2021.6.24
近畿財務局元職員赤木俊夫氏の自殺について
私は、長年下級公務員生活を続け、組織の中において数々の矛盾を経験して昇進して管理職に上り詰めた。
かつての長い公務員生活は30年前のこと今は「終わった人」の存在で過去を語らないことにしていたが、数年前、近畿財務局の森本学園問題。話題の渦中、故赤木氏が上司から公文書変造を命じられて、変造した。彼はそれを苦にして悩み欝症状に陥り自殺されたというか悲しい事件を検証したい。
問題点 彼は近畿財務局の職員だったということは、国彼が国家公務員法の定めた国家公務員であったから当然公務員としての服務規程が定める、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならなかった。
下級公務員の地位のものが上司の命令に批判を加えたり、命ぜられた行為を否定する余地はなかったし、変造したことを一人苦しみ悩むことはなかった筈である。
このことは、かつて公務員上級管理職を経験した私は、若い時分から文学に親しみながら数々の矛盾を経験してきたが、妻子あるもの、あえて芥川龍之介の侏儒の言葉を胸に矛盾と戦ってきたし死を決したことはなかった。芥川龍之介の「侏儒の言葉」を紹介し旧軍事組織を現代の公務員(国家、地方)組織の地に置き換えて比較した。
理想的兵士(下級公務員)は、いやしくも上官(上司)の命令には絶対服従しなければならぬ
絶対に服従することは絶対に批判を加えぬことである。すなわち理想的兵卒(下級公務員)はまず理性を失わななければならぬ。と説き、さらに、理想的兵卒は(下級公務員)いやしくも上官の命令には絶対に服従することは絶対に責任を負わぬことである。すなわち、理想的兵卒は(下級公務員)はまず無責任を好まなければならぬ。と教示している。
赤木氏に文学的思考があったなら、上司の命令が違法であっても芥川の思想の恣意が存在していたら
無責任を貫きとおせただろう。死ぬくらいの勇気があれば、上司の無理難題を他の場所で暴く方法があったのではと同情をやまない。
男が家族を養うのだ、自分一人ではないのだ。少しのエゴがあってもだれも文句を言わない。家族の幸福を、妻子を苦しめない他に生きる方法があったのではと素朴な世界観があったらと残念でならない。