年の、もうそろそろ皆進路もきまり、暇な時期。
だらだらと話をすることも今までのような頻度ではなくなることが解っていただけに、月影草二と皆月空斗は最後の高校生活のだらだらをキャラに似合わないくらいの馬鹿話をしてすごしていた。最後の夏を惜しむ、とか大人になっても毎年言っているような人もいるが、そんな感じである。
「ってことで、結構皆の夢見るよねー。俺なんか君と文月がチャーミーグリーンな夢とかみたよ、こないだ。」
「………そっか、俺の夢では割と文月はスプラッタっていうか、ホラーの女王だぞ?」「文月が?」「っていうかな、こないだなんか俺が串刺しにされてんのにあいつ薄笑い浮かべながら「私の事愛してる?」とか聞いてきて、「浮気したら釣り天井だからね、」っていうんだぞ!?」
いきなり想像不可能なことをいう自分の隠れ双子に、さすがの空斗もちょっと不安な気持ちになった。
「あの夢で興奮するなんて俺はどんなド変態だよ!!自分が信じられねえ」
「うーーーーーん。それ文月っていうか、文月様だし。恐怖を少なくするためにはふみ姫様と呼ぶしか」
「文月はどこの家の猫だよ。」
「興奮ポイントがどこなのか全然解らないよ、俺は…」
うっかりノリで話してしまったが、月影もこの夢はどう処理していいのか解らないので、次の話に行く。
「魅厘はだいたい良い役で出てくるんだが、一回あいつがにこにこしながら肉じゃが薦めてくる夢見てよ。気がつくと肉じゃがの入れ物が風呂になっててなんか必死に風呂の肉じゃがすすってるっていう…」
その話に、空斗ははっとしたように上をむいた。
「俺、それにすっごい似た夢見た事ある!なんか、誕生日って俺たち十一月一日なのに、なんかその日に「最近の節分はロールケーキを食べるらしいな、今日はロールケーキを用意したんだ」って魅厘さんが出てくる夢見て…」
彼らの双子力は、全然似てはいないのに、こういうところで出てくるらしい。
「気がつくと恵方巻のロールケーキが虹の端まで続いてるんだよ。俺甘いものそんなめちゃくちゃすきじゃないし、うえうえいいながら丸呑みしようとして。魅厘さん俺もう無理、勘弁して…って」
彼らが現代人で、なおかつ関西人であったならば、「な、がーーーーーーーいおつきあい」の某銀行のCMが頭に浮かんだ事だろう。
「魅厘さんって人に色々食べさせるの好きすぎだよねえ…」
「だよなあ…あ、そういえば、俺ゴン太がネコラやってるゆめみたぞ」
「ねこらって、あの有名なネコラ!」
「あの、かわいそうなねこら…って奴」
「はんぺーん!あれは…泣けるよねえ」
「泣けるよなあ!」
うんうんうん。えんけんさんのネコラはすばらしい。と二人はしばしうなずきあった。と、実はここで、彼らは気づいていないが文月が登校していたのである。
いつもは登校時間が信じられないほど早い彼女も、このだれた時期では遅めの登校なのであった。彼女は空斗の隣の席なのだが、彼らが気づいていない事をさっさと理解して、昨日読んでいるうちにうっかり読みすぎてしまった読みかけの本を開いた。
「李々さんも時々夢に出てくるんだけど、なんでかいつも希正ちゃんのきぐるみきて、天気予報なんだよね…いつも外すんだけど、今日は寝苦しいです、とか、猛暑が厳しすぎでしょう。とかはしっかり当ててくれるんだよ」
希正ちゃんとは、このブログにいるラジオ局で働いている天気予報をする猫である。余談。
「あーそれも似たような夢でよ、「大好きな草二さんをうらなってあげましょう、水瓶座のあなたはー」って、俺蠍座だぞ!?しかも「けけけ」とかわらいつつ、「今日財布を落とすでしょう」」
月影は教室の床を音楽室のベートーヴェンのシミを見つけるようにしてみた。
「…あいつ、そういうのはしっかりあてやがるな…。」
「その財布は?出てきたの?」
「…っていうか。千円しか中身入ってない財布をゴン太がくわえてかえってきた。」
「ボンボン…あー、そういえば、俺、ボンボンの夢忘れてたけど、ボンボンブラッシングしてたら抜け毛がパーマンになって、ボンボンがいっぱいになる夢見たよ」
「その夢は幸せじゃねえか…そういや、琉留は夢には出てこねえのかよ」
「琉留さんは。うん、出てきたよ」
「お、なんか良い夢っぽいな」
「…それが、どうも結婚式の夢なんだけどさあ、なんか俺、おかしいおかしいって思ってたんだよね」
「………ん?」
良い夢っぽいと思ったら実は入れ替わりトリックだったとか、そんなオチ?
「なーんかおかしいおかしいって、誓いのキスの前で気づいたんだ。…「あれ、皆月家の式なのになんでドレスなの!?」って…ふきはげいひゃいいひゃい(月影痛い痛い)」
気づくと月影は空斗の頬を思いっきりつねっていた。
「おーまーえーはーいつからそんな勝ち組になりやがった!!俺の文月の夢なんて、吊り天井だぞ吊り天井!!」
「ひみにはふぁんふぇいひゃいひゃひゃいかー(君には関係ないじゃないかー)」
ぱたん、と、文月は読んでた本をとじ。
「…楽しそうね、あなたたち。吊り天井って何?」
………彼らは凍り付いた。なんか、文月様降臨?っていうか、ふみ姫様っていわないと、恐怖薄れない。と、目で合図。
「俺教室にもどるな。皆月。んじゃー」
「月影の裏切り者、っていうか、君の夢だよねそもそも!」
君が悪いのに俺のせいかい!と、空斗は月影のシャツをつかもうとしたが、月影は案外足が速かった。
「っていうか、しょうもない夢で女の子をもてあそばないでくれる?」
いやいや、夢は夢だから、勝手に出てくる方が悪いんじゃないか。
「………君の夢で興奮するって言ったのは、彼の談ですよ?」
「………吊り天井でしょう?」
あ、なんかこれもう何言っても無理。浮気だけはやめておこうよ、月影。
と、皆月空斗は観念したのだった。おわり。
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