身体を動かしていないと、色んなものが頭を過る。
ネガティブな考えだったり、とめどない不安だったり、理由のない焦燥感だったり。
そしてそれらが、俗っぽい浮世に身を投じろと誘う。
現実から逃げ出してしまえ、と悪い顔して囁き始める。
所謂「邪念」なのだろう、こういうものって。
煩悩溢れる人間である限り、どう足掻いたって完全に無の境地は開けやしない。
修行を積んだ僧侶じゃあるまいし、僕みたいな一般人なら尚更だ。
でも、練習してる時、トレーニングに打ち込んでいる時は
僕は多分僧侶以上に無我の境地にいる。そんな気がする。
邪念に塗れた世界から、己から、僕は脱却しなきゃならない。
何故なら、それらに塗れて生きて来て、何も成し遂げやしなかったからだ。
そんな自分が嫌で嫌で仕方なかったはずなんだ。
全ての現実を受け止めて、愛してやる事はどうしても出来そうにないけれど
清濁併せ飲んで尚、前を、前だけを向き続けた父のようになりたい。
愛せない過去よりも、愛せる未来を作り続ける為に
だから邪念よ、今もこれからもお前の相手をしてやる暇などないから
去れ!!