*** june typhoon tokyo ***

浦和×FC東京@埼スタ【J1リーグ】


 今季も“鬼門”埼スタ攻略ならず、6位でシーズンを終える。

 2018年J1リーグ最終節、ACL圏から脱落した5位・FC東京と6位・浦和との対戦。浦和は天皇杯準決勝を残しているため、興梠、武藤、宇賀神、マウリシオなどを外し、若手を起用したターンオーヴァー。対するFC東京はディエゴ・オリヴェイラと永井の2トップによるベストメンバーで、“鬼門”埼スタでの浦和戦に挑んだ。

 FC東京のアウェイ浦和戦にはネガティヴなイメージが付きまとって久しいが、それはこれまでの対戦成績を見るといっそう明確になる。

【FC東京 アウェイでの浦和戦戦績】
≪J1リーグ≫
 2001/04/14 ○FC東京 3-1 浦 和(駒 場)
 2002/03/09 ○FC東京 1-0 浦 和(埼 玉)
 2003/07/12 ○FC東京 1-0 浦 和(埼 玉)
 2004/06/26 ●FC東京 1-2 浦 和(埼 玉)
 2005/08/20 ●FC東京 1-2 浦 和(埼 玉)
 2006/08/12 ●FC東京 0-4 浦 和(埼 玉)
 2007/08/25 ●FC東京 2-3 浦 和(埼 玉)
 2008/07/05 ●FC東京 0-2 浦 和(埼 玉)
 2009/03/14 ●FC東京 1-3 浦 和(埼 玉)
 2010/03/14 ●FC東京 0-1 浦 和(埼 玉)
 2012/08/04 △FC東京 2-2 浦 和(埼 玉)
 2013/07/10 △FC東京 2-2 浦 和(埼 玉)
 2014/05/03 ●FC東京 0-1 浦 和(埼 玉)
 2015/05/16 ●FC東京 1-4 浦 和(埼 玉)
 2016/06/22 ●FC東京 2-3 浦 和(埼 玉)
 2017/08/19 ●FC東京 1-2 浦 和(埼 玉)

≪ルヴァンカップ(ナビスコカップ)≫
 2003/08/13 △FC東京 2-2 浦 和(駒 場)※ナビスコ杯 準々決勝(1)
 2006/03/29 ●FC東京 0-2 浦 和(駒 場)※予選
 2016/10/09 ●FC東京 1-3 浦 和(埼 玉)※ルヴァン杯 準決勝(2)
≪天皇杯≫
 2004/12/19 ●FC東京 1-2 浦 和(埼 玉)※天皇杯 準々決勝
 2005/12/10 ●FC東京 0-2 浦 和(愛媛陸)※天皇杯 5回戦

 リーグ戦では2004年から未勝利。ルヴァン(ナビスコ)杯、天皇杯を含めてもアウェイ浦和戦は勝ててない。ただ、リーグ戦に関して言えば、2013年に国立でのホームゲームで3対2での勝利があるものの、味スタではやはり2004年に勝利して以来、勝ちがない(カップ戦では2004年のナビスコ杯決勝、2011年の熊谷での天皇杯準々決勝で勝利)。となると、これは“鬼門”というよりも、チームとしての実力差を如実に反映していることなのだろう。

 そして今季の最終節。浦和は言ってみれば“飛車角”を落として天皇杯へ焦点を合わせた布陣で対峙。さすがの浦和もパスの質や精度を欠き、GK西川や柏木らにもパスミスやボールロストが散見。攻撃を占める割合やチャンスの創出という意味ではFC東京に分があり、前半はFC東京が7本のシュート(浦和は3本)。むしろ、7本“しか”という印象で、決定力を欠いたのもそうだが、シュートチャンスを逃す回数も多かった気がする。

