ン?のつっかえ

役立たずな、日々のガラクタ

道浦母都子さんの歌

2005年12月02日 23時57分18秒 | Weblog
 道浦母都子さんの『無援の抒情』を、私たちは今、岩波現代文庫で読める。
 道浦さんの歌を読んでいると、全共闘なのか、党派なのか、そういう若者たちの馬鹿さと痛々しさに胸がつまる。今になると、道浦さんが歌っている父親の姿の方に自分が重なってしまうが、道浦さんと同世代で、道浦さんの、そして、自分の父親に並ぶほどの器量を持てた人は少ないのではないかと思う。
 歌としてはあふれ返るものがありすぎて、どうしていいか見当もつかなくなる魅力があるが、歌人としては、後の作品で技量が高まったわけでもなく、また、思想が深まった印象もない。ただ、道浦さんそのものから、正面から時代の苦悩をひきうけて生きる清さが感じられる(おそらく、常にそのように思われ、言われて来ただろう。本人にとっては嫌な言葉かもしれない)。NHKの短歌番組で見る彼女は、やはり美しい。
 私などは、あの道浦母都子だと、仰ぎ見る、高い存在です。

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