見出し画像

And This Is Not Elf Land

Three Dog Night

70年代の洋楽界の大物で、実際にライブを観る機会に恵まれたのはThree Dog Night(スリードッグナイト)だけ。全盛期を過ぎた頃に、日本で地方公演をやってくれた。


日本でも、70年ごろからヒットを飛ばしていた彼ら。Old-Fashioned Love SongやJoy To The Worldの大ヒットで、一躍有名になりました。72年の年末(T.Rexと同時期)に初来日を果たしています。音楽雑誌はこぞってT.RexとThree Dog Nightの特集を組んでいました。

ところが、先にも「しつこく」書いているとおり、鳴り物入りで来日したT.Rexの評判はがた落ちになる一方、さほど期待されてなかったThree Dog Nightは高い音楽性とショウマンシップに溢れた完成度の高いステージを見せてくれて、来日後の評価は一気に上昇しました。音楽雑誌などには「T.Rexは散々だったけれど、Three Dog Nightは見直した!」なんてコメントで溢れてましたね。

でも、なんでThree Dog Nightが「さほど期待されてなかった」のか…ま、この辺も、私としてはいろいろ突っ込みたい(!)所なのですよ。Three Dog Nightは3人のボーカリストと4人のバンドメンバーで構成されていました。そう、ボーカリストが3人もいたのですよ。Chuck Negron(チャック・ネグロン)、Danny Hutton(ダニー・ハットン)、Cory Wells(コリー・ウェルズ)。3人とも、ソロボーカルとしても充分に通用するほどの実力派でした…(ホントのこと言うと…ダニーは微妙だったかも)しかし、3人ともハンサムでしたし(ここか!)魅力的なグループでもありましたね。

Three Dog Nightがユニークだったのは、彼らは自作の曲を歌うのではなく、様々なアーティストの曲を発掘し、独自の解釈で演奏し、それで成功したミュージシャンだったという点です。当時は「自作自演が当たり前」…というか、「自作自演ができて一人前」のような見方がありましたし、また、彼らはDunhill(ダンヒル)というヒット曲を量産していたレーベルに所属していたこともあり、「甘ったるいヒットメーカー」「単なる一般受け音楽」なんて過小評価されることがあったんでしょう。

ま、私としては、昔も今も、「甘ったるいヒットソングのどこが悪いんだ!?」「一般受けする曲はレベルが低いのか?!」なんて思っていますけどね、でも、実際、当時のやたらと尖がった洋楽ファンはそういうのを見下す傾向があったんです。(今も自作自演を重視する傾向がありますよね…特に日本では。私は、基本的には、音楽の自作自演って「邪道」ッて気がするんですけどね)

しかし、実際にライブで観ると、彼らの音楽性の高さ、パフォーマンスの完成度の高さが観客を圧倒したのでしょう。

Three Dog Nightのヒット曲をみてみると…Mama Told MeはRandy Newmanの曲。Eli’s ComingはLaura Nyro。The Show Must Go OnはLeo Sayer。OneはHarry Nilson。世界的大ヒットのJoy To The World(喜びの世界)はHoyt Axton。日本で一番のヒットとなったOld Fashioned Love SongはPaul Williamsなど、作家たちもバラエティに富んでいます。

3人のボーカルは、例えばFamily Of Manのように、順番にリードを担当する曲もありましたが、多くはそれぞれのボーカリストが自分の個性に合った曲を担当していました。Chuckは渋くシャウトする歌い方(そういえば、Negronという芸名は、彼の黒人音楽に対する憧れのあらわれだと言われていました)代表曲「喜びの世界」のリードを取っていました。Coryはアイドルのような甘いマスクで女性に人気がありましたが、パワフルな声でMama Told MeなどのR&Bテイストの曲を歌いこなしました。Dannyは(私が一番親しみを感じていたのは彼。ま、当時の流行の濃い顔だった…?)Black And Whiteのポップで親しみやすい曲を歌いました。(Never Been To Spainなどでも、渋いボーカルを聴かせてくれていましたが)

