校長室だより ~ 武蔵野の森で紡ぐ友情『明星学苑・スクールライフ』

民間企業勤務から中学、高校、大学など、教育現場へ転じた『キャリアコンサルタント』の日常をお伝えします。

変わる大学入試~問われる思考力、対策は?

2017年05月18日 05時24分04秒 | 日記
一昨日、現中3生が大学入試に臨むときに、現在のセンター試験が大きく変わるということが報道されていました。とくに注目を集めていたのは、二つの要素でしたでしょうか。一つは思考力を問う問題が増えるということで、記述式の問題が出題されるということ。以前から採点側の負担が指摘されていましたが、民間事業者に委託する方向で解決を図られるようです。そして英語についても、民間の検定を活用する案が有力で、英検やTOEICなどが話題に上っていました。こうした動きに対して、すでに小中学生向けの塾が対策を立て始めているということで、その動きの速さも格好の話題となっています。では現在の高校生にとって、こうした入試改革は次世代の話で、関係ない問題なのでしょうか。
短期的にはないように思えますが、中長期的に見ればないわけではありません。というのも、社会人になってから、思考力が鍛えられてきた後輩たちが同僚になると思えば、少なからぬ影響は出てくるわけです。さらにそれだけでなく、そうした動きを先取りして、今の入試も思考力を問う問題が重要視される傾向も見逃せません。入学式でも話しましたが「どうしたら、日本は太平洋戦争を避けられたか、あなたの考えを述べなさい」という問題が昨年、出題されて話題になりました。そこで、思考力をつける方法論なども取りざたされていますが、では思考力を鍛えるためには何をすればいいのでしょうか。
私は、遠回りのように見えて「本を読む」ことが一番の早道だと考えています。とりわけ『優れた思考力を備えた人の、考えるプロセスをたどる』ことが、最も効果的なのではないでしょうか。なぜなら思考は技術ではないからです。例えば他の分野でも、プロフェッショナルの技を身につけるために、手軽な方法論などはありません。もしあるのだったら、多くの人が容易に同じ境地へ達しているわけですから。したがって、そのプロが身につけたやり方を丁寧になぞっていくことが、より近づくためのアプローチだと思うのです。考えるプロが、一つの結論を導き出すために、どのような思考をたどっていくのか。ぜひとも『本を通して体感していくことが、自らの思考を鍛えてくれるのだ』という確信を持って、1冊でも多くの本を手にしてください。ちょうどこの報道があった一昨日、私が薦めた本を読んだ2人の生徒と会話をしました。それは『ソロモンの指輪』『ガウディの伝言』。いずれも高校生にとっては簡単な本ではありません。しかしながら、2冊の名著の内容をしっかりと汲み取っている感想に、頼もしさを覚えました。
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