前回のボトックスによるシワ治療の説明に続き、質問が多い、ヒアルロン酸によるたるみ治療について詳しく説明してみたいと思います。
たるみの治療を選択する際には、まず、何がたるみの原因なのかを知る必要があります。
顔の構造は、おおまかに言って4層になっており、骨、筋肉、脂肪、皮膚の順に重なっており、たるみはそのそれぞれの老化に起因します。
骨
骨は年齢とともに痩せていきます。
特に痩せやすい部分はこめかみ、頬骨、顎と言われていますが、土台となる骨が痩せることで、その上の筋肉・脂肪・皮膚を支えきれなくなり、それらが垂れ下がってきます。
筋肉・筋膜
筋肉も年齢と共に拘縮したり、また一部は肥大したりしてきます。
それによりたるみや、顔の輪郭のアンバランスさが形成されてきます。
また、筋肉表面にある筋膜も弛緩することで、たるみの原因となります。
脂肪
脂肪細胞を支える線維の壁が老化で伸びてきたり、脂肪が増えたり減ったりすることで、たるみの原因となります。
皮膚
皮膚そのものの弛緩、ハリのなさなどが生じます。
靭帯
上記の4層はただ重なっているだけではなく、何か所かにある靭帯という硬い組織でつながっています。
たるみが強まると靭帯のところだけが強く張り付いているため、ほうれい線・マリオネットライン・ゴルゴラインなどの溝として現れてきます。
また、靭帯も組織の下垂が強まると少しずつ伸びてきますので、更に全体がたるみやすくなってきます。
たるみ治療は、上記のどこをターゲットにして治療をしていくかにより、様々な方法がありますし、場合によっては組合せも必要になってきます。
ヒアルロン酸によるたるみ治療のターゲットはいくつかありますが、
まず、硬めのヒアルロン酸を痩せた部分の骨に注入することで、土台を強化しリフトアップするという方法があります。
また、靭帯を支えるように注入することで、靭帯が弛緩するのを防ぐこともできます。
現在あるたるみの治療という意味合いだけではなく、たるみがどんどん進行していくのを予防する効果もあるのです。
また、既に溝になってしまったところ(ほうれい線やマリオネットラインなど)に柔らかめのヒアルロン酸を入れて、それを埋めることもできますし、
頬の下などがこけてしまっている方の場合はその部分の脂肪を補うように注入することで、そこでの支えを強くすることもできます。
以前のヒアルロン酸の治療は、気になる溝に直接注入するというのがメジャーな方法でしたが、その方法ですと溝は埋まりますが、全体の老化を改善することはできず、また、表情を動かしたときなどに不自然になることもあります。
現在の方法では、沢山の量を一箇所に入れるわけではなく、細かく何箇所かに分けて注入しますので、注射をする回数は多くなりますが、仕上がりは自然になります。
溝を完全になくすのではなく、全体をリフトアップし若々しい印象を作るのが目的となります。
副作用としては、まず針を刺すので内出血の可能性があります。
内出血が起きてしまうと引くまでに2週間程度かかることもありますので、大事なご予定の2週間以内の注入は避けるようにしてください。
当院では局所麻酔の入ったヒアルロン酸を使用していますので、局所麻酔アレルギーがある方は注入できません。
ヒアルロン酸はアレルギーの出現頻度が非常に低いものではありますが、ゼロではありません。アレルギーが起きると赤み・腫れ・皮膚の硬結などが起きる可能性があります。
また、ヒアルロン酸が血管内に入ってしまうと、塞栓を起こし、皮膚の変色・壊死などを起こすこともあります。
注入後麻酔が切れると、軽い疼痛や違和感が起こることがあります。その症状は通常1週間以内程度で治まります。
皮下脂肪の厚い方は効果が出づらいことがあります。
また、よく聞かれる質問としては、ヒアルロン酸注入によって、顔がパンパンになりませんか、というものがあります。
注入する場所が悪かったり、量があまりにも多い場合は、その可能性もあるかもしれません。
私が施術する場合、ヒアルロン酸の注入量としては、下垂の程度にもよりますが、だいたい2ml~多くても5mlくらいを使用することが多いです。
その量を小さじ半分~1杯くらいと考えていただければ分かりやすいかと思うのですが、その程度の量のヒアルロン酸を注入しても、パンパンになることはまずないというのは、想像していただけるかと思います。
アラガン社のホームページでもわかりやすい説明が載っていますので、ご参照いただけると良いかと思います。