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にざかな酒店

反転の殺戮の反転、一話

というわけで、李々ルートは魅厘ルートからの分岐なので一話っていうのもおかしいかな、と思いつつとりあえず一話って言ってみるのでした。
李々ルートといいながら、だいぶ出てくる情報が魅厘よりなのですが、まあそこはそれということで…。

全然余談なんだけど、魅厘ルートって結構新サブキャラ男子多いんですが、他のルートではちょっとがんばる予定のキャラがいたりします。岸太郎ちゃんあたりはビジュアルちょっとだしたいなあ…。
反転の殺戮の反転一話

「んーじゃ、泊まってくか」
軽い気持ちで俺は言った。
この時代劇みたいな屋敷、幽霊のひとつやふたつは出るかもしれない。一回そういうのはみてみたいと思っている方だ。
「あ、でもこの時間からみんなお風呂に入ると最後の人すごい時間だよね」
「いーよ俺は風呂なしでも」
割とむっとした顔で皆月は「そういうわけにもいかないでしょう」といった。
「まあまあまあここはひとつ、皆で銭湯でいかがでしょう」
にっこりとあいかわらずどっちかわからん双子の片割れがいった。
えーと、髪がちょっと違うんだっけ?右くくってる方、だから李々か。いちいち箸とお椀を持つ手の動作をして確認してしまう。
「それでいいんじゃありませんか?」
同じ顔で多分琉留の方が笑った。
魅厘は苦笑しながら、「寝る場所は客間があいてるから大丈夫だ」といった。
「ちょちょちょちょちょっと待って!!あの客間に泊まらせるんですか」
何故か、珍しく皆月があわてている。
「大丈夫ですよ、空斗さん」
「大丈夫なわけないだろ。あの客間って、犯罪者押し込め部屋じゃん」
ぼそぼそ話してるつもりなんだろうけど、丸聞こえだぞー。
なんだよ、犯罪者押し込め部屋って。
「絶対何か出るって」
「だから、それならとっくに私たちたたられてるはずじゃないですか。今まで無事なんだから無事ですよ。」
「琉留さん…本当にそう思ってる?」
「文句があるなら、空斗さんの部屋でいいんじゃないですか?」
李々が助け舟をだした。
何か出るかもしれないヤバい部屋と、野郎の部屋とどっちがいい、という選択か…。なかなかキツい選択だな。
まあ、無難に野郎の部屋にしとくか。
「なら、皆月の部屋でいいぜ。」
「はーい」
「パジャマ代わりは、前の当主の甚平があるから、それでいいだろう。多分似たようなサイズだったはずだ。」
ん?前の当主って、魅厘の父親とかじゃねーのか?なんかそれっぽくないような言い方だな。
「前の当主って、そんなに小さいのか?」
聞き直すと、魅厘は少し笑った。
「なんだ、知らなかったのか?皆月家の当主は能力制だ。この、能力を奪ったり与えたりする能力を持ったものが当主になる。血筋は全く関係なしだ。ただ、この能力も実は人に譲れるもんでな。前の前の当主が逃げたから、前の当主はおっかけてこの能力を譲ってもらって、当主の肩代わりをしたんだ。」
「でも、その能力って、確か人の能力奪ったりすると体痛むとかじゃなかったか?」
「だから、逃げたりする人もいるんですよ」と、琉留。
「で、責任感の強かった前当主がその能力もらって泥をかぶったと。」と、李々。
なかなかこの二人に交互にしゃべられると手が忙しいな…。
「私と、李々と琉留が一緒にいられているのも、そのおせっかいの前当主の計らいでな。」
ふーん、何かあったのか。まあその前当主ってのも、苦労人だな。
と、しゃべってる間に皆月がタオル、石けん類を用意してたらしい。
「しゃべってないで、そろそろいかないと。今日は有限だなんだから」
別に明日もあさってもある。気にするこっちゃない。