 9分に柏木の左CKから李が頭でゴール右隅へ決めて、浦和が先制。序盤の失点にダメージも少なくなかったが、この日はまずは振り出しへ戻そうと声を掛け合うFC東京。ベストメンバーなら異なったかもしれないが、この日の浦和のオーダーは東京のミスにミスで返すプレーも散見され、一気に畳み掛ける展開にはならず。FC東京はその隙を捉えて同点にしたかったところだが、19分、森重の縦パスを永井にフリックしたディエゴ・オリヴェイラが再び永井のリターンをもらい、ペナルティアーク付近で左からエリア内へ侵入する東へパスして完全に浦和の守備陣を崩した場面では、東の折り返しに中央でフリーのディエゴ・オリヴェイラが普段ならあっさりと決められるようなシュートを外してしまう。

 両チームともビルドアップ時のボールロストが目に付いたが、特にFC東京はボールを受けてからルックアップしたり、パス先を探すクセが抜けず、パスコースの選択肢がどうしても横や後ろになってしまい、思った以上に推進力が上がらない。結局、縦へ競り合いがイーヴンなロングボールを蹴ってセカンドボールを奪われるという効率に欠けた攻撃に終始。判断や球離れ、パススピードは浦和と比べると遅く、際立った連係もないゆえ、攻撃のイメージのズレから中途半端なパスを奪われてスペースへ展開されるというストレスが溜まる攻撃が続いた。

 だが、長谷川監督の檄が入ったのか、後半開始直後の46分にFC東京が追いつく。室屋がエリア内右にいる東へパスを送ってサイドを駆け上がり、リターンを貰ってエリア奥へと侵入すると思われたが、東が巧みに反転してディフェンスについていた槇野を振り切って内に切れ込むと、ペナルティエリアのライン付近中央にいたディエゴ・オリヴェイラにパス。これをディエゴ・オリヴェイラが今度はきっちりと決めてFC東京がゲームを振り出しへと引き戻す。このままの勢いで逆転を狙いたかったところだが、直後に落とし穴が。
 48分に左からドリブルで進出してきた荻原をチャン・ヒョンスがファウルで止めた直後、柏木がFKを素早くリスタートさせてゴール前へクロスボールを送ると、唯一それに反応して駆け上がった柴戸が合わせて、浦和が勝ち越しに成功。一瞬の隙を突かれた失点は、点差以上に大きなダメージとしてFC東京にのしかかった。

 それでもギアがなかなか上がらない浦和に対し、FC東京が攻勢を強めていき、永井、室屋、大森とゴール前へと詰め寄るが、シュートは枠を外れ、得点を奪えない。すると、68分にGK・西川のロングフィードから太田に競り勝ったアンドリュー・ナバウトがペナルティエリア右からマイナスのパスを送ると、李が冷静に流し込んで3点目。浦和がFC東京を突き放す。

 このまま終われないFC東京は、直後に前田をピッチに送り、78分には精彩を欠いた太田を小川に、大森をリンスに交替して得点を奪いに行く。87分にようやく室屋のクロスを前田が頭で決めて1点差とするも、浦和は89分に今季で引退を発表した平川を投入。4分のアディショナルタイムも反撃を許さず、ゲームを締めた。

 久しぶりのディエゴ・オリヴェイラの得点(11試合ぶり)や複数得点を奪えたことは明るい材料ではあったし、特に後半以降は中盤を制してFC東京のペースで試合を運べていた。それでも一瞬の隙で決めるべき時に決める浦和と何度もチャンスを構築しながら決め切れないFC東京では、決定力の欠如以上に大きな差が垣間見られた。下を向いて落胆せず、終盤に前田のゴールに繋げたところは評価出来るかもしれないが、攻守のあらゆる面や精神力、多くのところにおいてまだまだ優勝争いするには足らない“欠如”が思うほど埋められていないという事実も露見されたといえよう。選手は必死にプレーしているのは分かるが、その一つ一つに緩さや隙はないか。細かい部分まで突き詰められているかといえば、自信を持って首を縦に振るにはまだ至らないのが現状だ。

