喜多村ドクターのがん治療ブログ「イキイキ元気!」

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アルファ・リポ酸と低血糖

2010年04月17日 | 栄養療法
アルファ・リポ酸のサプリメント摂取が原因で低血糖発作を起こす『インスリン自己免疫症候群』の報告が増えています。

テレビ番組やヤフーでも取り上げられていましたので、ご存じの方も多いと思います。

アルファ・リポ酸を飲んでいる全ての人が低血糖になるわけではありませんが、ふらふらする、体がだるい、手がふるえるなどの低血糖症状がみられる方はご相談ください。

参考: 日経メディカル3月号P26~27


以下、まとめてみました。

【インスリン自己免疫症候群】
 重症の低血糖発作(インスリン注射なしで)
 インスリン(IRI)高値
 インスリン自己抗体高値
 ヒト白血球抗原DR4(DRB1*0406)を有している人(日本人の6~8%)に多く発症
 SH基をもつ薬剤の服用例に多く発症
 多くは予後良好

【低血糖をおこす機序】
1. SH基をもつ薬剤がインスリンのS-S結合を切断する
2. 単離したα鎖の一部が抗原となる
3. ヒト白血球抗原DR4(DRB1*0406)分子がこれを認識して結合する
4. T細胞を活性化して自己抗体を産生する
5. インスリンと自己抗体が結合して作用を中和する
6. 膵臓からインスリンが多量に分泌される
7. また、結合が弱いためにインスリンと自己抗体が解離する
8. インスリンの血中濃度がさらに上がる
9. 低血糖に至る

【治療】
 SH基をもつ薬剤の投与中止
 ブドウ糖静注などの低血糖に対する一般的治療
 食事を1日6回食とする(インスリン分泌を刺激しない)

【SH基を持つ薬剤】
 アルファ・リポ酸(体内で還元されて2つのSH基を持つジヒドロリポ酸に変化)
 解毒剤:グルタチオン(タチオン)、チオプロミン(チオラ)
 甲状腺治療剤:チアマゾール(メルカゾール)
・ その他




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