銀雪の騎士

JRO、Bijouサーバーのマキシミリアンのブログです

夏の終わりに怖い話でも

2006-08-21 23:13:35 | 戯言
それは確か、小学校5年の夏

学年全体で、学校のグランドにテントを張り泊まる、と言うイベントがありました。

人数は多くも少なくも無く、30人のクラスが4つ。

昼間はわいわいと川に遊びに行ったり、近所の公園で遊んだり・・・
よくある光景でした。

日が沈み始め、太陽が沈み始める頃、全体がざわざわと落ち着かない様子になってきた。
それもそのはず、夏の夜、学校、このシチュエーションで肝試し企画が挙がらないはずは無く。

御多分にもれず、肝試しが始まります。
ルールは以下の通り

・体育館から入り、高学年の校舎へ、そのまま三階へ行き渡り廊下を渡り
 低学年の校舎の三階に移動、途中科学室を通り目印を取ってくる事
 そして低学年の校舎三階の奥の階段を一階降り、二階の教室の前を通り
 渡り廊下へ出る、渡り廊下途中の階段を下りて体育館へ戻ってくる。

分かりづらいかも知れませんが、まぁ重要なのは

・科学室の目印を取ってくる。
・低学年校舎の二階教室の前を通る。

この二点である。
なぜ後者の条件が重要なのかは後に説明しよう。

さてさて・・・始まりました肝試し。
4人一組で次々と出発し始める、暫くすると始めに出た組が戻ってきた。
一定の間隔を置いて、出発していった組が一つ、また一つ帰ってきた。
平然と「何も無かった」と不安げな組、怯えて泣きじゃくっている組
青ざめた顔で言葉すくなにテントへ戻る組・・・

そんな皆を見て、自分の組の番が来るのが、楽しみなような、怖いような・・・
俺の葛藤はさておき、俺たちの番が来た。

まずは体育館を出る、これは問題ない。
体育館からは高学年と低学年の校舎を繋ぐ、渡り廊下へと出る道がある。
それを通って校舎へと歩を進める。

夜の校舎・・・窓ガラスを壊して回る事も無く、淡々と歩く。
当然、廊下の電気など点いてはいない、窓から入ってくる月の明かりだけが頼り
と、言うわけでもなく、手に持った懐中電灯で廊下を照らし歩く。

程なくして高学年の校舎の階段に着く。
夜の学校の階段てのは不気味だ・・・
しかし何事も無く三階にたどり着く、正直拍子抜けだった。

渡り廊下へ出る、低学年の校舎へと続く道だ。
その途中、科学室のプレートを見つけ、ここで目印を取る事を思い出す。
からからから・・・と引き戸を開け、懐中電灯で中を照らす。

「どこにあるんだろう?」

口々にそう言いながら科学室の中を探す。
人体模型が気持ち悪い・・・しばらくして目印を発見し、科学室を後にしようと
出口へと向かう、が・・・
その出口から出る瞬間、俺は見てはいけないモノを見た気がする。
出口のわき、ゴミ箱があるべき所に

体 育 す わ り の 半 裸 の 少 年 の 姿 を !

きのせいだ、きのせいだ、そんなものある訳がない。
第一、あそこにはゴミ箱があるんだから、人が入る余地などない、だから幻覚。

自分にそう言い聞かせるが、他の三人も一様に神妙な顔をしていた。
「あぁ、アレを見たのは俺だけじゃないんだ」
そう実感した。

その後、4人とも言葉を発する事無く低学年校舎に着く。
低学年校舎の三階、つまり三年生の教室前の廊下を通り、奥の階段に到着。
一階降りる・・・

とん、とん、とん、とん・・・

2階、2年生の教室前の廊下・・・そこに足を踏み入れた瞬間にそれは起こった。

パチン

突然、「全員の懐中電灯が消えた」のだ!!
息を呑み、顔を見合わせる。
誰かが言った、「大丈夫、偶然だよ、何かあったら皆も通るし」
その言葉に押され、全員が真っ暗な廊下を歩き始める。

うちの学校は1学年4組、教室は順番に1組・・・2組・・・と続いている。
3組の前に差し掛かった時、全員が足を止める。
聞こえたのだ。

ぴちゃ・・・ぴちゃ・・・

水に濡れた足音・・・、3組の教室の中から聞こえる。

ず・・・かたん

椅子を引き、座る音。

あるはずがない、今回の肝試しはお化け役無しのガチだ。
誰かのいたずら?考えにくい、そもそも2年3組の教室に留まる理由は無い。

全員がダッシュを始める、全速力だ、廊下を駆け抜け一気に渡り廊下まで走る。
ぜぇぜぇと肩で息をする、気がつくと手に持った懐中電灯の明かりが点いていた。
勿論、全員のが。

怖くなり、すぐに体育館へと戻り、今あった事を先生に話す。
すると先生は真っ青な顔をして、肝試しを中止させ、全員をテントに戻し始めた。

ほっとした表情の者や、不満げな者、様々だったがとにかく肝試しは中止だ。

テントに戻り、一緒に行った4人で「怖かったねー」とか言い合ってる時に
俺は思い出した。

2年3組の少年が、この夏に川で溺れて死んだと言うニュースを・・・