命のかたち心のかたち つちびと 可南'Sギャラリー

岐路


何度も書いてきた『ムンバイのマリア』のこと

もう一度、じっくり書かせて下さい



このつちびとを作る背景には

重なった3つのことがありました


まず、最初に 9.11のテロに対して、

アフガンへの攻撃という手段しか取れなかった

私も含めた人間という存在に 絶望していた事

幼い頃読んだ手塚治虫の漫画の人類が滅亡に至るストーリーがくっきり浮かび


それが、まるで現実に起こることのような気がして

人間である情けなさと共に

暴力はいけないとか、戦争反対とか言う 他人事のきれい事としてではなく

滅亡に至る人間の中には、私も私の子供たちも含まれるかもしれない事の恐怖すら抱いていました・・・



ちょうど、そんな頃

私は、3匹の仔猫を家の前の溝で 拾ってしまって・・・

すでに 我が家にも何匹かの猫がいて

これ以上飼うことを 当時の配偶者に許してもらえるはずもなく・・・



コミニティ誌に 初めて『里親募集』の掲載を依頼しました。

それが・・・こちらの地域で掲載誌を手に入れる前に

知らない方から 長いファックスが届きました。



里親希望でおでんわをしてくる方には

動物実験や三味線に売る為であったり、虐待目的の為である方がいらっしゃいます。

といった内容でした


そこには、頭文字ではありましたが、『・・・男性○さん・・・に住む○さん』と具体的に書かれていました


ファックスを送ってくださった方は 動物を愛する方で

きっと、貰われていく動物が 不幸にならない為に

最善の注意を払って里親を探してくださいということを 伝えてくださったのだと思います。



ただ・・・それを受けとったその当時の私は

絶望の追い討ちをかけられた


信じられる人間って・・・いるのか?と



ちょうど、そんな頃です

ある雑誌で

ムンバイ(当時はボンベイと言いました)にたくさんの猫達と路上で生活する老女がいることを知りました


若い頃は 美貌の娼婦だった彼女は 娼家でも高待遇を受け、たくさんの猫達と贅沢な暮らしをしていました

それが、年をとり・・・必要とされなくなり・・・娼家を放りだされた



自分ひとりが生きるだけでも 大変なのに・・・

彼女は 猫達を捨てる事はせず 共に路上で暮らすことを選択しました


ごく、まれに お客さまがつき わずかばかりのお金が手に入ったときは

まず一番に市場に行き 猫達のために魚を買うと言うのです



私は・・・この記事で どんなに救われたか・・・


折れそうになっていた私の心は

このインドの老女に包帯を巻いてもらい



人間を信じられなくなっていた私ですが

きっと・・・この日本にもムンバイのマリアはいると信じて


里親探しを 再び始めました


その後も、いろんな経緯はあったけれど・・・猫達は 新しい家族を見つけ

わたしは 里親さんとの遣り取りを通じて

人間も、捨てたものではないと 感じさせてもらいました



人間の偉さは

立派な身分や(攻撃を決断したのは、立派な身分の人でしょう)職業や富などで図れるものではない・・・


そんな思いを込めて・・・ムンバイのマリアが 自然発生的に生まれました

そして・・・気まぐれで応募した家庭画報で賞を頂き


今・・・なんとか作家として生きようとしている可南が います



里親を探した3匹の猫達からのプレゼントでしょうか・・・


ヨタヨタしたおぼつかない足取りではありますが・・・

この道を行きなさいと 

猫達にも、インドの老女にも 教えてもらった気がします






そして・・・いま

また、私は 行く道を教えてもらえる方に 会えた気がする


可南 つちびと展 キセキ 



2010年6月29日(火)~7月4日(日)11:00~19:00
                (日曜日は17:00まで)
ワイアートギャラリー


http://www.yart-gallery.co.jp/schedule.html


Y.Art-Gallery アクセス
〒530-0027 大阪市北区堂山町15-17ACT3-1F
TEL 06-6311-5380

◎JR大阪駅、主要各線「梅田駅」から徒歩10分



つちびと作家「可南」が、これまでに土と手技で生み出した
選りすぐりの作品を、遡って展示します。
ずっと非売品にしていた受賞作や、
9.11など世の中の情勢をモチーフにした作品など、
現在に至るまでの魂を込めた足取りを
オムニバスで公開・販売という初の試みです。
『キセキ』というタイトルは、
軌跡、奇跡、輝石など、様々な意味がこめられています。



作家在廊日 (13:00~)6月29日(火)・7月3日(土)・7月4日(日)


ワイアートギャラリーでの個展の案内状を 御希望の方は 右にあるメッセージボックスやメールなどで 御住所、お名前を明記の上 御連絡いただければ お送りいたします。



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コメント一覧

てぃだ
わいアートさんからの案内ハガキに接し、このお作品を見て鳥肌が立ちました。これが可南さんとの初めての出会いです。私が探し続けていた、たましいのかたちが透けて見えたのです。そして計らずも可南さんのお作品の一つを授かった今、はたして私などに可南さんの思いの深さを引き継げるかどうか、重大な責任を感じています。人と人とのこじれた絆の修復に、僅かばかしのお手伝いをすることを生業として20余年、ここ7年はうつ病で満足に仕事ができず、苦難の日々が続きました。そしてやっとこの春から仕事に復帰し、これが性分なのでしょうか、また身を削っています。でも、前とは違います。いつも「ぎゅうっと」というすばらしくシンプルで深いキーワードを胸に生きて行けるのですから…
よっし~
まずは、腕の痛みのある中の長文打ちお疲れ様でした。

そしてありがとうございました。

私も、時折 世の中の負のエネルギーに影響されすぎて

えらくしんどくなるときもあるのですが

その反面、人も案外捨てたモンじゃないな・・・と
思うこともあったりします。
尚さん
三匹の仔猫を保護したときに、ファックスをくれた方は、ホンマに動物を愛してる方ですね。
仔猫ちゃん達、幸せになれて良かったですね。

『ムンバイのマリア』素敵な方です。娼婦とはいえ、猫を愛する気持ちは私の胸にぐっと刺さりました。彼女に愛された猫達と、その猫達と暮らしたムンバイのマリアはすごく幸せだったに違いない。って、私は思います。
可南さんが命を吹き込んだ『ムンバイのマリア』この目で見てみたいです。
きっと、私は泣いてしまうだろうと思います。
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