ひびのきおく

かえでのつれづれな日常をつれづれに綴るなごみの時間。

オペラ座の怪人は凄いらしい。

2006年03月22日 | 芝居のこと
わたしこのコピー大好きです。
日本公演のかなり初期から使われているものですが、これ以上ないコピーですよね。
つくった人はほんとうに凄いと思います。

というわけで、久しぶりに観てきました『オペラ座の怪人』。
海劇場での再演後間もなく観て以来ですから約1年ぶりですね。

映画版のあの金に糸目をつけないあの豪華な演出も好きですが、
わたしはやはり『オペラ座の怪人』は舞台がいちばんだと固く信じる演劇人です。
だって別に地下の怪人の住処までの道のりどんなものかとか、
シャンデリアはどうやって落ちてきたのか知りたくないですもの!
あんな風にブケーと格闘したり、シャンデリアの紐を切ったりと
なんでもかんでもこなすのを見せ付けられてしまっては、
怪人がただの「小賢しい人」にしか見えないのですもの。
いいんです。
なにか「不思議な力」が働いてるんです!
要は想像力です、想像力。

ただあの豪華なオーケストラの演奏は捨てがたいですけどね・・・

前置きはこのくらいにして早速感想を。
今回は怪人:高井さん、クリスティーヌ:沼尾さん、ラウル:柳瀬さんという組み合わせで、
東京の『オペラ座の怪人』でのキャスティングだけに関していえば結構古株。
それだけあって皆さん大変達者だったと思いました。
怪人は非常にアグレッシブで、歌い手さんにしては珍しく切れちゃうタイプですね。
ただ高井さんは大事に歌うところはいいのですが、
それ以外のところどうもどうもおざなりので
もう少し丁寧に歌っていただけると好みです。
まぁその「ムラッ気」が「怪人らしい」と評価されているところかもしれませんが。
とにかく聴かせどころははずしません。

クリスティーヌは今まで観た中でいちばん初々しい。
まぁ初々しいというよりはきゃぴきゃぴしてるのかな?
好みの分かれるところだと思いますが。
お芝居もきちんとしているしよくつくりこんでいるなぁと思います。

いちばん感心したのは柳瀬ラウル。
実は彼はデヴュー当初の日生公演を観ているんですよね。
あの頃はいい声なんだけど、しゃべるとタイプライターみたいだし
存在感がなくて当時のクリス:鈴木京子さんに完全に掻き消されてましたけど
今やすっかりクリスを守り、導く存在になりましたね。
まぁ恰幅のほうもだいぶ成長してしまったのは残念ですが・・・

小芝居の多いアンドレ:寺田さん、フィルマン:小林さんの支配人コンビもなかなかですし、
ほとんどの人が文句なく感動する出来だったと思います。
ただちょっと気になったのは若干全体に「段取り」っぽい気がします。
そのあたりは今回オケがかなり小気味よく進んでいたせいもありますが、
ちょっとルーティンっぽい感じがするんですよね。
手をぬいているとかそういうことではないと思うんです。
ただ均質しようと努力している感じがにじみ出ている気がします。
所詮舞台なんてナマモノですから二度と同じものは観られないのは当たり前。
それを均質化するのが劇団四季マジックな気もしますが、
でもこの手のベクトルに現れる「均質化」はちょっと性質が違うのではないでしょうか?

というわけでちょっと難癖をつけてしまいましたが、
見世物としては十分価値のあるものだとは思いました。