【DB-RCT】心臓手術中のoXirisによる血液浄化で術後AKIの発生が減少した(SIRAKIO2)(JAMA 2024; online-first)
心臓術後のAKIを血液浄化により予防することができるか?
スペインの2施設で実施された二重盲検RCT
対象となったのは予定の心臓手術のうちAKIの高リスクと思われる症例
高リスクの定義はCPB時間が90分を超えることが見込まれる手術であり、多くはcombined、double-vulveなどの手術だった。
これらの343人が血液浄化群(N=169)と対照群(N=174)にランダム割付された。
血液浄化群ではOPBの間、回路にoXirisを組み込んで血液浄化を実施した。
必要に応じて除水をおこなうことは許可された。(通常治療群での除水はPS膜を用いて実施された)
患者とアウトカムを評価する集中治療医をブラインドする形の二重盲検(手術室にいた人はブラインドされない)
患者の年齢は平均69歳、女性は119人だった。
プライマリアウトカムは7日以内のAKIの発生(KDIGO stage1以上で定義)であり、血液浄化群と対照群において28.4% vs. 39.7%で発生した(P=0.03)。
調整したリスク差は10.4% (2.3% to 18.5%)。
ピークのクレアチニン値や6時間以上の乏尿のいずれも血液浄化群で有意ではないが改善する傾向はあった。
事前設定したセカンダリアウトカムやpost hocのアウトカムには差を認めなかった。
例えば90日死亡は5% vs. 4%、7日時点でのクレアチニンは0.85 vs. 0.86など。
また、AKI stage IIIは 3% vs. 0.6%、KRTは1.8% vs. 3.5%など。
サブグループ解析をみるとCKD、糖尿病、高血圧、low EF(<40%)、low BMIで血液浄化の有効性が高かった。
明らかな有害事象の差は認めなかった。
結論。心臓手術のCPB中のoXirisを用いた血液浄化は術後7日以内に発生するAKIの改善と関連していた。
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興味深い。
が、AKIの発生の差の多くはstage 1, 2のAKIの発生の差からもたらされたもののようだ。多くは一過性に改善していたようであるし、KRTの実施率やICU滞在期間、入院期間などの臨床経過にも影響を与えていないことから、観察されたAKIの差がどこまで臨床的に意味のある差なのかは判断できない。
予防できたAKIの多くはfunctionalなAKIであって長期的に影響を及ぼすようなpathologicalなAKIではなかったのかもしれない。
AKI予防によりどのような臨床的有効性が得られるか、コストに見合うのか、といったより大規模な検討がルーチン使用の導入までに必要。
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