浅丘ルリ子
一人で過ごす時間が増えると、孤独を感じ、自分の考えや気持ちを頭の中にためてしまいやすくなります。そうした気持ちの揺らぎは不安なものですが、あえて言語化し声にする事でそれを認め、不安や孤独と言った心理的なストレスをケアすることが出来るとされて居ます。声に出すだけでなく『自分の声を聴く』と言う部分でも安心感を得られるので、独り言が多い人は自ら心のバランスを取ろうとして居ると言えるでしょう
また、独り言には「思考を整理する」と言う側面もあります。
人によっては、自分の考えや気持ちを言語化する事で、自ら確信や納得を得ようと言うケースも見られます。例えば、エンジニアなど一人で黙々と作業をするタイプの仕事をして居る人は独り言が多くなる傾向にあるのですが、これも自分の考えを一度口に出して整理し、納得するプロセスを踏んでいる可能性があります。独り言を言う事で自分自身と対話し答えを見つけ様としたり、思考を明確化してそれを強化して行く。無意識のうちに、そんな“自己強化”をして仕舞うのですよ。
私などは毎日独り言を言って居ますよ。病気だからでは無くて。やはり口に出して言うことで気が紛れるし考えもまとまるからです。最近になって訪問看護師の女の子たちも分かって来て。私が今日これからどう過ごそうかと考えて居ると話すと、聞いてくれる様になりましたが、以前は全く聞く耳を持ってくれませんでしたね、多分。統合失調症の患者が話して居る妄想の会話だと思って居たのでしょうね。冒頭書いた、2人の一人幽霊さんは、2人とも本見ながら誰も居ないのに説明をして居るのですよね。「なあ、これはさあ、こう書いてあるだろう。だから俺はこう言ったんだぜ」とか「君に何遍も昨日話した事は。この本を読んで知った事だから。君はこの本を買いたくはないかい。よかったら。買おうよ」きっとあの2人の頭の中にはもう1人の人間の声が聞こえて居るのでしょうそれで会話して居るのですよ。
電車に乗ると、時折ひとりで話している人を見かけます。「ブツブツと何かつぶやいて居て、驚いた」と言う経験談は少なくありません。実は障害が原因で、やむにやまれず口にして居る場合があるんです。ただ、声のかけ方によっては、衝突してしまう可能性も……。怖くて距離を取った事もある人も居るでしょうね。
私も電車で移動中、誰も居ない場所で話す人に出会ったことがありました。僅かな、距離を取ってしまった事も、少なくありません。電車内では、色々な特性を持った人たちと出会います。
まずは最初のケースです。分かりやすくする為、架空の物語から始めます。
ケース1・誰もいない方向に謝る彼女
ある朝の、何時もの様に電車に揺られて居るあなた。ターミナル駅で沢山人が降り、目の前の席が空きました。
「どれ、座って一息つこうか……」。腰をかけ、スマートフォンでお気に入りの漫画を読み始めようとした時の事です。
状況が飲み込めないあなた。その場をやり過ごそうと、再びスマホ画面に目を落とし、時が過ぎるのを待つ事にしたのでした……。
無いはずのものを見聞きして居た
これ、もしかしたら「似たような体験をした」と言う人も居るのではないでしょうか?
乗客の女性は、どうして謝って居たのでしょう。実は、「統合失調症」の当事者であると考えられます。
薬を規則的に飲む事で、数か月で症状が落ち着く事が多いですね。私もこないだ幻聴が聞こえましたが、投薬によって、今は聞こえて来ては居ません。そして、元気がなくなったり、考えるのがゆっくりになったりする「陰性症状」と呼ばれる症状が出て来ます。
周りの人にまで気が回らなくなって、独り言が出て来る事もあるかも知れません。
陰性症状の結果として情報を整理するのが難しくなり、会話が難しくなる時もありますが、カウンセリングなどを通して生活リズムを整える事で問題なく日常生活を過ごせる様になります。原因はよく分かって居ませんが、脳内の神経伝達物質のバランスが崩れる事が原因ではないか、とも言われて居ます。
思春期の対人関係の変化や、進学や引っ越しなどの生活環境の変化をきっかけにして起きる事が一般的です。
統合失調症日記
以下のアドレスにて、8話までの試し読みが出来ます。
「男性と女性、子どもが後ろから話し掛けて来るんです。それぞれに役割があり、女性は料理を食べて居ると『まずそう』と罵倒して来たり、男性は両親との関係に口を出して来たり。子どもについては、ずっと私を小馬鹿にする、と言った調子ですね」
暫くすると、「ストーブに焼き殺される」と言った被害妄想が顕著に。家族に手を挙げて仕舞う事もあり、21歳の時、精神科で正式に診断を受けたそうです。
注意を受ける→幻覚が加速
木村さんは、幻聴によるストレスが極まると、大声を出して心を落ち着けて居ます。苦労するのは、人目が多い場所に出かける時です。特に電車の中で、子どもや学生の集団と鉢合わせると、監視されて居る様な感覚に襲われると言います。 「お前を見て笑って居るぞ」――。そんな幻聴まで聞こえ、人が居ない方向に「うるさい」と叫んで仕舞った事もあったそうです。
当事者が独り言を発している際に、乗り合わせた人はどう対すればいいのでしょう?
