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And This Is Not Elf Land

JERSEY BOYS Broadway 最後の週末(2)




「音楽が歩んだ道」を鮮やかに辿るのがブロードウェイ演出(日本版にも触れています)

前回ブロードウェイで「ジャージー・ボーイズ」を観たのは10周年のときで、1年ぶりの観劇となりました。

昨年は日本版公演があり、再演も予定されています。

アメリカではBW開幕直後から凄い人気となり、イギリス、オーストラリアでも次々とオープンして人気を博し、まさに快進撃を続けていた「ジャージー・ボーイズ」ですが、日本に上陸するのにはけっこう年月がかかってしまいました。やはり、2014年のイーストウッド監督による映画版の日本だけのガラパゴス・ヒット(笑)が大きなきっかけとなりました。

もちろん、それまでにもブロードウェイ・ウォッチャーはいくらでもいらしたと思うのですが、何というか…「ジュークボックス・ミュージカル」ってだけで、ウケが悪い(!)(だいたい、ミュージカルに「ジュークボックス・ミュージカル」ってジャンルはないですよ)そんな中、日本で、まず「ジャージー・ボーイズ」の注目されたのは音楽ファンの人たちでした(このことも、しょっちゅう書いてる感…)

ミュージシャンの山下達郎さんも、ご自身の番組内で、貴重な音楽資料としてのこのミュージカルの魅力を熱心に語っていらっしゃったようです。私自身は、もともと音楽は好きですが、この時代の音楽やフランキー・ヴァリ&ザ・フォー・シーズンズについて特に詳しいわけではなく、詳しい方からいろいろ教わりながら、自分の断片的な知識とつなげて、自分なりの「ジャージー・ボーイズ」を理解していったのが最初のころでした。

しかし、やっぱり「ジャージー・ボーイズ」はひとつのドラマでありますし、やはり「演劇作品」として注目されてほしいという思いが次第に強くなったのも事実でした。

日本版が動き出したとき、それまで映画版、来日公演と盛り上げてこられた多くの音楽関係者の影が見えなくなったのには、私自身も少々戸惑いましたが、一方では、この作品を演劇関係者の手に完全に渡してしまうのもいいかも…という思いもありました。

日本版についての感想はこちらでも数回に分けて書いていますが、日本版がBW版と決定的に異なる部分のひとつは、日本版の特に後半ですが…フランキー・ヴァリ&ザ・フォー・シーズンズが「バンド」である…という印象が非常に薄くなってしまっていたことだったと思います。楽器もあまり登場しなくなりましたし。

ブロードウェイ版を久しぶりに観ると、終始「バンド」を軸としてドラマが進行していくのが強く印象に残りました。

もともと、この手のミュージカルは「どうせ音楽ライブみたいなもんでしょ?!」的な見方が根強いし、ファンとしてはどうしても「脚本や演出の面白さ」に注目してほしくて、ここでも、これまでは、「ジャージー・ボーイズの中におけるバンドの描写が持つ意味」のようなことについて語ることはあまりありませんでした。

でも、ブロードウェイの最後の週末に、もっとも印象に残ったのが、彼らの音楽が辿った道が非常に鮮やかに描かれていた点でした。あたりまえに「素晴らしい音楽」であると同時に、あたりまえに「素晴らしいドラマ」であり…11年間人々を魅了し続けてきた作品の見事な存在感をひしひしと感じたのでした。


(ちょっと前置きが長くなりましたので、いったんここで切ります)

(続)

※トップの写真は、俳優の一人にバックステージに連れて行ってもらったときに撮ったものです。
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