年をとって・・動くのも苦痛を伴うようになった時
それでも・・そこに
生きる喜びは あるのだと 自分に言い聞かせる時に
思い出すお守りのような記憶がある
とうに亡くなってしまった私の祖母
当時・・祖母は・・80を越えていて・・ほとんど寝たきりで・・
たまたま飲んだ風邪薬のせいか
突然・・昏睡状態に陥った
ずっと・・眠り続け・・このまま・・死んじゃうのかな？と
まだ、大人ではなかった私は思った
でも・・そうなっても・・年も年だし
普段も寝ているだけで・・つらそうだし・・・
当時若かった私は・・80歳という年が 果てしなく遥かかなたの事のように思えて
祖母にとって・・このまま生きているより、眠ったまま亡くなるのも・・いいかなと
人の命のことなのに・・そんなふうに思っていた
それが・・・何日か経って・・祖母は、ひょっこり 目を覚ました
前後の記憶が定かではないが・・・
祖母は 目を覚ましてから 布団の上に座って 心太（ところてん）を食べながら
周りの人たちに 自分が眠り続けて
このまま目を覚まさないのではないかと心配されていたことを聞いて
祖母は 何度も言った
目を覚まして・・よかった
生き返って・・よかった
あのまま死んでたら・・こんな美味しいもの食べられへんかった
心太1つで・・あんな年になっても 人は生きていて良かったとおもえるんだ・・・
その記憶は・・・私の心の支えだ
うつをもつ母が・・・最近 時々とても・・つらそうで
訪れる私も・・いたたまれなくなって
必死で祖母のところてんの記憶にしがみつくのだが
最近の母を見ていて・・・私の心は揺れていた
生き続けるって・・残酷な事なのかもしれない・・・
見ている私がつらくなっていた
でも・・・昨日の夕方 母の施設を訪ねたら
たまたま、施設の盆踊りの日で そんな日に訪れたのも何かの縁だと思って
車椅子を押して母と共に会場に行ってみた
私は、別に盆踊りが好きなわけではない・・大きな音で騒々しかったらいやだなとすら思っていた
浴衣姿の職員さんや、踊り手の方達を囲んで たくさんの車椅子に乗ったお年寄り達
河内音頭が始まった
中央で、浴衣姿の踊り手の方達が踊りだす
申し訳程度に手をたたきながら ふと隣の母を見た
踊っている！
体は車椅子に居るものの・・・両手をあげて・・踊っているのだ
勝手に・・手が動き出したというように
心は・・踊りに集中している
そんな母に気づいて・・踊り手の方が、母に向かって踊りかける
母は笑って踊り返す・・・
まるで ジャズなどの演奏でよくある掛け合いのようだ
踊りで意思の疎通が出来ているのだ・・・
盆踊りって・・・すごい
気がつけば・・何人かのお年よりも踊りの真似事をしている
たのしそうだ・・・・
踊り手の方が・・母の車椅子を押して踊りの輪の中に入れてくださった
気がつけば 母だけでなく浴衣姿の踊り手の方達に交じって
車椅子を押してもらいながら 何人かのお年寄り達が踊っている
母にとっての心太(ところてん)が・・ここにあった！
母は 生きていて幸せな時もあるのだ！
そんな母を見れて・・よかった
そんなお年寄り達を見れて・・・よかった
そして・・・思う
私のつちびと(陶人形)も・・・・
昨日の盆踊りがお年寄りに届いたように
ベタでもいい・・高尚でなくてもいい
素直に人の心に届き・・・心を動かさずにはいれないものに
いつか・・・いつか・・・
なりたい・・・と
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