「松田道弘のシックなカードマジック」 松田道弘著 東京堂出版(2008年)
2008年度の新刊をご紹介と言ってももう皆さんお持ちだと思います。カードをやらない私が何故持っているんだ、と言わないで下さい。読むことが好きなんです。手品を観た気分に慣れるので…、本当は生を観たいんですがね。
タイトルで使われているシックは、Chicつまりオシャレと言う意味ではありません。本の帯にも書かれていますし、前作「松田道弘のオリジナル・カードマジック」のまえがきですでに書かれていましたが、Simplicity(単純)、Improvement(改良)、Clear(明快さ)、Knockout(観客を驚かす工夫)、の頭文字を取ってSICKです。SICKを目指して書かれたそうです。
第1章 シックカードをめぐって
作品1.私のスタンダップ・エース・オープナー…デックをまぜたりカットしたりしながら、次々とエースを取り出していきます。最後の1枚は観客がストップと言ったところから出てきます。その名の通り、スタンダップでできます。
作品2.Four Aces Reverse…4枚のエースをバラバラに差し込んでから、デックをリフルシャフルします。デックを広げるとエースだけ表向きになっています。ステランコのアクション・センター・リバースが紹介されています。必見!!
第2章リバース・ゲーム
作品3.Tow Card Peek Reverse…2人の観客に1枚ずつカードを覚えてもらったら、デックを無造作に表裏ごちゃまぜにしてしまいます。ところが、デックを揃えて広げると向きが揃っており、覚えてもらった2枚だけがひっくり返っています。スロップシャフルを覚えよう!
作品4.トリプル・カード・リバース・ルーティン…3人の観客にカードを1枚ずつ覚えてもらいます。デックを広げると1人目のカードが表向きになって現れます。ひっくり返っているカードが無い事を確認しますが、再びデックを広げると2人目のカードがひっくり返っています。同様にデックをあらためた後、3人目のカードがひっくり返ってでてきます。
第3章ストップ!
作品5.シンプリファイド・ライプチッヒ…2人の観客にそれぞれカードを選んで覚えてもらいます。そのカードをデックに戻し、軽く混ぜたら観客に手渡します。観客にはカードを1枚ずつ演者の手の上に配っていってもらいます。好きなところで止めてもらいますが、そこから観客のカードが出てきます。2枚目も同じくストップのかかったところから出てきます。
作品6.マーローのエース・オブ・スペード・トリックの新手順…「スペードのエース・トリックを見た事がありますか」と言うセリフで始まります。デックを1枚ずつテーブルに配っていき、好きなときにストップと言ってもらいます。そこのカードがスペードのエースなのです。これをもう一度くり返します。
第4章インポシブル・フライト
作品7.ダイエット・ビジター…バラバラに入れた黒のQが、観客のカードを挟んで見つけます。観客のカードは、テーブル脇によけていた赤のQ2枚の間に移動し、黒のQの間にまた戻ります。
作品8.サインド・カード テクニカラー版…青裏のカードをあらかじめテーブルに置いておきます(他のカードは赤裏です)。観客のサインしたカードが2枚のジョーカーの間で消失します。青裏のカードをめくるとサインド・カードになっています。色違いのカードを使う所が効果大。
第5章エースのレストラン
作品9.ニュー・クラシック・フォア・エース・アセンブリ…4枚のエースを4ヶ所に表向きに置きます。その上から各エースの上に3枚ずつカードを配ります。3ヶ所のエースが一度に消失し、マスターパケットへ集まります。クラシック・フォー・エースを単純化。
作品10.マクドナルドのリピーター…マクドナルド・エーセスかな。DFカードの消失法がボーナスで3種類解説されています。
第6章アニュージュアル・アセンブリの異次元世界
作品11.アルティメイト・オプティカル・エース・アセンブリ…裏模様がそれぞれ異なる4枚のエースを使ったアセンブリ現象。究極バージョンと言う作品。
作品12.プログレッシブ・ジョーカーの進化…4枚のジョーカーがパケットからパケットへ順に移行する、今までにないスピード感を実現しています。
第7章ツイスティング・ザ・フェイク
作品13.オーバーラップ・レインボウ…4枚の赤裏のカードを広げて持ち、トップカードを表向きにしてからデックを揃えます。次の瞬間カードは4枚と表向きになります。さらにそのカードを裏返すとレインボーバックになっています。
作品14.4枚の3がA-2-3-4-5に…そのまんまの作品名ですね。4枚の3を広げて持ち、トップの1枚を裏返します。パケットをとじてから見直すと、4枚とも裏返っています。「実は5枚あったんです」と表向きに配って行くとA,2,3,4,5の5枚になっています。
第8章カニバル・クエスト
作品15.オーバーラップ・カニバル…4枚のキングの間に入れた裏向きのカードがその度に完全消失。都合3枚の裏向きのカードが消えて4枚のキングだけとなる。
作品16.シンプリファイド・インターレースト・バニッシュ…4枚のKに挟んだ3枚のカードが一瞬で消失します。インターレスト・バニッシュの単純化だそうで、他にも応用できるんではないでしょうか。
第9章Mental Cases with Cards
作品17.デイリー、バーノンそしてトムソーニ~偽の記憶術…観客の覚えたカードを何枚目にあるかをズバリ言い当てます。続けて他のカードの枚数目を言い上げて、まぐれでは無かった事を証明します。
作品18.ひっくりキングのメンタルマジック風演出…4枚のキングを持ち出し、観客に1枚のキングが裏返っているところをイメージしてもらいます。パケットを広げると本当にその1枚が裏返っています。こんどはカードに描かれたキングが後ろ向きになっているところをイメージしてもらいます。そして再度絵を見るとキングは後ろ向きになっています。さらに残りのキングも全員後ろ向きになっています。
第10章プロレム・ソルバー
作品19.Open Predictionの私風の改案…レギュラーデックを使ったオープン・プレディクション。不思議な方法です。読んだだけだとちょっと難しいかな?やってみれば?
作品20.クロック・トリックのリニューアル…観客に十数枚のパケットを手渡し、そこから適当な枚数を取ってポケットにいれてもらいます。残りをまぜてからボトムカードを覚えてもらい、そのパケットをテーブル上のデックに重ねてもらいます。マジシャンは、デックをとりカードを時計形にレイアウトして並べ、選ばれたカードと、ポケットに入っている枚数を言い当てます。この古典トリックを不思議にするアイディアが追加されています。
本の冒頭には、用語辞典や簡単な技法、約束事などが書いてあり再度勉強させて頂きました。
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