立花山麓会関西支部恒例の花見会を、4月11日に開催しました。今回は博多から馬渡さんが初参加してくれましたので、一層盛り上がりました。前日の雨もあがり、花見日和です。9時には京都入りして、雑用を済ませた木下弓子さん、いつも30分前には来ている堅実派の田中功也さん、早く着いて既に京の街を散策してきた松本広治さんが改札口で、藤本茂さんと私はホームで筒井敬子先生と馬渡和夫さんのお二人をお迎えしました。今回はこの7名です。
前回評判が良かったメルパルク円山の個室で、会席ランチを頂きました。堅実派の田中さんが、気を利かせてぐるなびのクーポン券を持ってきてくれたお陰で、無料でビールや珈琲紅茶にありつけました。
昼食後、ジャンボタクシーに乗り込み、いざ出発です。街路のソメイヨシノはどうにか満開を保っています。三月のポカポカ陽気で予想より早く開花した花は、その後の寒波襲来でビックリして枝にしがみついたのでしょうか、この時期に満開のソメイヨシノは異例です。
お馴染みのジャンボタクシーの運転手藤田さんの勧めで、京都の西に位置する妙心寺の塔頭の「退蔵院」に行くことにしました。初めて聞く名前でしたので、「タイゾウインってどう書くの?」と訊ねましたら、「後退の退ですわ」寺院には珍しい名前だと気になりました。入場券と引き換えにもらったパンフレットを見ますと、「退は後退でなく陰徳の意で、かくれて良い行いを、蔵のようにたくさん積み重ねなさいいう退蔵院」と書かかれていました。禅の教えのようです。「退」の一字にそんな意味があったとは??そういえば新しい元号「令和」の発表があった時、令は命令を想起させるなんて言った政治家がいましたね。「令夫人」「御令息」の令は尊敬語ですものね。一字にも色んな意味があるものだと改めて知らされました。
(妙心寺・山門)
(退蔵院・山門)
退蔵院の目玉で国宝の「瓢鮎図(ひょうねんず)」は、将軍足利義時が、「つるつるの瓢箪で、つるつるの鮎をどう捕えるかという禅問答に答えた禅僧31人の漢詩に、水墨画の祖と言われる如拙が絵を添え、国宝となっています。弓子さんと「鮎はアユでナマズとは読まんよね」と話していましたら、「中国では鮎はナマズたい」と筒井先生。お聞きしたら、先生、平成元年に中国語を習い始めたから、既に30年になるというので驚きました。
(瓢鮎図)
藤田さんが「宮本武蔵さんもこの瓢鮎図を前に、自問自答してはったそうですわ」。後で調べたら、武蔵自作の刀のつばに瓢鮎をデザインしたものが現存するそうです。ここには枯山水庭園「元信の庭」もあります。室町期の画聖狩野元信が、70歳近くになって築庭し、不変の美を求めたこの枯山水は、昭和6年に国の名勝史跡庭園に指定されています。風格ある佇まいで落ち着きます。
(元信の庭)
外に出て次に向かった広大な庭園は、造園師の中根金作の設計で、昭和38年から3年の月日をかけて造られた余香苑です。入り口の門前に人だかりしているので覗き込むとビックリ!! 淡く鮮やかなピンクのスカートをパッと広げた様な巨木の紅枝垂れ桜が目に飛び込みました。見事なはずです。有名な平安神宮の紅枝垂れの孫桜だそうです。人だかりは、最高の撮影スポットだったのです。更に奥に進むと、広い池を中心に、まるで一枚の風景画を見るように造られた名庭があります。ベンチに座ると全景が見渡せます。台湾から来たというカップルも、長いこと見入っていました。桜の時期だけではなく、藤、サツキ、蓮、金木犀、楓等が、計算され尽くした様に植わっていましたから、一年中楽しめる名園なのでしょう。
(余香苑入口の紅枝垂れ桜)
(この桜は、2013年のJR東海の「そうだ京都行こう!」で、紹介された桜です。)
(余香苑:陽の庭と紅枝垂れ桜)
退蔵院を後に、次に向かったのは「法金剛院」です。形の良いかわいい小山が並ぶ双ケ丘近くにあります。ここは平安時代の初め右大臣だった清原夏野の山荘だったところです。平安時代に作られた大きな阿弥陀仏如来座像や、鎌倉時代に作られた十一面観音像があり、ガラス越しに大きな地蔵菩薩様の荘厳なお姿にも触れました。庭に出ると、まだ満開のソメイヨシノや紅枝垂れ桜が咲き乱れていましたが、7月~8月には90種もの蓮が所狭しと咲くそうです。朝一番が見頃で、大勢詰めかける観光客の為に7時に門が開くそうです。極楽浄土を見てみたいのは、昔も今も変わらないのでしょうね。
(関西花の寺第13番 法金剛院)
(ソメイヨシノと紅枝垂れ桜)
(紅枝垂れ桜)
次に行ったのは、旧嵯峨御所の大覚寺で、本殿には寄らずに、大沢の池の周囲のソメイヨシノを眺めながら、昭和42年に嵯峨天皇心経写経1150年を記念して建立された「心経宝塔(しんぎょうほうとう)」と桜を背景に、全員の記念写真を撮りました。
(大沢の池)
(大覚寺の心経宝塔と桜を背景に、全員で記念撮影)
数年前に今宮神社で食べたあぶり餅の話も出て、どこかで一服することにしました。それならと藤田さんは、細い道を見事なハンドルさばきで隠れ家の様な喫茶店(デセール)に案内してくれました。店のすぐ裏の山は、東映時代劇映画で馬で疾走するシーンによく使われた場所だそうです。インスタ映えのするケーキと美味しいコーヒーを味わいました。
(庭園喫茶 デセール)
(インスタ映えするケーキ)
日帰りの馬渡さんの新幹線の時間もあり、いつもより早く青蓮院前の蓮月茶やへ。京豆腐のコース料理を堪能し、花見会を重ねてすっかり気心を知り合った恩師と教え子達は、酒も入り盛り上がりました。女を三つ合わせて「姦しい」と書きますが、永遠の元気印の筒井先生に、弓子さん、わたしの女三人は「あな、姦し!」。ひょっとしたら、「令和」の「令」や「退蔵院」の「退」と同じ様に、この「姦」の一字には、「座を盛り上げる、おもてなしの心の表れ」なんてあったりして!!(笑) 楽しい宴の時間はあっという間に過ぎ、「今回もいい花見が出来たね!!」と、京都駅で解散しました。
(豆富料理 連月茶や)
(いつもの湯豆腐コース)
翌日は筒井先生たっての希望で、造幣局の桜の通り抜けに行きました。私の家に泊まった先生と弓子さん、そこに加古川から駆けつけてくれた井上(石松)正子さんと藤本さんも加わり、5名での花見会です。通り抜けは3度目になります。大川(旧淀川)沿いの560メートルの造幣局の敷地に、134種338本の里桜や八重桜が今が盛りと咲き誇っています。期間中の一週間で、多い年は100万人以上が訪れる人気ナンバーワンのスポットです。毎年選ばれる「今年の花」は「紅手毬」でした。花が紅く手毬型になっていますから、まるで簪(かんざし)です。筒井先生は、「造幣局の通り抜けには、毎年来たいね!」と言われてましたので、来年は通り抜けの時期に合わせて花見会開催日を決めようと思います。
(今年の桜:紅手毬:べにてまり)
(新種の桜:御座の間匂:ござのまにおい)
立花山麓会の皆様、次回は是非ご参加下さい。
山本(村井)智子
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