Moonギルド内…
アネット
「ちょーっと力入れただけでこれだなんて…わざわざ人間界に降り立った神の名が泣けるわ…」
みほ
「うっ………」
「みほ姉ちゃん!」
苦しそうに横たわるみほを見て、ショコラは祈るように手を握り合わせた。
「祈りよ、天界に届け!豊穣女神デメテル召喚!」
祈るように握り締められた手のひらから一粒の光が現れ、姿を変えていく…
デメテル
『ショコラ…呼んだかしら?』
ショコラ
「みほ姉ちゃんを助けて!」
デメテル
『わかったわ…アース・チャント』
杖をかかげると、小さな水の粒がみほの体にくっつき、傷を吸収していく。
その姿を見ながらアネットは感心していた。
アネット
「ほう…神の召喚士なのね…でもその程度の召喚術じゃ…」
笑みを浮かべたアネットの体は徐々に黒に染まっていく……
アネット
「私には勝てないわよ」
ゾッとするショコラをかばうようにデメテルが一歩前にでて視界を遮る。
みほ
「うぅ……チョコ…ちゃん…」
ショコラ
「みほ姉ちゃん!気がついたのね?!」
アネット
「あらあら…あのまま眠ってれば楽だったのに…」
みほ
「くっ…なぜ…なぜMoonを狙うの?!」
アネット
「ふふふ…私は知ってるのよ、あの惨劇をね…」
みほ
「なっ…」
ショコラ
「みほ姉ちゃん?」
アネット
「同じギルドでも知っている人とそうでない人がいるのね…
まぁ私も実際見ただけではないし、噂程度だったから…
とりあえず身近のギルドを潰していったの。
私はただ、あの日起こったことを知りたいだけ。
王宮でさえ知らされていない真実…をね?」
みほ
「そんなことはさせません。」
みほはぐっと手を握った。
みほ
「これ以上、私たちの…やっと掴んだ平和を乱さないでください。
Moonは渡さない。何があっても…」
*:゜・:,。*:..。o○☆゜*:゜・:,。*:..。o○☆゜*:゜・:,。*:..。o○☆゜*:゜・:,。*:..。o○☆゜
火山地帯…
アケローンの度重なる攻撃に、3人は飲み込まれてしまった……
ニィと笑うアケローンのもとへ凛とした声が響き渡る。
『セイクリッド・リラ』
突然、灼熱の竜巻が水に飲み込まれたかと思うと、今度は歌が聞こえてきた。
アケローン
「グ……グアァァァァ……」
歌が聞こえ始めた途端、アケローンがうろたえ苦しみ始める。
メルポーネ
『今です!』
アケローンがひるんだ隙をついて、あかとメルポーネは炎から脱出した。
あか
「助かった…」
息を切らして岩にもたれかかる2人にも、歌が聞こえてきた。
メルポーネ
『この歌は…』
火を飲み込みんだ水柱から突然、カッと何かが輝き始めた。
その光が合図かのように、水柱が蛇のごとくアケローンにまとわりつく。
水を弾こうと暴れるも、水の変形になす術なく、アケローンは水球の中に溺れていった。
アケローン
「グァ…ゴポッ……ァァァァ……」
あか
「アケローンを一瞬で…さすがだな…」
水柱がなくなっても何かが空中で輝きを放っている…
目を凝らして見るとそこには…
水球に守られたメルポーネの杖が輝き続けていた。
メルポーネが感情を込めて歌えば歌うほど杖の輝きは増していく。
そんなメルポーネを包む水球の中には、やらされがぐったりと横たわっていた。
その姿に、あかはホッと胸をなでおろした。
あか
「間に合ってよかった…」
━・━・━・数分前━・━・━・━・
アケローンから火炎放射を受ける直前…
「シネ…」
「方円の陣 発動」
メルポーネの目の前に円形の魔法陣が現れた。
メルポーネ
『これは…アクセサリースキル!』
その陣はアケローンの炎を弾き、受け流していく…
小さな魔法陣が防いでいる間に
あか
「我が元に水の加護を!愁詩神メルポーネ召喚!」
あかはもう1人のメルポーネを召喚し、炎に飲まれるやらされを助けたのだ。
━・━・━・━・━・━・━・
水球に包まれた水メルポーネとやらされはあかたちの近くに降り立った。
水球が弾け、周りの風景に似合わないさわやかな風が巻き起こる。
水メルポーネ
『いきなり呼ばれたと思ったら火の中だなんて…冗談キツイわよ、主。』
あか
「ごめんな水メルポーネ。緊急事態だったからさ…」
水メルポーネ
『まぁいいわ。しかしこんな中よく私を召喚できたわね。』
火メルポーネ
『運良くアクセサリースキルが発動したのです。
私たちのスキルと違い、アクセサリーのスキルはいつ発動するかわかりませんから……
ここまでうまくいったのは強運の持ち主ラセ様がいたからですね。』
あか
「ここまで強運だなんて…
ひとまずポーションで回復させないと…」
ポーションを口に含ませると、あちこちにあった火傷がみるみるうちに消えていく…
やらされ
「うっ…」
あか
「ラセ、大丈夫か?」
やらされ
「あぁ…水メルポーネを召喚してくれたおかげでな…」
あか
「同化が解けてないってことは、まだ戦えるだろ?」
やらされ
「当たり前だわ。アケローンごときにやられてたまるかよ。」
アケローン
「グオオオオオオオオ!」
突然の雄叫びとともに、マグマがアケローンめがけて噴火した。
マグマはあっという間に水を蒸発させ、アケローンは解放されてしまった。
水メルポーネ
『あらまぁあちらさんは相当ご立腹よ?』
やらされ
「ちょうどいい。あか、久々にやるか。」
あか
「言うと思ったよ。やるか!」
あかはメルポーネたちの間に立ち、目を静かに閉じた。
それに合わせて、メルポーネたちも目を閉じる。
あか
「召喚されし神々よ…騎士の力をまといし仲間にさらなる力を!」
メルポーネたちは光の球となり、やらせれを囲むように輝きはじめた。
アケローン
「?!