 戦術という点では、前半戦のディエゴ・オリヴェイラ、永井を走らせての“ファストブレイク”が機能していたが、その対策が練られた後のアイディアが最後まで用意出来なかった。後半戦は特にビルドアップ時の素早さが減少し、相手に帰陣を許して攻撃を自ら難しくさせ、さらにビルドアップ時の不用意なボールロストからカウンターを食らって勝ち点3を失う試合もあった悪循環を最後まで払拭出来ず。失点数も優勝した川崎に次ぐ2位と決して悪いパフォーマンスではないのだが、ここぞという時の連係ミスやバタバタとした冷静な判断やプレーを失う場面も多く見られた。

 天皇杯は既に敗退し、FC東京はこの試合で今季の幕を下ろすことになった。おそらく近々、選手の去就が判明してくるだろうが、来季はこれまでに主力と思われていたベテランや中核のメンバーの功績は考えず、同じスタートラインからのポジション争いをさせ、さらにチームを活性化させることが必要不可欠だ。長谷川体制となって、前年までに比べて、意識の改革には多少なりとも成長が窺えたが、チーム・クラブの本質が急激に変わる訳ではない。今季の成長をしっかりと次への積み重ねへと継承して、来季は優勝争いに最後まで食らいつくための“体力・精神力の増強”を願いたい。チーム・クラブの核となる部分を強固なものにすることが、リーグ制覇の瞬間に少しでも近づく一歩になるはずだ。

◇◇◇

【明治安田生命J1リーグ 第34節】
2018年12月01日(土)14:04試合開始 埼玉スタジアム2002
入場者数 46,770人
天候 晴 / 気温 17.3℃ / 湿度 37%
主審 村上伸次 / 副審 三原純、鈴木規志 / 4審 川俣秀

 浦 和 3(1-0 / 2-2)2 FC東京

≪得点≫
(浦): 李忠成(9分)、柴戸海(48分)、李忠成(68分)
(東): ディエゴ・オリヴェイラ(46分)、前田遼一(87分)

◇◇◇
≪スターティングメンバー≫
GK 33 林 彰洋
DF 02 室屋 成
DF 48 チャン・ヒョンス
DF 03 森重真人
DF 06 太田宏介  → 小川諒也(78分)
MF 38 東 慶悟
MF 18 橋本拳人
MF 08 高萩洋次郎
MF 39 大森晃太郎 → リンス(78分)
FW 09 ディエゴ・オリヴェイラ
FW 11 永井謙佑  → 前田遼一(68分)

≪サブスティテューション≫
GK 01 大久保択生
DF 25 小川諒也
DF 05 丹羽大輝
MF 27 田邉草民
MF 07 米本拓司
FW 13 リンス
FW 20 前田遼一

