豆井豆太郎の一豆入魂

一粒の豆に魂を込めて

青立ち株について

2011年12月08日 | 大豆
青立ち株(または莢先熟)は大豆の品種の特性ではありません。この品種は青立ちが多いとか少ないとかはありません。富山県における大豆「青立ち株」発生要因の解析及び防止対策についての資料があったので引用しますので参考までに・・

~「国産大豆の栽培技術および加工適性の向上に関する研究会」から④~
講師:富山県農業技術センター尾島輝佳氏

富山県と言えばエンレイを主力とする大豆の大産地ですが、近年は徐々に単収が減少してきており問題となっています。その単収減少の要因として、水田転換畑の地力の減退とともに重要視されているのが青立ち株の発生です。青立ち株が大発生した圃場では収穫皆無になることもあるので、青立ち株の発生はとても深刻な間題ですが、青立ちが発生する大きな要因として、株あたりの爽数と子実粒数の減少が考えられています。つまり、植物体の生育量に対して爽数、子実粒数が極端に少ないと、光合成産物の量に比べその受け皿が小さいために養分の茎薬部から子実への転流が十分に行われず、爽は熟しても茎葉部はいつまでも枯れ上がらない青立ち状態になってしまうのです。

今回の報告では、一株の節あたりの爽数が1.25莢/節以下になると青立ちになる危険性があるとの指摘がされました。これまで子実のできが悪くなる原因は、主にカメムシ類による虫害とされてきました。しかし、尾島氏らは青立ち発生ほ場を詳しく調査した結果、虫害以外にも、開花期の高温・少雨等の気象条件による落花・落莢の増加による衆数減少からくる青立ち、地力・早播き・粗植(苗立ちのばらつき)が原因と考えられる過剰生育からくる青立ちがあることを報告しました。今後は、カメムシ防除だけでなく他の要因も考慮した過剰生育防止対策が必要であり、具体的には以下の点について注意を呼びかけました。

1.5月中の早播きは避け、栄養生長の過剰を防ぐ
2.干ばつによる落花・落莢を防ぐために灌水を行う(特に開花11-20目後または開花21-30目後の灌水が有効)
3.排水対策を徹底して根圏の拡大を図り、干ばつに強い大豆を作る
4.害虫防除の徹底(カメムシだけでなく、フタスジヒメハムシも青立ちに関係しているかもしれないとの指摘がありました)いずれの対策も、「植物体の生育量に見合った莢数と子実の稔実度を確保する栽培管理」を念頭においた対策です。

これまで「青立ちの原因は虫害」と考えられていたため、その対策は害虫防除が中心でした。しかし、虫害が原因であるとすれば相当数の虫が観察されるはずなのに、実際は虫がほとんど見られないほ場でも青立ちが発生するケースもありました。また、カメムシの防除を何回も行い過ぎると、かえって他の害が出てくる可能性も指摘され、虫害以外の可能性が示されたことで、新たな対策を確立する必要があります。一方で、九州地方などではカメムシによる吸汁害が青立ちの主要因として指摘されており、あくまで状況に応じて対策を考えなければならないと思われました。

く本記事につきましては、独立行政法人農業技術=研究機構及び大豆指定試験地の研究員が作成しました>
発行元:農林水産業農産振興課 豆類班
大豆ホームページアドレスhttp://www.maf.go.jp/soshiki/nousan/hatashin/daizu/より抜粋しました

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