風に吹かれてよろず屋ジョニー

猫とつくれ没とささやかな園芸etc.

<出口のないトンネル星の赤子>

2015-04-15 01:33:37 | ss
細い細い糸を手繰り寄せていた。
いつしかその糸は自分の方へ留まらなくなっていつしか辿りはじめた。

その先へ行きたかった。光に包まれた温かい場所から離れて、とても空しくて切なくとも。






いや僕は疲れていた?理想だった、完璧な自分は疲れたのか?

僕は光を辿っていたつもりだった。周りは光に溢れていた。安心安全な世界。その幻想的な霧の中に鋭く透明で冷たい筋があった。

その先に明けない夜と出口のない洞窟はあった。明けない夜は無い、とは言うけれど、それは今の僕にはなしのつぶてだ。

本当に求めていたのは出口のないトンネルだったかもしれない。泣いたり喚いたり汚い言葉を吐けるところ。出口のあるトンネルでも自分で進まなければ光は見えない。暗い道を行く。嫌いだ嫌だ屑だああなんて美しいいんだろう。土花<ごみ>から全て生まれる。透明な道は土の固まりでとても汚い。それを自分の手で掘り進む。爪にたまる黒い濁り。お母さんに怒られるなあ。でも今はそんな心配はないから。爪と指の間に痛みが走る。小さな小さな煙色の透明の石。他人にとってどんなにつまらなくとも大切な石。
透明の石は煌めく雲母の反射を集め集光し紡いでいく。放射線を浴び色とりどりに輝くという。これはやっと始まりの石なんだ。

大切な石はみんなに知られちゃいけない。僕は爪の間の小石をほじり捨てもと来た道を戻った。大きく育て僕が死んでなお。生まれ変わって逢うなら君は他人の手に輝き僕は圧した雲母でほくそ笑みたいな。



コメント
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