北関東の宮彫・寺社彫刻(東照宮から派生した宮彫師集団の活躍)

『日光東照宮のスピリッツ』を受けついだ宮彫師たち

・柴又帝釈天 帝釈堂胴羽目【第6面】-彫刻師 加府藤正一

2024年03月24日 | 総論 
第六面の胴羽目 「法華経説話:千歳給侍」 加府藤正一作 (縦 127㎝、ケヤキの一枚板)
 帝釈堂後面4枚の胴羽目は、中央の2枚が、少し幅が短めになる。

題材は、『法華経』巻第五 提婆達多品第十二「千歳給侍」
 釈迦の前身(国王)が法華経の教えを受けるため、阿私仙(提婆達多の前身)に千年間給侍した説話。


 右上 岩窟内で端坐する仙人(阿私仙)


 右下 谷川の水を汲む者(国王)

 
 左下 薪を集める者(国王)



 左上 山中で木の実を採る者(国王)



・模型彫刻(大客殿廊下)  作者 木島正夫
 この模型は、加府藤正一没後、完成品の後に作られたと考えられる。木島正夫は第10面の模型彫刻(完成品は加藤寅之助)も製作しており、手水屋の建造に参加している。



・手水屋  銀次朗の刻銘の彫物はなし

・加府藤正一
 本名を波三郎といい、加藤勘蔵(二天門)の弟子とされる。正一が胴羽目をほぼ仕上げた頃に、肺の病で亡くなり、仕上げを今関光治、石川信光とその弟子の大塚光造らが行った。加府藤正一であるが、加藤寅之助の類者か?寅之助の子は正春という。

・参考資料
『帝釈天題経寺建造物調査報告書』(葛飾区教育委員会発行、令和四年)
『帝釈堂 法華経説話彫刻』 (帝釈天題経寺発行)

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