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「和合亮一氏トークライブ “ことば”を通して福島と向き合う」第2部、朗読に参加させていただいて

2013-01-21 23:29:55 | 詩・朗読

中原中也記念館平成24年度 第2回公開講演

「和合亮一氏トークライブ “ことば”を通して福島と向き合う」第2部、朗読に参加させていただいて 

“感想”

昨年までは、山口市の商店街市街地での朗読会に、お邪魔させていただいていた。

アーケード内でもあり、買い物をされる方々も行き交う中、賑やかに朗読をさせていただいてきたものだった。

この度は、東日本大震災で被災された、中也賞詩人、和合亮一先生のトークライブに続いての、朗読会。「“ことば”を通して福島と向き合う」というテーマ、震災の現状を見聞きして抱いた思い、被災された皆様に届けたい言葉。詩でも、小説でもエッセイでも、何でも良かった。今回、このテーマで、向き合う機会をいただいたのだ。

昨年は仕事場の喫茶店でも、大阪で震災チャリティー活動をボランティアで行っている知人に、現地の写真展とチャリティー音楽ライブをやっていただいた。実際、話を聞いたり、現地の写真を見るにつけ、その残酷な状況は、時を経た今でも、眼を耳を、疑うような場面の連続であった。

今回の和合亮一氏のトークでも、実際の現場で和合氏自ら撮影された写真を数多く提示されていた。迫り来る様々な恐怖と葛藤、焦燥。言葉を紡ぐ事で、日一日を乗り越えて来られた体験談、故郷福島に寄せる思い、和合氏の詩作品の朗読、和合氏のご家族の朗読、くっきりと心に残る。

「“ことば”を通して福島と向き合う」というテーマで、当初、私共は、一体何が出来るのだろうかと、多いに考える機会をいただいた。

実際には、被災していない私共が、どのくらいの深さで追体験できるのか、自問自答も含め、かなりの時間を費やす事となった。

どんなに言葉と思いを尽くしても、実際に被災された方にしてみれば、「嘘」となるのだろう。ならば、まずは、同じような地平に立つしかない。私共も同じような思いは、もしかすると、共有出来る思いがあるかも知れない。各々が、日常の中で、苦しかったり、辛かったり、悲しみに沈んだりするような事の思いは、大惨事を体験した方々に比べると、極めて小さいながらも、少しは共有出来るかも知れない。そう思った時から、今回の朗読作品の構想がスタートした。

中原中也氏の詩作品を読ませていただく、と言う事は、最初から決めていた。

中也氏の詩作品には、時空を超えた普遍性が存在する。この思いには変わりがなかった。

そして今回は特別に中原中也氏詩作品ともう一つのストーリーを考えた。表が中也氏詩作品とするならば、その裏に、もう一つのストーリーを作った。

まず最初は「心象」(山羊の歌)、3名の群読。1名のストーリーテラー。残る2名の眼前には、迫り来る津波があった。必死に逃げ惑う。が、津波が全てをなぎ倒し、のみ込まれて行く。「心象」のⅡからは、津波が去った後の現実。恐ろしい程の、空虚感。

どうしても、この「心象」という詩作品では、ⅠからⅡへの間、詩が時間・空間を飛び越えている。尋常ではない。今回の私共の課題がもう一つ、「言葉」に、どう「リアル」さを持たせられるか、と言う事であった。言葉を運んでくるだけでは埋まらない、ⅠからⅡへの移行は、とにかく、頭も身体も存分に、駆使するしかなかった。「嘘」の「言葉」では、容易く乗り越えられないし、伝わりもしない。本当にくたくたになりながら、はじめて、Ⅱの詩句を言葉にする事が出来た。

次の「少年時」(山羊の歌)も、通常よりは、緊張感を持たせた。

最後のオリジナル曲には、「希望」を込めてお届けした。

私共の思いが少しでも届いていたという事であれば、幸いである。

最後ではございますが、東日本大震災で被災された皆様、見えない放射能の恐怖と戦っていらっしゃる皆様、

復興・再建にご尽力されていらっしゃる皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

そして、今回、この機会を与えてくださった、中原中也記念館皆々様、山口の皆々様に、心より御礼申し上げます。

交差転プロジェクト・広島 

代表 安孫子多香子

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