まず介護保険についてザッとおさらい。
前提として<自立生活の促進>があり、その上で、
1) 財政については公的資金(税金)と保険料収入の比率を半々とする
2) 保険料は40歳以上のすべての国民が拠出する
(私は国保の保険料と一緒に引き落としされますが、年金を受給している人はそこから天引きされるらしいですね)
3) サービスの受給発生は原則65歳以上
4) サービス受給のためには要支援・要介護認定を受ける(役所)
5) サービス内容は利用者が選択するが、実際の利用はケアマネージャー(民間)を通して事業者を決定する
……と決められています。
介護度によって使えるサービスの内容に違いがありますが、長くなりますのでここでは割愛。
入院したことのある人なら、上半身を起こすことの出来るベッドに
「これは便利だ、家にも欲しいな~」
と感激したことはないでしょうか。
あれは介護ベッドと呼ばれるもので買うと一台255,000円もするようですが、介護保険を使うとレンタル料の一割負担で借りることが出来ます。
ところでこのレンタル料に、事業者によってかなりのばらつきがあるそうです。
月額4,500円~58,500(5,800の間違いではありません)円、平均10,279円。
もとが同じ金額なのにレンタル料にこれほどの差がつくというのもおかしな話ですが、百歩譲って、自由競争社会だからレンタル料をいくらにするかは事業者の勝手ということにしましょう。
ではなぜこういう事業者が淘汰されないかというと、利用者がサービスを決める時に担当のケアマネージャーが実質的な決定権を持つことが多いのですが、ケアマネージャー派遣業者とレンタル業者が同じ場合もあるという驚くべき実態があり、これを指導の根拠がないからと野放しなのだそうです。
ホリエモンも真っ青の<やりたい放題>ではないでしょうか。
例えば分譲価格255,000円のマンションがあるとして、それを月額58,000円で借り上げ、それを1割負担の5,800円で社宅として貸している会社があれば、監査が黙っていないでしょう。
会社の金をなんだと思ってるんだ、と厳しく叱られると思います。それを決めた人物がそのマンションのオーナーの身内だったら、処分を受けるんじゃないでしょうか。
同じことが、なぜ役所では野放しのまま許されるのでしょうか。監査機能は働かないのでしょうか。人が納めた税金を使うのですから、1円でも無駄にしないようにするのがスジってもんじゃないでしょうか。
介護ベッドは、一旦借りると亡くなるまで何年も借りるのが普通でしょうから、貸す方からしたらボロい商売ではないでしょうか。255,000円のベッドを月58,000円で貸し出せば、わずか4ヶ月ちょっとで減価償却です。
介護保険だから取りっぱぐれはない。これは儲かると悪質な業者に食い物にされている様子が目に見えるのは私だけでしょうか。
利用者自身は、支払うのはレンタル料の一割なのであまり気にならないらしいのですが、9割を負担する方が気にしないのはどう考えてもおかしい。
福祉関係の業者はすべて善意の人と、手放しの性善説に立たれても困ります。
これで介護保険が破綻するから自己負担率を増やすなんて、まるで子供のお使いです。
いったん納めてしまった保険料の使い道についてシビアじゃないのは、日本人の良く言えば「鷹揚」、悪く言えば「あなた任せの無知、甘ちゃん」なところで、税金の無駄遣いに無関心だから役人の天下り天国を許しているのと構図は同じだと思います。
厚生労働省によると、福祉用具貸与(車椅子と介護ベッドで8割)の給付費は、介護保険がスタートした00年4月は1ヶ月で4億円、昨年4月には148億円。実に37倍にも増えたそうです。
これでは予算がパンクするのも無理もないように思えますが、やりようによってはうんと減らせるはず。
自己負担をと言う前に、介護保険の不明朗な無駄遣いを徹底的に洗い出して、国民の納得のいく使い方をしてもらえないでしょうか。