グアァァァァ!!!!!」
神々しい光に飛びつくようにアケローンは牙を向く。
しかし、膨張していく光から突然、一筋の太刀筋が放たれ、アケローンを吹っ飛ばした。
風船が割れるように光は弾け、そこに立つのは
聖なる力をまとったやらされだった。
あか
「サーヴァント成功…ラセ、やったれ!」
やらされ
「アケローン、待たせたな…一気に片付けるぜ!」
やらされは地面を力強く蹴り、アケローンにむかって飛び込んだ。
そんなやらされを返り討ちにしようと、アケローンは炎を吐き出す。
やらされ
「無駄だ!」
見にまとう聖なる光が炎をかき消し、やらされはアケローンとの距離を縮めていく。
やらされ
「これで終わりだ!
アルティメット・エンドォォォ!!!」
体から溢れ出る聖気は黄金の獅子と変わり、
黄金に輝く獅子とともに、聖剣の切っ先を向けそのまま飛び込む。
炎をかき消し、喉元へ突き刺さる瞬間
「ヒノカカビコ発動」
わずかな隙間に魔法陣の盾が出現し、切っ先を受け止めた。
やらされ
「なに!?」
あか
「これは…アクセサリースキル?!」
やらされ
「やっぱりこいつ、野生じゃねーな!でも諦めてたまるかよっ!」
聖剣にありったけの力を込める。
だが魔法陣はびくともせず、ただ光を受け流し続けている。
あか
「ここまできて…ラセ、諦めるな!」
やらされ
「うおおおぉぉぉぉ!!!」
「セラフィン・ラファーガ」
どこからか声が響き、やらされのもとへ新たな魔法陣が出現した。
あか
「あの魔法陣…まさか!」
パキッ…
切っ先を向けるアケローンの防御陣がひび割れた。
アケローン
「!!!!!!!!」
バキバキバキ…バリン…
やらされ
「いけええぇぇぇぇ!」
防御陣が砕け散る音とともに、聖剣がアケローンを貫いた…
「グアッ……ヴァァァァァァ……」
聖なる力に浄化されたアケローンは塵となった。
雲間から光が差し込み、溢れ出すマグマは徐々に落ち着いていった。
あか
「勝った…討伐完了だ…」
倒れそうになったあかをメルポーネが慌てて支える。
火メルポーネ
『主、力を使いすぎです…』
水メルポーネ
『さっさと私たちを帰さないと意識失っちゃうわよ』
あか
「そうだな…2人ともありがとう。」
火メルポーネ
『主に火の加護があらんことを…』
水メルポーネ
『主に水の加護があらんことを…』
2人は天へと伸びる光となり、消えていった。
空を見つめながらやらされはあかのもとへと近寄る。
やらされ
「あか、サーヴァントありがとな。」
あか
「どういたしまして♪でも最後の魔法陣は…」
やらされ
「あいつ…だよなwwおーい!隠れてないででて来いよー!」
キョロキョロと見回しながら誰かを呼ぶやらされを岩陰から覗き込む者がいた。
召喚士
「まさかアケローンがやられるとは…ここは退却を…」
????
「にがさないんだからっ!」
召喚士
「?!」
突然の声に後ろを振り返ると…
召喚士
「う、うああぁぁぁぁ!」
○┼< バタッ!
続く♪