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And This Is Not Elf Land

映画『ヘアスプレー』その⑤

差別反対のデモ行進で歌われるI Know Where I’ve Beenの字幕を見ていたら、メイベルが”I”と歌っているところ、字幕は「神様」となっている箇所が何度かあった気がします。

メイベルは「神様」なのか…



でも、この解釈…あながち「間違い」または「意訳しすぎ」とは言えないのでは??…と思えるんですよね。

《追記》
スイマセン・・・
ここ訂正(汗!
さっき観てきたら、{God knows}I know where I've been...と歌ってました!



『ヘアスプレー』の面白さは、その徹底したキャラクターの「記号化」だと思うんですが

例えば、トレイシーの風変わりな両親は「貧しいけれど、正直で善良」
実は『大草原の小さな家』のパパとママとイメージが被るんですよ(違う?)
そして、明るくスクスクと育っている子ども(育ちすぎ?な所もあるけど…)
愛と信頼で結ばれているこの家族は、まさに開拓時代から理想とされてきたファミリーの典型(変型?)じゃありませんか。

ペニーのママはバリバリのキリスト教保守派として、これまた滑稽に描かれていますが、神に選ばれた者として優良な子孫を大勢残す為には、具体的な方法として「・・・・」
彼女が読んでいた(おそらく宗教関係の)本の一節が笑えました。
道徳と信仰を重視し、あくまでも清純な理想の世界を求める人も
「一皮むけば同じじゃないか!」
なんて、ウォータース氏のニヤリと笑う口元が見えるようです。
(だいたい、彼女のペチコートの「しみ」って何なの…笑)

そして、メイベルなんですが…彼女は終始「全知の人」として描かれているのです。
彼女を見ていると、例えばトゥエインとかフォークナーとか、アメリカの小説の中には、黒人が、全てを知り尽くし、全てを見通せる人として登場することがありますが(分かりやすいところでは『風と共に去りぬ』でもそうですよね)、彼女もまさにそのような描かれ方をしています。この『ヘアスプレー』も、しっかりそういう「伝統」を踏襲しているのが面白いですね。



…っていうか、今日発見してひっくり返りそうになったんですが…
『ヘアスプレー』、地元のシネコンでは、来週から一日一回のみの上映となるんですよっ!
む…むごい!
だって、私が行ったときは、田舎のシネコンの割には、人は入ってましたよ~
わー、厳しいなぁ…

コメント一覧

master of my domain
私も…
私もジェリー・スティラーに大喜びしました♪
一方では、大画面で観ると、やはり、かなりの御歳なのだな…ってことも実感しました。まだまだ元気で頑張っていただきたいですよね。

ブロードウェーのミュージカルというのは、新大陸に渡ってきて苦労している人たちを力づけようと始まったものだから、基本は楽天的でノー天気。それがアメリカの軽めの音楽と英語の語感にピッタリマッチしていて面白いんです。

社会的マイノリティーのネタも普通に取り上げるのはSEINFELDも同じですよね。でも、この辺りは日本人は同じようにはできないでしょうね。
ファイア-
みました~
試写会で友人と観てきました。予備知識ゼロで観たので、深刻なテーマを扱っているのが意外でした。深刻なテーマをコメディとして徹底して明るく描けるバイタリティに感動しました。これぞアメリカ映画の真骨頂。アステアやジーン・ケリーが活躍した頃のミュージカル映画の伝統をもしっかり受け継いでいるな~と感じました。やはりブロードウェイミュージカルの確固たる歴史があればこそ、なのでしょうね。日本にはもともと「スカッ」とするエンタテイメントの歴史がないから、こういう作品は逆立ちしても作れないんですよね(結局モノマネしかできない)。うらやましいかぎりです。「ジメッ」と対抗するしかない(笑)。
それにしても、マスターさんの細部にわたる解説、さすがです!そんじょそこらの批評よりずっと勉強になりました。
ちなみにジェリー・スティラーの登場に過剰反応してたのは会場でわたしだけだったと思います(笑)。
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