さて、そんな彼らが地元に来てくれたのは75年の春でした。武道館の日本初公演から2年半ぐらいしか経っていなかったのですが…でも、当時は「全盛期を過ぎた」アーティストという感じがしましたね。彼らの曲がラジオから流れることも少なくなってきていましたし。でも、思えば、大好評の日本公演から僅か2年半後…昔はサイクルが早かったのか?「私自身」のサイクルが早かったのか?ただ、その年にDannyなど、主要メンバーの数人が脱退します。

とにかく、開演数時間前に会場へ「乱入」し(だって、入り口が開いていたんですもん~)リハをばっちり見てしまったのですよ。リハが終わったあと、係員が私たちを見つけ「そこで何しているんです?!」と叱られましたが。でも見た者勝ちよ!!…(よい子はまねをしないように!)…っていうか、今はコンサート会場のセキュリティーはしっかりしているから、不可能でしょうけれど

…昭和の話ですよ~

彼らのライブの定番、Family of Manから始まり、ヒット曲が続き、最後はJoy To The Worldで締めくくりました。中盤、新しいバンドメンバーであったSkip Konteのシンセサイザーのソロ演奏が入りました。当時はステージのスモークさえ珍しかった(笑)

その後は彼らのニュースを耳にすることもなく、Chuckが薬物中毒で再起不能になったという絶望的な記事を読むことにもなります。(しかし、彼は近年復活しました)10年ぐらい前に来日しているはずです。その時は、やはりChuckはいなかったようですね。

8年前、アメリカのレコード店で見つけたライブビデオが宝物ですね。今、改めて見るとCoryとChuck↑↑、Danny↓…ですね(笑)。いや、Dannyは思い出の中で美化しすぎていたのですよ。

向かって左から、Danny、Cory、Chuck。

Three Dog Nightというグループ名は、オーストラリアの先住民の「寒い夜には3匹の犬と寝よ」という言伝えから来ています。

コメント一覧

Elaine's
さくらの母さま、別のSNSのプロフィルを時々拝見させていただいております。ありがとうございます。コーリー・ウェルズも亡くなってしまって、本当に今年はミュージシャンの訃報が多くて残念でした
さくらの母
このバンドの曲の中で私の一番好きな曲は、
"OUT lN THE COUNTRY"
です。
master of my domain
自作自演2
私も嬉しいです(笑)

でも、この年代では「少数派」ですよね。「こんな素晴らしいメッセージの込められた歌に感動しないとは何事!!」みたいな雰囲気がありましたもの。

でも、私はメッセージを発したい人は「モノ書き」におなりになればいいのであって、ミュージシャンである必要がないのではないかと思いました。あの当時のフォーク歌手と呼ばれていた人たちの中で、「この人はミュージシャンになるために生まれてきたような人だ!」と感じる人はいませんでしたよね…。
ペルちゃん
日本のフォーク
>唯一受けつけないのが日本のフォークなんですよ…。

うわー。こんなに意見が一致した人初めてで嬉しいです。

これから、断崖の世代が退職して、懐かしのメロディで、よしだたくろうやかぐや姫なんかやるようになると考えると、うんざりですね。気持ち悪。Jポップの方がまだましです。

日本のフォークでも、森山良子とか、バラが咲いたとかは素晴らしいんですけどね。
master of my domain
自作自演
ベル様、私も全く同感です。

音楽はクラシックからド演歌まで、何でも好きなのですが、唯一受けつけないのが日本のフォークなんですよ…。でも、これから団塊の世代が退職して再び音楽を聴くようになると、またフォークで溢れかえる時代になるのかと、、私にとっては「悪夢」の時代が復活するようなもので、今から鬱ですよ~
ペルちゃん
ライアー
>ま、私としては、昔も今も、「甘ったるいヒットソングのどこが悪いんだ!?」「一般受けする曲はレベルが低いのか?!」なんて思っていますけどね・・



全く同感です。大衆受けする曲をバカにする人は多かったですね。自作自演はかっこいいと思われていますが、日本のフォークで、自作自演の「字あまりソング」や「ですます調の歌詞」が一番嫌いでした。プロならプロらしくせよと言いたいですね。



スリードッグナイトは、「喜びの世界」のほか、なぜか「ライアー」が好きでした。

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「Music」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
2021年
2020年
人気記事