詩集「ヒーローなんていなくてもいい」 澤 一織 著を拝読して
詩集に掲載されている作品は30作品。いつ書かれたのか分からないが、発表する時を見定
めていたのだろう。このヒーローには私は深い意味を持たせているように思う。作品を拝読し
ていくと、誰でも経験した事などとは安易に言えない。深く心に突き刺さってくるものがある。
このような作品は、書き手と読み手にどうしても距離が出来てしまうので、自分の同じ年代の
頃を重ね合わせながら、作品を一つ一つ拝読していった。
この詩集は、一言で言うならば、五感を揺り動かす作品でできている。難しい言葉ではなく、
優しい言葉でもなく、著者の思いが作品として浮かび上がってきたものを上手に掬い取って作
品にした。そんな思いを感じながら、ときどき心が作品から離れて隠れるようにしながら涙を流
している。拝読していて、すんなりと言葉が読み手の心に触れ、そしてときどき深く刺す。痛みを
感じる事はないが、悔しさと言いようのない腹ただしさを感じる。一瞬の痛みより長く引きずる
ものほど、拝読していると心に響く。
作品「明日、天気になあれ」は、比喩するものが各連に巧みに配置されている。私はこの作品
のタイトルには著者自身の思いが沢山入っていると思いながら拝読した。今が辛くても明日が、
その日が辛くてもまた次の日が、天気になれれば何かが変わる。何かが変って欲しい。じ~んと
くる各連を上手に一つの作品として集合させ組み立てている。最後に今の著者の現実に戻る。
人は沢山苦労してきても最後に帰天する1年いや2年本当に平穏に過ごせれば平安な旅立ち
ができると聞いた事がある。著者の今の姿を最終連に持ってくるために、その前に幾つかの作
品の連を置いている巧みさを拝読していて感心した。
もう一作、これは詩集のタイトルとなっている「ヒーローなんてなくてもいい街」に触れて
おきたい。中学二年から高校生、大学と進んで著者は何を学んだのだろう。一連にこのように書
かれている。ヒーローなんて/いなくてもいい/そんな街をみんなと作っていきたい と。こ
の箇所は福島原発で避難した方々、帰還した方々等々、いろんなものと重なり、私は今書き続け
ている震災詩をダブらせて読んでいる。私もヒーローはいらないと思う一人である。多くの方
が少しずつ知恵を出し合い街を復興していく、それは絆という言葉に置き換える事もできる。
この詩集のタイトルにした、「ヒーローなんていらない」、これはある意味とても大事な思い
なのかも知れない。小さな知恵を出し合い結集していく。
MYDEARは、抒情詩、叙景詩を基本としていますが、その範囲は島さんの懐の深さから、大き
なものがあります。私などはときどき、はみ出した詩を書くものですから、こつんと言葉を落と
されます。この詩集はとてもすぐれた詩集です。いろいろなところに投稿なさる事をお勧め致
します。立派な詩集と比較しても作品の内容は十分です。私はこのような詩集、詩作品が賞の
中に入っていく日を楽しみにしています。
十分に感想を書く事は難しかったと思っています。作品数は多く、それも完成度の高い作品
ばかりですから、一作、二作を取り出すだけでは申し訳ないと思いながら、拙い文章で、この
詩集に対する思いを書かせていただきました。もし大きく異なるものがあればスルーして下さ
い。最後に学びの場所を提供してくれた島さんには感謝を持ち続けながら、少しでもより良い作
品を書いていければとそう思っています。
改めて詩集の発刊を心よりお祝い申し上げます。
詩集に掲載されている作品は30作品。いつ書かれたのか分からないが、発表する時を見定
めていたのだろう。このヒーローには私は深い意味を持たせているように思う。作品を拝読し
ていくと、誰でも経験した事などとは安易に言えない。深く心に突き刺さってくるものがある。
このような作品は、書き手と読み手にどうしても距離が出来てしまうので、自分の同じ年代の
頃を重ね合わせながら、作品を一つ一つ拝読していった。
この詩集は、一言で言うならば、五感を揺り動かす作品でできている。難しい言葉ではなく、
優しい言葉でもなく、著者の思いが作品として浮かび上がってきたものを上手に掬い取って作
品にした。そんな思いを感じながら、ときどき心が作品から離れて隠れるようにしながら涙を流
している。拝読していて、すんなりと言葉が読み手の心に触れ、そしてときどき深く刺す。痛みを
感じる事はないが、悔しさと言いようのない腹ただしさを感じる。一瞬の痛みより長く引きずる
ものほど、拝読していると心に響く。
作品「明日、天気になあれ」は、比喩するものが各連に巧みに配置されている。私はこの作品
のタイトルには著者自身の思いが沢山入っていると思いながら拝読した。今が辛くても明日が、
その日が辛くてもまた次の日が、天気になれれば何かが変わる。何かが変って欲しい。じ~んと
くる各連を上手に一つの作品として集合させ組み立てている。最後に今の著者の現実に戻る。
人は沢山苦労してきても最後に帰天する1年いや2年本当に平穏に過ごせれば平安な旅立ち
ができると聞いた事がある。著者の今の姿を最終連に持ってくるために、その前に幾つかの作
品の連を置いている巧みさを拝読していて感心した。
もう一作、これは詩集のタイトルとなっている「ヒーローなんてなくてもいい街」に触れて
おきたい。中学二年から高校生、大学と進んで著者は何を学んだのだろう。一連にこのように書
かれている。ヒーローなんて/いなくてもいい/そんな街をみんなと作っていきたい と。こ
の箇所は福島原発で避難した方々、帰還した方々等々、いろんなものと重なり、私は今書き続け
ている震災詩をダブらせて読んでいる。私もヒーローはいらないと思う一人である。多くの方
が少しずつ知恵を出し合い街を復興していく、それは絆という言葉に置き換える事もできる。
この詩集のタイトルにした、「ヒーローなんていらない」、これはある意味とても大事な思い
なのかも知れない。小さな知恵を出し合い結集していく。
MYDEARは、抒情詩、叙景詩を基本としていますが、その範囲は島さんの懐の深さから、大き
なものがあります。私などはときどき、はみ出した詩を書くものですから、こつんと言葉を落と
されます。この詩集はとてもすぐれた詩集です。いろいろなところに投稿なさる事をお勧め致
します。立派な詩集と比較しても作品の内容は十分です。私はこのような詩集、詩作品が賞の
中に入っていく日を楽しみにしています。
十分に感想を書く事は難しかったと思っています。作品数は多く、それも完成度の高い作品
ばかりですから、一作、二作を取り出すだけでは申し訳ないと思いながら、拙い文章で、この
詩集に対する思いを書かせていただきました。もし大きく異なるものがあればスルーして下さ
い。最後に学びの場所を提供してくれた島さんには感謝を持ち続けながら、少しでもより良い作
品を書いていければとそう思っています。
改めて詩集の発刊を心よりお祝い申し上げます。