もう各所で公開も終了しておりますが、それでもやっぱり感想言いたい!
「ランドオブザデッド」。
かのゾンビ映画のパイオニアたるジョージ・A・ロメロが「死霊のえじき」以来20年を経てついに世に送り出す新作ゾンビ映画だ!
当然ながら見に行きました。公開後一週間を経て、だったんですが、最寄のシネコンではすでに深夜に追いやられてましたよ・・・。
それはともかく。
ゾンビ映画という奴は、とかくゾンビそのものの描写や残酷シーンが否応無く目立つわけなんですが、ロメロ監督はこれまでのゾンビ映画において、
人間と言うものの度し難さ、しょーもなさを描いてきました。
今作においてもそれは健在。
今回のテーマは
「貧富格差」です。たぶん。
突如として出現したゾンビ(原因は不明)は、瞬く間に地上を席巻していた。わずかに生き残った人類は街に立てこもり、傭兵を雇って生活を維持するしかなかった・・・。というのが大まかな設定。
で、その人間たちなんですが、
大半は貧困層でスラム暮らし。そしてごく一部の金持ちが、防衛用の傭兵たちを顎で使いつつ、高層ビルで超快適な暮らしを満喫しております。
うん、わかりやすいw
そして、富裕層、貧困層とはまさに次元の違うところに存在するのが、
「金も要らなきゃ女も要らぬ。あたしゃも少し肉ニク肉!!」なゾンビたち。
こいつらはまさしく人間の天敵として昼夜なしに人肉を求めてさまよっておるわけなんですが、所詮はただの丸腰野郎。街に暮らす人間たちも、
すっかり対応に慣れきっております。ただ防衛のみならず、
ちょこっと捕まえてきて逆さに吊って射的の的にしたり、鎖で繋いでスリル一杯の記念撮影に使ったり。
しかし、その余裕の日々は、
ただ一体のゾンビの存在をきっかけに崩壊するのです。
そう。今回の「ランドオブザデッド」では、このゾンビの中に
飛躍的な進化を遂げたやつが登場しました。
人間から奪った銃を乱射!
圧倒的なカリスマ(?)でゾンビ軍団を統率!
仲間ゾンビの死(?)には嘆きの声を張り上げる!
人間よりかよっぽど情が深いぞ!
と、そんな奴が(たぶん)数千のゾンビたちを率いて攻め上ってくるのだからたまらない!
本来、ゾンビというのはそう強い個体ではありません。力は人並み、敏捷性は無いに等しく、知能はせいぜい生前の行動を機械的に繰り返すのが関の山。正直、ちょっとした飛び道具さえあればあっさり仕留められるような低レベルモンスターです。
実際、お話の前半では、周辺の街から物資を回収する傭兵隊にいいように狩り立てられておりました。
しかし。
数さえ揃えばまさしく恐怖の軍団に早代わり!
何せ頭を撃たれるか、筋組織をズタズタにでもしない限りその前進は止まらない!
しかも相手はそんなタフネスを備えているのに、
人間側は一噛みでもされたらゾンビになっちゃうという不公平さ! さらには目の前で人が食われまくるという、その想像しようも無い精神的ダメージ!
重火器やロケット弾などでの殲滅も効きはするけども、全滅させるよりも先に確実にタマが切れる!
火力も士気も持ちようが無い!!
ゾンビ集団にだけは喧嘩を売らないようにしましょう・・・。
さて、そんなゾンビとの戦いの中でも、いろいろと人間ドラマは展開されるわけなんですが、正直なところやや薄め。
確かにツボを押さえた演出とかは多いんですが、特に意外性は無く「そうだよね、そうなるよね」といった感じで受け止めてしまいます。かといってつまらないというわけでもなく、なんと言うか「良くまとまってはいるよね」といった印象。
その辺、ちょっと期待をしすぎたのかな、とは思います。
まあ、個人的には、
ノタノタ動くゾンビ軍団と、ゾンビを嘗めきった人間どものアホさ加減、そして豪快な人食いシーンが見れたのでおおむね満足。これがヒットしたら続編もあり、という話なので、それも楽しみです。
やっぱ俺、ゾンビ好きなんだなあ・・・。(なんでだろ?)