「独り言を注意されると、その人の居る方面からも、幻聴が現れる事があります。脳が相手を『攻撃対象』と見なす為か、余計に辛くなって仕舞うんです」
「だから怒らず、まず『もしかしたら統合失調症かな?』と思って欲しい。苦しそうに見えたら、車掌さんや駅員さんに、それとなく助けを求めて貰えるとうれしいですね」
彼女はそう言っています......。
ケース2・「甲子園の実況」を繰り返す彼
では、二つ目のケースに移りましょう。こちらも、フィクションから考えてみます。
仕事を終え、帰路についたあなた。電車に乗り、「夕飯は何を食べようか」と思いを巡らせて居ます。
「はいっ、やってまいりました夏の甲子園!」。途中で乗り込んできた男の子が、勢い良く話し始めます。どうやら、高校野球の試合中継を再現して居る様です。
その「実況」ぶりは、まさに立て板に水。しかし、よく聞くと、同じフレーズを繰り返して居ます。
突然の事に、びっくりするあなた。驚きのあまり、夜の献立の事を忘れて仕舞ったのでした……。
「いつものパターン」に見いだす安心
「彼が自分だけで話すのは、呼吸の様なものなんです」。ASDの息子がいるイラストレーター・中尾佑次さん(59)は語ります。
知的障害もある一人っ子の秀真(ほつま)さん(27)は、当事者が対象のグループホームで共同生活をして居ます。実家で暮らして居た幼少期から、独り言が多かったそうです。
繰り返すフレーズは様々です。お気に入りのテレビ番組やCM、ネット動画のセリフ。音楽番組などで聞いたメロディー……。障害の特性上、予想通りに事が運ばなかったり、生活リズムが崩れたりすると、回数が増えました。
ストレスが高まると、過去の嫌な記憶が、脳内で再生されたと思われる言葉を口にする場合も。気持ちが不安定な思春期までは、そのケースが多かったと言います。「電車などのシートが満席だった場合は、特に盛んでしたね。本人は『座れるもの』と考えて居るけれど、実際は違う事もある。そうしたイレギュラーな出来事が苦手なため、理解が追いつかなかったんです」
「無視」と「具体的な声かけ」のバランス
しかし年齢を重ね、秀真さんは公共の場で、かなり自分の衝動を抑えられ様になりました。中尾さんは、プライドを保つためルールを守って居る、と考えて居るそうです。
こうした経験から、電車で独り言を話す人と出会った時は、「見て見ぬ振り」をして欲しいと訴えます。
「よく乗るタクシーの運転手さんたちが、息子の独り言が激しい時も、黙って送迎して来れるんですよ。これが、凄くうれしい。電車の中でも同じように、『積極的な無視』をお願い出来たら助かりますね」
「ただ、電車が長時間動かない場面などでは、落ち着きを失う事があります。そうした際は、『あと●時間で動く』と紙に書き、具体的に示して貰えたら。障害を理解した上での対応は、本人や家族にとって、とてもありがたいです」
独り言の否定=その人自身の否定
障害の有無にかかわらず、誰しもに「自分自身」がある。確認したのは、そんな当然の事実でした。
荒唐無稽な事を話して居る様でも、当事者は必要に迫られて居ます。独り言の否定は、その人の否定でもあるのです。中尾さんは「今は昔と比べ、障害の当事者が外に出やすくなった。『世の中にはこんな人も居る』と感じて貰えるといい」と書いて居ました。強く印象に残って居る言葉です。
生き方は、人の数と同じだけ存在する。私自身、自分の事も含めて今はそう考えて居ます。
障害者の女の子と男の学生との葛藤のアニメ「聲の形」 (
「聲の形」ダイジェスト
※必ずしも、障害が独り言の原因になる訳ではありません。その人自身の特性や、性格が影響して居る場合もあります。
一般に、なじみが薄くなりがちな障害者の存在。でも、ふとしたきっかけで、誰もが当事者になるかも知れません。差別をしたり、バカにするのでは無くなるべく理解をして下さい。と言っても。私の長い入院歴の経験からでも、精神疾患者は厄介な事があります。私が自分が精神疾患者でもそう思いますから。健常人から見たら。単なる気狂いでしょうね。ただ今書いて来た事を周りが実践してくれたならば、精神疾患者の気持ちは楽になります。周りの理解も必要なのですよね。統合失調症=気狂いとは取らないで下さいね。そして、精神障害者のことを理解して貰えると嬉しいです。最後に私が精神病院で知り合った患者を例に取って話します。その患者は私と同じ統合失調症でした。何時も実家から送って貰ったお茶を実家から持って来た急須に入れて飲んで居るのです。それだけならいいのですが。周りの人にも勧めます。勧めると言うか。病院で出されたお茶が入って居る他人のお湯呑みを洗面台に持って行き中のお茶を捨てて流して。自分のお茶を入れて遣すのです。明らかにやりすぎです。彼は郵便局の職員で外国人向けの窓口で外人相手に対応して居ました。激務だった為に精神状態がおかしくなり統合失調症を発病しました。発病のきっかけは上司のパワハラ。暴言です。