戦史作家の牧野弘道さん死去
戦史作家で元産経新聞編集委員の牧野弘道氏(まきの・ひろみち)さんが4日、肺炎のため死去した。85歳だった。葬儀は近親者で執り行った。喪主は妻、登美(とみ)さん。
父は第16師団長として昭和20年にフィリピン・レイテ島で戦没した牧野四郎陸軍中将。早稲田大政治経済学部卒業後、34年に産経新聞社に入社し、サンケイスポーツ文化部長、産経新聞編集委員などを歴任。平成8年12月から4年間、昭和16年12月の開戦から敗戦後の20年末までの毎週の状況を振り返る「紙上追体験 あの戦争」を連載。退社後は戦史作家として『戦跡に祈る』などを刊行した。
(https://www.sankei.com/smp/life/news/200814/lif2008140023-s1.html)
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牧野氏の連載「紙上追体験 あの戦争」は私が中学から高校にかけて、もう四半世紀近く前のことだったのかと少し愕然とした。
終戦75年の今、一切、手を加えずに再掲載してほしい。
記憶の継承だなんだと言うのなら、この連載の再掲載はかなり有効な手段だと思う。
終戦75年の特集記事が、どうも、当時の国や政府、そして軍は悪者という前提のもとに書かれ、客観性にも欠けていて、新聞記事としてはちょっとお粗末すぎるのではという印象を持つ。
個人の体験には主観や感情が入る。新聞記事は出来る限りそういったものを除き、客観的事実をきちんと書いて欲しいと思う。
「紙上追体験 あの戦争」はその点で秀逸な連載だったかと記憶している。
ま、人によってはそこに"不都合な真実"が書かれているから困るのかもしれないけれど。
牧野氏が逝去されたのは8月4日だが、その訃報が掲載されたのは8月15日付朝刊。
何の因果か今朝の朝刊に載っていた。
心よりご冥福をお祈り致します。
嗚呼しみじみと、昭和も遠くなりにけり。
75年も経つと、戦時中すでに成人していた人はほとんど亡く、"戦争体験者"として出てくる人々は、だいたいが当時十代半ば以降。その体験談から、ある種の"歴史修正"のようなことが起きているような、そんな感覚になる。
大正10年生まれ、数え100歳の祖母がかつて語ってくれた戦時中の話を、忘れずにいたい。
様々な人がいて、それぞれ違う体験をし、考えを持っている。我が子がやがて学校などで"戦争について"いろいろな話を聞くことになるだろう。
その時に、その話を否定するのではなく、こういう話もあるのだよと語り伝えていきたい。
備忘録もうひとつ。
今年は国勢調査(小調査)の年。第一回国勢調査から100年になる。
国勢調査の実施に奔走した我が高祖父にも思いを馳せつつ。