≪監督≫
長谷川健太

◇◇◇























































◇◇◇













◇◇◇
【明治安田生命J1リーグ 2018シーズン日程】
第01節 2018/02/24(土)14:00△FC東京 1-1 浦 和(H・味スタ
第02節 2018/03/03(土)15:00✕FC東京 0-1 仙 台(H・味スタ
第03節 2018/03/10(土)15:00✕FC東京 0-2 磐 田(A・ヤマハ
第04節 2018/03/18(日)15:00〇FC東京 1-0 湘 南(H・味スタ
第05節 2018/03/31(土)15:00〇FC東京 3-2 G大阪(H・味スタ
第06節 2018/04/08(日)14:00〇FC東京 5-2 長 崎(A・トラスタ
第07節 2018/04/11(水)19:00〇FC東京 2-1 鹿 島(H・味スタ
第08節 2018/04/14(土)15:00✕FC東京 0-1 C大阪(A・ヤンマー
第09節 2018/04/21(土)13:00〇FC東京 1-0 清 水(A・アイスタ
第10節 2018/04/25(水)19:00〇FC東京 3-1 広 島(H・味スタ
第11節 2018/04/28(土)15:00〇FC東京 3-2 名古屋(H・味スタ
第12節 2018/05/02(水)19:00△FC東京 0-0 神 戸(A・ノエスタ
第13節 2018/05/05(土)14:00〇FC東京 2-0 川 崎(A・等々力
第14節 2018/05/13(日)16:00△FC東京 0-0 札 幌(H・味スタ
第15節 2018/05/20(日)15:00△FC東京 0-0 鳥 栖(A・ベアスタ
第16節 2018/07/18(水)19:00〇FC東京 1-0  柏 (A・三協F柏
第17節 2018/07/22(日)19:00〇FC東京 5-2 横浜FM(H・味スタ
第18節 2018/07/27(金)19:00✕FC東京 0-1 長 崎(H・味スタ
第19節 2018/08/01(水)19:00〇FC東京 2-1 鹿 島(A・カシマ
第20節 2018/08/05(日)19:00〇FC東京 1-0 神 戸(H・味スタ
第21節 2018/08/10(金)19:00✕FC東京 1-2 G大阪(A・吹田S
第22節 2018/08/15(水)19:00✕FC東京 0-1  柏 (H・味スタ
第23節 2018/08/19(日)13:00✕FC東京 2-3 札 幌(A・札幌ド
第24節 2018/08/26(日)19:00△FC東京 0-0 湘 南(A・BMWス
第25節 2018/09/02(日)19:00△FC東京 0-0 鳥 栖(H・味スタ
第26節 2018/09/15(土)14:00✕FC東京 0-1 仙 台(A・ユアスタ
第27節 2018/09/22(土)19:00△FC東京 1-1 広 島(A・Eスタ
第28節 2018/09/29(土)17:00✕FC東京 0-2 清 水(H・味スタ
第29節 2018/10/07(日)16:00〇FC東京 2-1 名古屋(A・豊田ス
第30節 2018/10/20(土)19:00✕FC東京 0-1 C大阪(H・味スタ
第31節 2018/11/03(土)14:00〇FC東京 1-0 横浜FM(A・日産ス
第32節 2018/11/10(土)14:00△FC東京 0-0 磐 田(H・味スタ
第33節 2018/11/24(土)14:00✕FC東京 0-1 川 崎(H・味スタ
第34節 2018/12/01(土)14:00✕FC東京 2-3 浦 和(A・埼 玉

◇◇◇
【明治安田生命J1リーグ 2018順位表】※2018/12/01現在
01 川 崎 69/34/21/06/07/57/27/+30
02 広 島 57/34/17/06/11/47/35/+12
03 鹿 島 56/34/16/08/10/50/39/+11
04 札 幌 55/34/15/10/09/48/48/+00
05 浦 和 51/34/14/09/11/51/39/+12
06 FC東京 50/34/14/08/12/39/34/+05
07 C大阪 50/34/13/11/10/39/38/+01
08 清 水 49/34/14/07/13/56/48/+08
09 G大阪 48/34/14/06/14/41/46/-05
10 神 戸 45/34/12/09/13/45/52/-07
11 仙 台 45/34/13/06/15/44/54/-10
12 横浜FM 41/34/12/05/17/56/56/+00
13 湘 南 41/34/10/11/13/38/43/-05
14 鳥 栖 41/34/10/11/13/29/34/-05
15 名古屋 41/34/12/05/17/52/59/-07
16 磐 田 41/34/10/11/13/35/48/-13
17  柏  39/34/12/03/19/47/54/-07
18 長 崎 30/34/08/06/20/39/59/-20
※(勝点/試合数/勝利/敗戦/引分/得点/失点/得失点差)

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コメント一覧

野球狂。
コメントありがとうございます。
赤さぽさん、コメントありがとうございます。

勝てそうな流れもあるなかで、結果的に浦和に勝てないのはやはり地力や意識の差なんだと思います。
東京サポーターにとってはよりによって古巣の李の2発に、また若手を育てちゃったという、既視感で笑うしかなかった人が多かったと思います(笑)。

圧倒的なアウェイ感のなかで勝利したらたまらないだろうなあと思いつつ、毎回跳ね返されていますが(苦笑)、埼スタでしか味わえない浦和サポーターの一体感を観に、来季もお邪魔するつもりです。
赤さぽ
的確な記事、楽しく読ませて頂きました。
前半はハラハラしながら応援していました。FC東京に3回ほど決定機がありましたが、決まっていればFC東京が勝利していたと思います。

いつものように点の取り合いになりましたが、来シーズンも対戦を楽しみにしております。
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