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「螳螂之斧」(故事)の内容を一字読解で理解させる(高校1年・国語)
TOSS茨城NEVER 坂本佳朗(rekisi_sotuken@hotomail.com)
「螳螂の斧」とは,「自分の弱さをかえりみず強敵に挑むこと。はかない抵抗のたとえ」(*1)として知られている故事成語である。そのもととなった故事を,一字読解で理解させる。ごく簡単な問題を,何問も何問も出す。
指示1 一行ずつ空けて,ノートに,マル1からマル20。 |
発問1 マル1。題名は何ですか。漢字で書きます。(螳螂之斧) |
発問2 マル2。何という人が出てきますか。二字で書きます。(荘公) |
発問3 3。どこの国の人ですか。一字で抜き出します。(斉) |
生徒が慣れたら,「マル3。」→「3。」と,言葉を削る。言葉が少なくなるほど,発問が聞き取りやすい。注釈の1を見ると,「斉-春秋戦国時代の大国。」とあるから,国の名前だと理解できる。
発問4 4。荘公は,何をしに行ったのですか。「【 】猟」という形の熟語で答えます。(狩猟) |
「猟す」は,「狩り」と言い換えた方が,分かりやすい。設定の部分なので,多めに出題しているが,その分テンポを落とさない。
発問5 5。荘公の前に,何が現れましたか。一字で答えます。(虫) |
発問6 6。「(足を)挙げて」を,別の漢字で言い換えなさい。(上げて) |
「漢文では,簡単な漢字に直せる字は,直して考えます。」と説明。大事な読解技術である。
発問7 7。一学期の復習!「将博其輪」を,書き下し文にしなさい。(将に其の輪を博たんとす。) |
一字一句,漢字とひらがなを間違っても×である。ただし,本文の下に書いてあるので,生徒は見て良い。全員できるので,「やるな!次が本番だ!」と煽る。
発問8 8。マル7を,現代語訳しなさい。(今にもその輪を打とうとする。) 板書2 【 三字 】其の輪を打【 二字 】とする。 |
再読文字の現代語訳を問う。問いを単純にするため,そのまま訳せば良い部分は,板書する。
句法なので,覚えているかどうかだけが問題。できた生徒をほめる。
発問9 9。「御」とは,誰ですか。漢字二字で答えます。(御者。) |
注釈の3番,「御-御者。馬を扱って馬車を走らせる人。」を参照すればよい。
正解した生徒に,「どこで分かりますか?」と聞く。「下の注です。」と,最近では当たり前になってくる。
発問10 ということは,マル10。「其の輪(を博たんとす)」とは,何の輪ですか。漢字二字!(馬車) |
出てくる順番が逆だが,「其の御」が分かってから,初めて「其の輪」が分かる書き方になっている。
「車輪」という答えが生徒から出されたが,「車輪の輪」という言い方はできない。
発問11 11。「其の御に問」うたのは誰ですか。(荘公) |
マル2を参考にすればよい。この場には,御者以外は「荘公」しかいない。
発問12 12。「此れ何の虫ぞや。」を訳します。「や」だけ訳しなさい。 板書3 「これは何の虫【一字】。」 |
「や」の訳に限定する。「古典の『や』は,『か』と訳すことがあります。」と,「疑問」の句法を説明する。
発問14 14。「所謂」の読みを,現代仮名遣いのひらがなで答えなさい。(いわゆる) |
「現代仮名遣い」なので,「『は』と書いた人は×です。」と告げる。
発問15 15。虫とは何だったのですか。虫の名前を答えます。(かまきり) |
発問16 16。「却」の意味を表す,二字の熟語を作りなさい。(退却) |
発問17 17。螳螂の動ける方向を,矢印で示しなさい。 板書4 ○ ・ 〈敵〉 〈螳螂〉 |
本文の主旨に合わせ,「螳螂」を小さく描く。「進むを知りて却くを知らず」なので,「←」を書ければよい。
発問18 18。御者は,螳螂の性質を,どのように考えましたか。漢字二字を,白文で抜き出します。(軽敵) |
「白文で答えよ。」という形式の問題にも慣れておく。また,「白文で二字」と指定しないと,ここは答えが一つにならない。「性質」を問う問題であったので,あまり簡単ではない。できた生徒を指名。
発問19 19。荘公のセリフ,「此れ(人たらば)」は,何を指していますか。漢字でもひらがなでも構いません。(螳螂/かまきり) |
発問20 20。「車を廻らして之を避く」。螳螂を避けたのは,螳螂をどのように評価したからですか。漢字四字の白文で抜き出しなさい。(天下勇武) |
説明 荘公は螳螂を,「勇武」,つまり,「勇猛な武将」にたとえたのですね。 発問21 どのようなところが「勇武」なのですか。(敵に向かって進んでいくところ。) |
発問22 「螳螂の斧」とは,現在,良い意味で使われていると思いますか。 |
挙手をさせる。話の流れから,「良い」の方が多くなる。
「先生は教えないから,辞書で調べても良いですよ。」と告げて授業を終える。
使用教科書 『新精選国語総合』(明治書院)
参考文献 *1 『大辞林第三版』(2006)三省堂 松村明(編)
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