かぽーん、と銭湯から出てきた俺は言った。ちなみに着替えも終了して、店の外である。ちょっと秋になりかけた頃の夜風は気持ちがいい。風呂後だし。
時刻は十時半ごろ。
目にまったりとした黒さの空に浮かぶ月を見上げながら。
「どうせだからゲーセンいかねーか、ゲーセン」
皆月はそうとうに呆れかえった顔をした。
「君ね、時間と年齢かんがえなさい。不良じゃないんだから」
お前はどこの親だっつーの。
「ち、風呂後の格ゲーは格別なのに」
「格ゲー?なんですかそれ」
ひょこっと銭湯の外へと顔を出した双子が聞く。
女連れでこの時間のゲーセンか。それはちょっとまずいな。奴らの存在全く忘れてたぜ。
「ま、今度教えてやるよ。ゲーセンは知ってるか?」
「えーーと…」しばらく考えて、かたっぽが聞いた。「あの、ぬいぐるみとか飾ってある」
飾ってるんじゃないけど、おおむね間違ってはいないな。うん。
「そういうとこに置いてあるゲームにそういうのがあるんだよ」
「楽しそうですねー」ぴょこんと李々がはねた。
「んじゃ、今度一緒に行こうぜ」
じろ、と皆月が横からにらんだ。「今日はもう駄目だからね。普通の時間にしなさい」だから、お前はどこの親だ。
気づくと、魅厘もいつの間にか出てきて似たような目つきになってる。
「そうそう、こんな時間だからな」
こいつら、いとこって言う割にそんなにたこと無いな、と思ってたけど割とこういうとこは一緒だな、と俺はのんきなことを思った。
「それじゃ、約束ですからね」
「李々ちゃんは要領いいからー…」
若干拗ねた調子の琉留が呟いた。
「お前も行くの?」
「行きません」
あれ、琉留なんか怒ってね?何かまずいこと言ったか?
魅厘の方をみると、ああ、やれやれ、と肩をすくめていた。
「月影って結構たらしだよねー…」
皆月にいたっては、全く胸に心当たりのないことを言っている。
「誰がたらしだよ」
「いーや、俺は何も言ってませんよ」
「何しらばっくれてやがる」
「いえいえ滅相もございません」
「何だよその態度は…」
「その辺にして、そろそろ帰るぞ。店の前だし」
魅厘が俺の首根っこをひょいと捕まえて言った。む、俺の事ちびだと思ってるこの態度、お前の方が問題だ。みると双子はこの様子をみてくすくすと笑い合っている。
むー。

銭湯から歩いて少し、再び皆月家。
皆月の部屋なんだが、なんだか妙に青が多い部屋だ。青い色って食欲そぐっていうからか、あんまりこの部屋で菓子とか食ってる気配はしない。それからやたらと本が多い。マンガらしきものはあまりみあたらなくて、なんか風景の写真集みたいな本と小説本が多いようだ。つきのなまえ、とかそらのなまえ、とかそんな感じの。
えーい、エロ本の一個や二個探してやるー!このロマンティストめ!という感じだが、さすがに時間が時間な上に本人目の前じゃ、駄目だろ。
「で、犯罪者の押し込め部屋ってなんなんだ。」
「…あー、やっぱりそれ聞きたいんだ」
「んーそりゃ」
俺は皆月が譲ってくれたロフトのベッドから、床の皆月の布団に声をかけた。
「魅厘さんがあの能力だろ?だから、警察から能力使って犯罪した能力者もってこられて、能力没収するんだけど、とりあえず暴れないように黙らせておくための部屋なんだよ、あれ」
皆月はどうでもいいように言うが、俺はぼそりと呟いた。
「………それが客間って、相当終わってる家だなあ、おい」
「当主って言ってるけど、能力者は魅厘さんいいように使ってるだけだよ。言うほど権限ないし、一応生活できるだけのお金はくれてるみたいだけど、結構束縛きついしさ。俺を引き取るのも相当苦労したみたいだね」
淡々と言うが、実は結構、魅厘のために怒ってるのな。こいつ。
ちょっとあきれ顔以外にも人間らしいところをみた。
「魅厘さん、いつまでこうするのかな…」
………。
って、おい。
返答に困ってるうちに寝るんじゃねーよ。
まあしょうがない。俺も寝よう。
おやすみ。
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